村上春樹の『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』という、読めば飲みたくなる本があります。
アイラ島とアイルランドを巡って、その土地と人とウイスキーの話を書いた、すぐ読めてしまう旅行記です。
すぐ読めるけど文章の洗練度は高く、さすがです。彼の小説はあまり読みませんが、エッセイの類は好きです。
アイラ島には現在8カ所の蒸溜所があり、独特の香りのする、いわゆる「アイラ・モルト」を作っています。
ピートに由来するヨード香(またはイソジン臭)が特徴で、しかも蒸溜所によって香りと味わいが違います。
ネットで「アイラくらべ」などという記事をよく見かけるように、香りを比較して楽しむ人は、かなりいます。
アイラ党を自負するからには、私も飲み比べて違いを把握しなければなりません。
というわけで、自宅の書斎にアイラ・モルトを収集して、夜な夜なテイスティングをしているわけです。
何種類も味わうために、毎晩何本かのボトルから少しずつ、ほんの少しずつ味わいます。
ストレートで飲むべきであることは承知していますが、私はロックです。そこが邪道です。すみません。
村上春樹氏によれば、癖の強さは「アードベック」が筆頭。これは私も認めます。荒々しく突き刺さります。
私はいつも、一番好きな「ラフロイグ」から始めます。これが私なりの基準なのです。
それから「アードベック」の刺激を味わい、「ボウモア」で少し落ち着けてから、「カリラ」に手を出します。
アイラ・モルト以外にも浮気したりしながら、最後に「ラフロイグ」に戻って、アイラ巡りを終えます。
そうこうするうちに、心地よい眠気に襲われるのです。
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