恐れていたように、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)をめぐっては、現場での混乱が起きています。
接種後のCRPS(複合性局所疼痛症候群)問題で、国が「接種はお奨めしません」と言い始めたからです。
マスコミが激しく攻撃し、国のお墨付きをも失ったワクチンを、医療機関がどのようにして接種したものか。
接種に反対する人たちの言い分は、おおむね次のようなものです。
(1)ワクチンで予防できるのは、子宮頸がんのうちの50%にすぎない。
(2)子宮頸がんは、検診で簡単に見つけられる。
(3)子宮頸がんの手術は、比較的簡単である。
(4)それなのに、副作用の危険を冒して、ワクチン接種を受ける必要があるのか。
日本の子宮頸がん罹患数は、年間9000人程度で、毎年2500人ぐらいの方が亡くなっています。
このうち50%を予防できるとしたら、すばらしいことです。
これは子宮頸がんが、ウイルス感染によって引き起こされる、珍しい癌だからこそできることです。
検診で簡単に発見できるという理屈は、検診率が低い現状においては、絵に描いた餅でしょう。
もちろん、検診率を上げるための、あらゆる努力が必要です(行政にも医療機関にもマスコミにも)。
一人の女性が生涯の間に子宮頸がんで死亡するリスクは、2011年の統計では、327人に1人だそうです。
ワクチン接種後のCRPSは、類似例を含めても約40人。その確率はわずかに、約20万回の接種に1回です。
それなのに、死亡の危険を冒してまでして、「ワクチン接種を受けない」理由があるのでしょうか。
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