気象庁は、「余震」という言葉を、昨日から使わないことに決めたようです。
熊本地震では、後に前震と呼ばれることになった4月14日の大地震の後で、気象庁はこう言いました。
「今後3日間に震度6弱以上の余震が起きる可能性は20%」(A)
これで、人々を安心させたのがまずかったと気象庁は考えたようで、今後は次のような言い方にするそうです。
「震度6弱以上となる地震の発生確率は平常時の30倍」(B)
最初の地震の次の晩に「本震」が来ることを予想できなかった気象庁が、課題としているのは次の3つ。
(1)内陸地殻内で起きたM6.4以上の地震は本震とみなす、という評価法が妥当でなかった
(2)「余震」という言葉を用いたために、より大きな地震は発生しないというイメージを住民に与えた
(3)余震確率の「20%」が、通常生活の感覚からすると、かなり低い数値と受け取られた
たしかに(A)の表現は油断を招きかねませんが、しかし(B)は意味不明です。平常時の30倍って何?
熊本地震では、前震によって近隣の活断層が刺激され、地震が連鎖したと考えられています。
余震という表現が甘かったのではなく、余震以外に別の大地震が起きる可能性を警告する必要があったのです。
しかし、いくら強く警告しても、肩すかしが続けば、やがて国民は油断してしまいます。
地震が正確に予測できない限り、この問題は続きます。余震という表現を言葉狩りしても、解決はしません。
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