インフルエンザの診療現場を取材したニュース映像を見ると、登場する先生方の顔ぶれはいつも同じですね。
驚いたことに、先生方は患者さんを普通に診察室で診て、その場で検査して結果説明しているように見えます。
隔離診察室、ましてや陰圧隔離室で診ている様子はありません。ガウンも着ていません。
全員インフルエンザと確定した患者さんばかりなら、そういう診察もあり得ます。
しかし、インフルか風邪かコロナか確定していない患者さんを、私はそんな形で診察しようとは思いません。
どんな感染症であっても、患者さん同士やスタッフの院内感染を、絶対に防ぎたいからです。
当院では、発熱者の診察や検査は、基本的に陰圧隔離室、それが空いてない時は駐車場などで行っています。
1人(1家族)診察するたびに、手袋とガウンとマスクは廃棄し、フェイスシールドは紫外線滅菌しています。
陰圧隔離室は、診察後にあちこち拭き上げ、紫外線滅菌した後に、強制換気をかけます。
取材を受けていた先生は、「1日に数回マスクを取り替えています」と言ってました。
さらに、「本当は、毎回マスクを取り替えるのが良いのですが、それは無理ですからね」と付け加えました。
では、愚直に毎回マスク等を取り替えてる私は、神経質すぎなのでしょうか。あるいは無駄遣いでしょうか。
マスクやガウンや手袋の費用は、「発熱患者等対応加算」の20点(200円)でまかなっているつもりです。
しかし私のやり方では、発熱者1人あたりの診療時間が長すぎて、1日の診療キャパをかなり狭めてしまいます。
おかげで予約枠がすぐに埋まり、患者さんから苦情が出ます。もちろん経営上も、かなり不利でしょう。
そんなわけで、いま行っている厳格な感染対策は、そろそろやめて簡略化しようかと思うようになりました。
今後待ち受ける診療報酬の引き下げを考えると、経費を下げて、診療人数は増やさなければならないからです。
来期は診療報酬の本体を引き上げる、なんて話も出ていますが、あれは国民向けの嘘っぱちですからね。
それによって世論は、医療費が膨らんでいるこのご時世にいかがなものか、という雰囲気になるわけです。
でも実際には、適用しにくい点数ばかりを新設して実質的な報酬は引き下げるという、いつものカラクリです。
(写真は、当院で採用しているフクダ電子製の簡易陰圧室システムの模式図)

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