「RSウイルス感染症」は、とくに新生児や6カ月未満の乳児が罹ると、重症肺炎を起こしやすい感染症です。
この感染症を予防するための、ファイザー製のワクチン「アブリスボ」が、来年4月から定期接種化されます。
子どもに接種するのではなく、妊婦さんに接種することで、「母子免疫」を期待するものです。
ワクチンによって母体のRSウイルスに対する抗体価が高まり、その抗体が胎盤を通じて胎児に移行します。
赤ちゃんは、RSウイルスに対する免疫を持った状態で、生まれてくることができます。
定期接種の対象は、妊娠28~36週の妊婦。前回の妊娠時にこのワクチンを使っていても、再接種OKです。
他のワクチンとの同時接種もできますが、百日咳ワクチンだけは免疫応答が低下する可能性があるようです。
妊婦さんの百日咳ワクチン接種も重要です。可能なら接種日をずらすと安心かもしれません。
アブリスボについては4月にも書きましたが、これまでに当院で接種した妊婦さんは、1人だけです。
任意接種なので料金がとても高いことと、ワクチンの性格上、産婦人科で接種を受けるのが自然だからです。
そのかわり当院では、産婦人科でアブリスボを接種した妊婦さん数名に、百日咳のワクチンを接種しました。
ただしその際に使用した「3種混合ワクチン(DPT)」は、いまは入手が難しくなってしまいました。
さて今後アブリスボが定期接種化されるとなれば、当院でも接種機会が増えるかもしれません。
日常的に乳幼児への定期接種を行っているので、若いお母さんの来院機会が多いからです。
来春からは、お子さんとお母さんの「母子同時接種」を、積極的に推進していこうかと考えているところです。
(写真は、日本産科婦人科学会の啓蒙動画の一場面)

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