MENU

朝三暮四

茂木健一郎氏がFacebookで、辺野古裁判和解の件をふまえて、「朝三暮四」という言葉を使っていました。
老婆心ながら説明しておくと、故事成語「朝三暮四」の意味はこうです。
ある老人が、飼っていた猿にやる餌のどんぐりを減らそうと考えて、猿に伝えた。
「朝3つ暮れに4つ」と言ったら猿は怒ったが、「朝4つ暮れ3つ」にしたら猿は喜んで受け入れた、という話。
トータル7個は同じでも、目先の利益を多くしたら、猿はコロッとだまされたわけです。
消費税も、来春の税率アップが再延期されるのではないかという話が、最近よく聞かれるようになりました。
国の税収が増えないことで、あとで別の問題が起きるかもしれないとしても、目先の増税回避は嬉しいもの。
もちろんそれが、景気対策に名を借りた選挙対策であったとしても、多くの国民は喜んで受け入れるでしょう。
さらに、われわれ医療関係者にとって、消費税増税延期には別の意味があります。
仕入れなどには消費税がかかるのに、医療費は非課税のため、医療機関は患者から消費税を受け取れません。
消費税率が増えるのなら、その分、診療報酬も増額してもらわなければ、医療機関は損をするばかりです。
2年前に消費税率が5%から8%にアップした際には、診療報酬が1.36%ほど「手当」されました。
3%分の増税による医療機関の負担増加は、1.36%に相当するだろうと、厚労省は計算したわけです。
ただし最終的には、また別の理屈によって、この1.36%が0.1%にまで圧縮されてしまいました(泣)。
さて今年、診療報酬はマイナス0.84%で改定されます。来年の消費増税のことなど、考慮されていません。
したがって、来年の増税によって、診療報酬は実質的にもう一度、マイナス改定されることになります。
そんなひどい話だったので、もしも増税が延期されれば、とりあえず私は猿のように嬉しいのです。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

コメント

コメントする

目次