花ちゃん

花ちゃんが、わが家の新しい家族になったのは、いまから10年前のことでした。
熊本地震の翌月の、どんよりとした苦難の時期に、わが家にとびっきりの笑顔を届けてくれました。

なにしろ愛嬌があります。フレンチブルドッグは鼻ペチャで、笑うと口角が上がってとても人間っぽいのです。
おふざけが好きです。挑発すると異常に反応し、ソファーを何度も飛び回り、最後に尻を私に突き出します。
そのお尻には申し訳程度の小さな尻尾がついていて、ウネっと動きます。本人は振ってるつもりなのでしょう。

何でも噛んでしまうので専用のベッドはボロボロ、モフモフしたモップには一度噛み付いたら離しません。
私の手はさすがに甘噛みしますが、たまに強く噛んでしまうと、しまったと思うのかペロッとなめて甘えます。

ブロッコリーアーモンドが好きなので毎日あげています。うっかり食べさせたチョコも好きみたいです。
口に入りそうなモノは口に入れます。画鋲も飲み込んだことがあります。子犬の頃は自分の糞も食べてました。

庭の生垣の隙間から脱走したり、枝で目を傷つけたりしたので、生垣は数年前にアルミフェンスに替えました。
その際に、庭をフカフカの人工芝で覆ったら、花ちゃんが好きなだけ猛ダッシュできる運動場になりました。

散歩が大好きです。でも実際には道ばたの雑草などの臭いを嗅いでばかりで、なかなか先に進みません。
番犬意識が強く、外の道を他の犬やバイクが通ったら、猛然と庭を駆け回って激しく吠え続けます
リビングに居ても警戒を怠らず、トラックの音がすると宅配業者がチャイムを鳴らす前からもう吠え始めます。

しかしひとたび外の道に出ると、もはや番犬の務めからは解放され、誰にも吠えずむしろ大人しいヘタレです。
付近の小学生からは、ブルドッグと呼ばれていますが、そこは一線を画したい、フレンチブルドッグです。
孫たちにもよくなつき、顔をなめるのが好きです。私が顔を近づけると、耳の穴の奥までなめようとします。


先月から、お腹で一生懸命に息を吸うようになりました。動物病院に行って、胸水をたくさん抜きました。
するといったん元気になったのですが、また苦しくなり、次に胸水を抜いてもあまり改善しなくなりました。

散歩の時間も短くなり、ついに玄関先で引き返すようになりました。ソファーにも飛び上がれなくなりました。
呼吸状態はだんだん悪化し、酸素ケージを使ってみましたが、むしろ暑くて辛そうで、すぐに出しました。
寝そべると苦しくなるのでいつも座っていて、とくに朝晩は部屋の中よりも庭の芝生に座ることが増えました。
最近は食欲もなくなり、大好きなモノでも欲しがらなくなり、とうとう昨日から何も食べなくなりました。

そして今朝、少し庭を散歩したあと、天国へと旅立ちました。

花ちゃんはいま、まるで眠っているみたいに、リビングで寝ています。もう、頑張って呼吸しなくてもいいね。
楽しい思い出をたくさん、ありがとう。花ちゃん。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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