ほぼ毎日のように「おたふくかぜ」や「水痘(水ぼうそう)」のお子さんが受診されます。
患者数は、毎年数十万人から100万人以上と推測されています。あまりに多くて、正確な数値は不明です。
先日「風疹はまだ1万人」と発言した厚労相は、おたふく・水痘の100万人をどう考えているのでしょう。
これらの疾患の予防接種を私は推奨していますが、まだまだ啓蒙不十分だと感じます。
そこで、よく尋ねられる質問に対して私が日頃ご説明していることを、ここにまとめて書いてみます。
(1)予防接種しても、どうせ罹(かか)るでしょう?
たしかに。1回だけの接種では免疫獲得が不十分です。欧米では2回が標準、一部の国では3回接種します。
日本では2回接種しようとしても、年中流行しているので、2回目までの間に罹ってしまうことが多いです。
(2)おたふくかぜも水痘も、小さいときに罹れば軽くて済むのでは?
確率は低いですが、難聴や髄膜脳炎など重篤な合併症が起きます。死亡例も出ています。
(3)おたふくかぜや水痘は、病気に罹って免疫を付けるものでしょう?
重大な合併症が絶対起きないというのなら、それでもいいのですが。
(4)おたふくかぜワクチンは、以前、重大な副反応が起きて問題になったのでは?
おたふくかぜワクチンを混合した「MMRワクチン」の定期接種で髄膜炎が頻発し、4年で中止されました。
現在任意接種で使われているおたふくかぜワクチンでは、髄膜炎の発生率は低く、諸外国と同程度です。
(5)じゃあなぜ、おたふくかぜワクチンと水痘ワクチンは定期接種じゃないの?
「ワクチン後進国」だからです。これらのワクチンが定期接種じゃないのは、先進国では日本だけです。
疾病予防よりもワクチンの副反応ばかりを問題視していると、世界からどんどん取り残されてしまいます。
最近の、子宮頸がん予防ワクチンの「積極的勧奨接種の中止」も、欧米ではあり得ない反応です。
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