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映画とハンセン病

加藤剛さんが亡くなりました。
ドラマ『大岡越前』や映画『砂の器』が代表作ですが、最近の映画では『舟を編む』で見かけました。
昨夜は約30年ぶりに『砂の器』を観てみたら、加藤氏の若々しいこと。その他の俳優の方々もみな、若い。
この映画の特徴は、終盤の構成の巧さでしょうね(以下、ネタバレあり)
成功した音楽家のコンサートと、事件の背景を解き明かしていく捜査会議とが、同時進行で描かれます。
『ゴッドファーザー』で、洗礼シーンとボスらの殺害シーンが並行して描かれた、あのラストに似てますね。
「業病」との位置づけで描かれている「ハンセン病(癩病)」が、この映画の根底を流れる重いテーマです。
松本清張氏が原作を書いたのは昭和35年。私が生まれた年です。映画ができたのが昭和49年。
ハンセン病を差別的に描いたのは、戦前の回想シーンに限定されており、一定の配慮はなされていました。
映画の最後にも、ハンセン病患者の社会復帰を拒むものは非科学的な偏見と差別のみだと、字幕が出ます。
この病気のことを昔の人たちは、本当に恐れ、差別してきたのでしょうね。他の映画でも見かけます。
有名どころでは『ベン・ハー』でしょう。主人公の母と妹が罹患しますが、キリストの奇跡で完治します。
私の好きな『ブラザー・サン シスター・ムーン』でも、ハンセン病患者が差別され、隔離されていました。
これらの映画はハンセン病患者を、救済の必要な存在として、慈悲をもって描いていた気がします。
一方で、中学時代に観た『パピヨン』では、ハンセン病がひたすら不気味な存在でした。
最近(?)では『もののけ姫』にも、ハンセン病患者とおぼしき、隔離された人々が登場してました。
どのように描いても批判を招きかねない難しい題材ですから、今後この病気はとりあげにくいでしょうね。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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