市民病院勤務時代は、朝7時半ごろ出勤して、まずICUを見てから病棟を回診し、それから手術に入りました。
早ければ昼過ぎ、遅ければ夜中に手術が終わり、ICUに入ったらしばらく術後管理に集中することになります。
その合間に病棟を回り、それからICUに戻って、落ち着いたら夕食(夜食)です。
主治医のうち1人が、病状によっては主治医全員がICUに泊まり、翌朝まで術後管理をします。
そしてまた、翌朝の仕事が始まります。徹夜に近い状態であったとしても、いつもの朝が始まります。
なかなか辛い毎日でしたが、それを頑張ることができたモチベーションは「使命感」でした。
しかし、使命感というのは、心臓病の子どもたちを救いたい、というだけの意味ではありません。
組織の中での立場、小児科からの期待、自分のスキルアップ、学会活動など、いろんな意味合いを含みます。
使命感に加えて、労働に対する正当な評価、つまり適正な報酬も、重要なモチベーションになります。
しかし残念ながら、激務であればあるほど、勤務医の労働に対する金銭的評価は相対的に不十分です。
なぜならば、病院運営上そのような給与体系になっておらず、また経営上の余裕も無いからです。
勤務医には、働き方改革だけでなく、診療報酬と給与体系の両方を抜本的に改善する必要があります。
一方で、開業医は「余裕がある」と、財務省がそのような情報を流布しているものだから、困っています。
不十分な診療報酬のもとで経営努力を続け、わずかばかりの利益を産み出すことを、財務省はそう言うのです。
開業医と勤務医という対立軸を作り、開業医を叩いて病院を救う流れに、国民の支持を集めようとしています。
さいわいと言うべきか、今回の厚労省補正予算案の中で「医療・介護等支援パッケージ」が打ち出されました。
その1兆円を越える予算のうちの多くが、「医療機関・薬局の賃上げ・物価上昇に対する支援」に使われます。
診療所への32万円交付は有り難いですが、抜本的な対策ではないですね。診療報酬の改定にこそ期待します。
(写真は、NHKのニュース映像より)

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