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「ドベイキー」の日

心臓外科手術トラブル逆転修復ドラマ『ブラックペアン』第2話は、今日も出血との戦いでした。
術式は突飛だし、あちこちのディテールには閉口しますが、全体の雰囲気は意外と、リアルですね。
左室内に脱落してしまった人工弁を取り出すシーンを書き起こすと、こんな感じでした。
メッツェン、ドベイキー」と指示し、そのドベイキーを左室内に挿入して、人工弁の取り出しを始める渡海。
「ドベイキーで、直接人工弁を捕まえるというのか?!」と驚く手術スタッフ。
「ドベイキーで人工弁を?、弁に絡んでいる心筋が見えているというのか?!」と口にする准教授。
都合3回、何の説明も無く登場した「ドベイキー」が、今日の私の「ツボ」でした。
渡海が、左室内から人工弁をつかみ出すときに使った、そのピンセットの名称こそが「ドベイキー」なのです。
ドベイキーは、細い先端部の内側に細かい歯がびっしりと付いているのが特徴。物をしっかりつかみます。
持ち手の部分にも、他のピンセットには無い独特の窪みがあって、とにかく物をつかむことに徹した構造です。
その名前は、10年前に99歳で亡くなった心臓外科のパイオニア、マイケル・ドベイキー教授に由来します。
心臓外科医にとっては神様みたいな人ですが、ロシアのエリツィン大統領の手術を指揮した事でも知られます。
「大動脈解離」という病気では、「ドベイキー分類」という分類法もよく使います。
「ドベイキー」という言葉がドラマで何度も飛び交うのを見て、「サテンスキー事件」を思い出しました。
リアリティーのために、何の解説もなく特殊な用語を連発するという、以前のドラマではあり得ない手法です。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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