「地面師」詐欺

NHKの番組『未解決事件』。今夜放送のFile.03は、積水ハウスの地面師詐欺事件を取り上げていました。

ちょうど7年前に「映画になりそう」と書いたほど、興味深い事件でした。
また、この事件を題材にしたNetflixのドラマ『地面師たち』(全7話)を、私は気に入って2回見ました。
ピエール瀧が演じた登場人物のセリフ「もうええでしょう」は、昨年の流行語大賞でトップ10入りしました。

映画などで描かれる詐欺事案は、ややもすると犯罪者目線で見てしまい、検挙されると残念な気さえします。
大きな組織や大富豪を相手にした周到な準備、偽造、役割分担、これが悪事で無ければ彼らはヒーローです。

ところが、映画みたいなことが現実に起きたわけで、想定外という意味では「事実は小説よりも奇なり」です。
そして、なぜ大企業が騙されたのかを突き詰めれば、詐欺師たちの手口がきわめて巧妙だったということです。
その手口に踊らされて、通常とるべき確認を怠ったこと、その油断がすべてでしょう。

これは詐欺事件に限らず、どのような分野でも、たとえば診療においても、共通することだと思います。
面倒なので手を抜いた、大丈夫と思って確認作業を省いた、急いでいたので今回に限って手順を短縮した。

決定的なミスにつながるのはそういう時です。うっかりミスや勘違いではなく、油断です。
必要な確認や手順を省く意味での「もうええでしょう」は、あかんでしょう。

(写真は、NHK ONEの番組ページより)

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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