労働時間の規制緩和について、高市首相は先日「過労死に至るような残業を良しとはしない」と述べました。
「良しとはしない」の意味は、「状況によっては長時間勤務もやむなし」ということなのでしょう。
これによって、「過労死ライン」とされる「月80時間残業」でも、必要ならば許容されることになります。
たしかに、労働時間の規制によって労働力が足りなくなり現場が困っている、という話をよく聞きます。
また、残業が制限されるようになってから残業代が減って困っている、という方の話も耳にします。
人の能力・体力・持病・価値観・忍耐力には個人差があり、また経済的状況や家庭の事情もあるでしょう。
しかし、労働者が承諾すれば従来の規制範囲を超える残業も可能にすることが、正しい考え方なのでしょうか。
高市首相は昨日、「あくまでも健康第一で本人の選択を前提に検討してほしいと考えている」と述べました。
本人が選択するなら少々の残業は認められる、という規定はしかし、いくらでもグレーな運用ができます。
残業を断り切れず、または諸事情を忖度して、不本意に超過勤務をする労働者が出てくるでしょう。
あるいは、手当を稼ぐために、無理して残業を買って出る人も、また増えてくるかもしれません。
例外なく制限されるからこそ救われる場合があります。例外を設けると、抜け穴がどんどん広がるものです。
高市首相は、自分は2時間から4時間の睡眠時間しか取れてない(が頑張っている)と、自虐的に述べています。
頑張る人の過酷な残業を正当化しようとする意図が、見え隠れします。ちょっといただけませんね。
まあとりあえず高市首相には、あまり無茶(な仕事と発言)をしないでいただきたいです。
(写真は、高市首相の睡眠時間発言場面のニュース映像)

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