横綱日馬富士が宴席で貴ノ岩に暴行した問題は、単純な話ではなくなってきましたね。
当初は、加害者の日馬富士は廃業だ、ぐらいの世論が巻き起こっていましたが、どうも被害者側も怪しい。
事件の4日後に警察に提出された診断書と、15日後に作成された診断書との、食い違いが問題視されています。
1通目は軽傷、2通目は重症の疑いもあるような記載です。
もちろん、時間が経って病状経過が明らかになり、その状況にあわせてあらためて診断したのかもしれません。
診断医の言い分としては、疑いや可能性のある病状を、念のため「○○の疑い」と診断したようです。
疑いがないと言い切れない以上、少しでも疑った事実は記載しておいた方が、危機管理上は適切な態度です。
同業者として、よくわかります。この点は、医者が責められるものではないと思います。
貴ノ岩の兄は、「弟は頭の10針以上縫った痕を見せてくれた」と証言し、その重傷度をアピールしています。
しかし10針縫ったと聞いたら大ケガに聞こえますが、「針数」などそれほど重要なものではありません。
10cmの傷を10針でザクザク縫ったのか、3cmの傷を細かく10針縫ったのか、それすらわかりません。
ていうか、傷の長さなんてどうでもいいことです。問題は、傷の深さや深部臓器への影響の有無ですから。
私が勤務医(心臓外科医)だった頃、手術が終わってご家族に説明をしたときに、驚いたことがあります。
その患者さんの親(=ご高齢の方)が開口一番、私に「手術は何針縫いましたか」と尋ねたからです。
心臓弁形成術か何かでした。針数など数えようもありません。皮膚縫合まで含めたら、数百針でしょうけど。
重要なのは、弁の病変の重症度や手術の仕上がりや心機能であって、縫った針数などまったく無意味です。
10針以上縫ったとことさらにアピールする貴ノ岩の兄の言葉が、どうもうさん臭く聞こえてしまうのです。
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