インフルエンザ治療薬「タミフル」はこれまで、10代への使用が原則禁止とされてきました。
理由は、タミフルが「異常行動」を引き起こす可能性があると疑われたからです。
厚労省が2007年に、そのように決定したきっかけは、
「タミフル内服後の中学生がマンションから転落死した2件の事故」でした。
それが11年ぶりに、10代へのタミフル処方が解禁されることになった根拠は、
「タミフルを飲まなくても、インフルエンザにかかると異常行動が起きていた」ことがわかったからです。
もう何年も前から、タミフルが濡れ衣を着せられていることは、科学的データが示していました。
われわれ医療現場の者も、タミフル服用とは無関係に異常行動が起きたケースを、何人も見てきました。
そんなことはとっくにわかっていたのですが、ようやくこのたび厚労省が重い腰を上げたわけです。
これって、何かと似てませんか。そう、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)です。
厚労省は2013年に、HPVワクチン接種の積極的勧奨差し控えを決め、現在に至ります。そのきっかけは、
「ワクチン接種後に、痛みや運動障害を訴える症例が出現したこと」でした。
しかしたとえば2015年の名古屋市の疫学調査では、
「ワクチン接種者と非接種者の間で、さまざまな症状に差が無かった」ことがわかりました。
もう何年も前から、HPVワクチンが濡れ衣を着せられていることは、科学的データが示しています。
そんなことはとっくにわかっている厚労省ですが、いまだに積極的勧奨接種を再開しようとしません。
いったい何を待っているのでしょう。もう何も、新事実は出てきませんよ。決断するしかないのです。
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