「ファストパス」と「選定療養費」

「ファストパス」が飲食店に広がり始めているとか。別料金を払えば、待たなくても済むサービスですね。

医療機関で導入するとしたら、保険診療では無理でも自由診療なら可能かも、という話を前に書きました
一般診療で、千円払ったら10分以内で、2千円払ったらすぐ診ます、なんてのはダメに決まってますよね。

とはいえ、いま大病院が徴収している「選定療養費」には、なんとなく似たような印象があります。
選定療養費とは、一定規模以上の病院が、紹介状を持たない受診者から7,000円以上を徴収する規則のこと。
医療機関の機能分担を推進する目的とはいえ、紹介状がなければ金を取るという、なかなか厳しい制度です。

でも逆に「別料金を払えば紹介状は不要」とする優遇措置だという解釈もできませんか。考えすぎですかね。
というのも、かかりつけ医から紹介状をもらうことに、面倒臭さや抵抗感、躊躇がある方もいるからです。

当院では、かかりつけの患者さんを訳あって病院へ紹介しようと判断し、紹介状を書くことが時々あります。
あるいは患者さんの側から、病院への紹介を希望することがあれば、それに応じて紹介状を書いたりもします。

ところが希に、病院への紹介状を書いてほしいという理由で、当院を初めて受診する方もいらっしゃいます。
本来なら、当院で検査等を行って紹介の必要性を吟味すべき所ですが、そうすると医療費のムダになります。

結局、最小限の診察を行った後、聞いた病状・病歴をそのまま紹介状に書くような形になってしまうのです。
このような、実質的に選定療養費の支払いを避ける目的で他の医療機関を受診するのって、どうなのでしょう。
ご本人の金銭的負担は減るとしても、医療費はむしろ増えてしまいます。選定療養費制度の弊害ですよね。

(図は、熊本赤十字病院の「選定療養費」説明図(一部レイアウト改変))

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

コメント

コメントする

目次