「HPVワクチン」男性へも拡大

子宮頸がんを予防する「HPVワクチン」の接種対象が、男性へも拡大されることになりました。
え、男性も子宮がん?と思った方はいませんよね。効能効果に加わったのは、肛門がんとその前駆病変です。
他にも咽頭がんや尖形コンジローマも、じつはHPV(ヒトパピローマウイルス)が引き起こす腫瘍です。

定期予防接種の対象が拡大されたわけではありません。男子へは任意接種です。ただし用法・用量は同じで、
「9歳以上の者に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する」
「通常、 2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する」
となっています。女子と同様に、男子中学生が適齢期と考えても良いでしょう。

欧米各国では、10年以上前から男女への定期接種が行われています。
とくに、英国・カナダ・豪州は、男女ともに80%前後という高い接種率のようです。進んでますね。

日本はしかし、ひと頃よりは増えましたがまだまだ接種者は多くなく、定期接種率はひどく低迷しています。
その原因は、かつてのメディアによる異常な「反ワクチン」報道と、それにお墨付きを与えた国の失策です。

いまだに、多くの方がこのワクチンに不安を感じています。「濡れ衣」は十分には晴らせていないのです。
なぜならメディアや国が、過去の過ちを検証して訂正し、大々的に公表するということをしていないからです。

勧奨接種が控えられたせいでHPVに感染してしまった世代の方が、今後続々と発がんする可能性があります。
先進諸国ではやがて撲滅されようとしている子宮頸がんに、日本はまだ悩まされるのでしょう。
毎年1万人が罹患し、3千人が亡くなる病気だというのに、国の対応はあまりにも軽率でした。

(写真は、MSDのサイトより)

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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