福岡県内でも、昨日までに9人の麻疹患者が確認され、県からプレスリリースが出ています。
熊本から見て、沖縄はまだ「海外」でしたが、福岡は「隣県」。ずいぶん近づいてきました。
その9人の患者のプロフィールを見ると、問題点がいくつか浮き彫りになります。
1例目の方の情報は非公表なので、詳細不明ですが、二次感染はないとされています。
福岡での発端者は、実質的に2例目の20代男性です。沖縄を含む流行地への旅行歴はなく、感染場所が不明。
その後の3例目から9例目までの7人が全員、2例目の方との接触が疑われています。
麻疹の流行において、いつも気になるのは、患者の年代とワクチン接種歴です。
福岡の2例目から9例目までの8人のうち、成人は5人、小児は3人(0歳2カ月、3歳、10歳)でした。
成人5人の全員が、ワクチン接種歴1回または不明の方です。過去のワクチン行政の不備が悔やまれます。
この年代の方を感染から守るためには、接種歴2回未満の方へのワクチン接種を行うしかありません。
もっと問題なのは、3人のお子さんです。全員、MRワクチンの接種歴がありませんでした。
0歳2カ月のお子さんは、もともとMRワクチンの接種が想定されていない年齢層で、どうしようもありません。
3歳のお子さんは、1歳の時に定期接種の機会があるのに、MRワクチンを接種していませんでした。
10歳のお子さんに至っては、MRワクチン定期接種の1期も2期も受けていなかったということになります。
どうして定期接種を受けないのでしょう。健康問題や家庭環境など、さまざまな点が心配になります。
当院受診者の中にも、定期予防接種歴がまるっと抜けているお子さんに、ときどき遭遇します。
確固たる信念を持って接種を受けない方など、めったにいません。ほとんどは、認識不足によるものです。
その原因は、行政の啓蒙不足です。もちろん、医療機関にも責任はあります。
麻疹の流行が話題になっているいまこそ、予防接種全体の啓蒙活動を進めるためには大事な機会でしょう。
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