「ブレイクスルー水痘」が増えている、と報じられています。
ワクチンを接種して免疫を獲得しているはずなのに水痘に罹る人がいる、ということです。
ブレイクスルー水痘は、概して発疹が少なく軽症ですが、周囲への感染力が強いのが問題です。
水痘ワクチンは、2014年10月から定期接種となり、子どもたちは1~2歳の時に2回の接種を受けています。
定期接種の効果は絶大で、日本中から水痘患者が激減し、当院でも感染者は2,3カ月に1人来るかどうかです。
そのかわり、ウイルスに接触することによるブースター効果が失われ、帯状疱疹が増える一因となっています。
ブレイクスルー感染は、ワクチンの接種だけでは長期的な免疫は不十分だということの証です。
これもまた、日常的な水痘ウイルスとの接触機会が減り、ブースター効果が失われた影響かもしれません。
ある研究では、ワクチン2回接種後の水痘抗体保有率は、1歳75%だったのに対して年長児は50%以下でした。
つまりある程度以上の年齢になると、水痘ウイルスに強く晒されれば、感染・発症する危険があるわけです。
ブースター効果を得るには、まだ十分な免疫があるうちに水痘患者に触れる必要があります。
帯状疱疹の予防とは異なり、ブレイクスルー水痘を予防するための「水痘バーティー」は推奨はしません。
しかし、ワクチンを2回接種したばかりの2歳ごろに水痘か帯状疱疹に接触すれば、良い免疫が付きそうです。
そのような機会がなく接種から長期間経過すれば免疫が低下し、ブレイクスルー水痘のリスクが高まります。
今の接種スケジュール(1~2歳の時に3カ月以上の間隔で2回接種)では、2回目が早すぎるのかもしれません。
つい12年前までは、毎年約100万人が水痘を発症していました。子どもがほぼ必ず罹る病気でした。
予防接種を導入した当初は、1回目の接種後、2回目をまだ接種する前に、水痘になる子が目立ちました。
まだ巷に水痘患者がたくさんいたからです。なので2回目の接種を急ぐ必要がありました。
しかし水痘が激減して、その必要性は失われました。むしろ2回目の接種は遅い方が長期間免疫が保たれます。
米国の定期接種スケジュールは、1回目が満12~15カ月、2回目は4~6歳となっています。
ブレイクスルー水痘を意識して、長く免疫を維持するためのスケジュールと考えられます。
日本もそろそろ、そのようなスケジュールに移行したらいいのに。
(図は、水痘ワクチン定期接種化前後の、水痘の定点あたり報告数の推移、2021年は6月まで)

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