帯状疱疹から水痘がうつった事例が、最近もFacebookで紹介されていましたが、たしかに時々見かけますね。
ほんの5年前までは、水痘は毎年100万人(=おおむね1学年分)が罹る、ありきたりの感染症でした。
ところが約4年前から水痘ワクチンの定期接種が始まり、水痘患者は劇的に減りました。
水痘ワクチンは副作用が少なく、勧奨接種が中止されているHPVワクチンを尻目に、順調に普及しました。
ワクチンを2回接種したお子さんの水痘発症率は、ゼロではありませんが極めて低い印象です。
1回しか接種していないお子さんは、ときどき水痘を発症して来院されますが、その数も今は減りました。
一方で、世の中から水痘が減ることで、逆に今後増えることが危惧されている病気があります。
かつて水痘に罹った方が、長年の間に免疫力が低下した末に発症する、帯状疱疹です。
水痘の免疫力を維持するためには、ときどき水痘ウイルスに接触して、免疫刺激を受けるのが効果的です。
一年中水痘が流行していた5年前までは、日本中がそのような刺激に満ちていたのです。
ところが、水痘ワクチンの定期接種化によって患者が激減したため、水痘ウイルスへの接触機会も減りました。
そのために免疫が維持できず、帯状疱疹を発症する可能性が高まっているというわけです。
帯状疱疹を予防するためには、水痘ワクチンの接種によって免疫を維持することが必要な時代になりました。
そして帯状疱疹の患者が増えると、こんどはその発疹に接触して水痘を発症するお子さんが出始めています。
帯状疱疹を発症した祖父と、一緒にお風呂に入って感染したお子さんもいました。
珍しく帯状疱疹を発症した幼児が、幼稚園で感染を広めた例もありました。子どもはよく接触するものです。
水痘も帯状疱疹も、発症の初期はわかりにくいもの。いずれもワクチンの接種で予防するのがいちばんです。
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