外科医不足に対応するため、来年度の診療報酬改定で「忙しい外科医」等に「手当」が付くことになりました。
消化器外科、心臓血管外科、小児外科、循環器内科の医師には、他の診療科とは異なる特別な配慮を行うと。
このような対応の必要性は、手前味噌ながら私も新聞に投稿したことがあります。もう14年も前のことです。
つまり今に始まった問題ではないのですが、ずっと放置されてきたために、今の外科医不足を招いたわけです。
ただし、元心臓外科医として言わせていただくなら、今回の診療報酬改定に関しては手法が間違っています。
手当自体がしょぼいし、そもそも4つの科に限定する意味がわかりません。院内での軋轢を生むだけです。
高難度の手術や長時間手術、深夜や休日の手術や処置に対する診療報酬を、本来はアップすべきでしょう。
もちろんその場合は、病院の増収分を当該医師らに支払うような給与体系を、各病院が作る必要があります。
いやそれ以前に、診療報酬の一定割合を、医師個人に還元するような仕組みを最初から作るべきです。
結局お金ですかと言うかもしれませんが、金銭的に報われることでやる気が倍増し、疲れも吹き飛ぶのです。
そうして外科医志望者が増えれば、一人一人の仕事量が減って職場環境が改善するという好循環を生みます。
これは「ドクターフィー」などといわれる手法で、佐賀大学病院の「インセンティブ手当」が有名です。
佐賀大では10年以上前に、一定の手術に対して執刀医に診療報酬の5%、他にも幅広い手当が設定されました。
これによって外科医のモチベーションが上がっただけでなく、内科系医師にも受け入れられた仕組みでした。
病院が得た診療報酬の中から、医師らへの手当のために億円単位を捻出するわけで、これはある種の英断です。
その後どうなってるのか調べてみたら、いまもまだ続けている様子。関係者には頭が下がります。
一方で、来年度の診療報酬改定による手当が、外科医を増やすことにつながるのかどうかは、不透明です。
少なくともその手当の財源は、開業医の診療報酬を削って工面することになるんでしょうね。やれやれ。
(写真は、平成24年5月27日付の熊本日日新聞「読者のひろば」欄に掲載された私の投稿(の一部))

コメント