昨年発売された抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」を、今年は慎重に使っていることは先日書いた通りです。
おもに子どもにおいて、ゾフルーザは耐性ウイルスを作りやすいことが、昨シーズンわかったからです。
日本感染症学会は、12歳未満の小児には慎重に投与するようにと提言しています。
日本小児科学会も、12歳未満の小児には積極的な投与を推奨しないという指針を公表しました。
とくに5歳以下の子どもへの投与は控えるべきだというのが、コンセンサスの得られているところでしょうか。
さらに最近、ゾフルーザ耐性ウイルスが通常のウイルスと同程度の感染力を持つことが、報告されました。
となると、ゾフルーザ耐性ウイルスによる大流行が起きる可能性があり、これは一大事です。
ゾフルーザは画期的な新薬だという理由で、昨年「先駆け審査指定制度」が適用され、迅速に発売されました。
ところが最近になって、もう少し時間をかけて審査しても良かったのではないか、などと言われ始めています。
昨シーズンは一時期、抗インフルエンザ薬の売上トップにも躍り出たゾフルーザです。
作用機序が画期的だと薬としても優れているように思えてしまい、1年前には私も飛びついてしまいました。
しかし、発売前から耐性ウイルス問題はわかっており、昨シーズン途中から雲行きが怪しくなりました。
前評判とのギャップが大きいと過剰に反応してしまうのが、日本人の気質です。
かく言う私もとりあえず静観の態度で、いまのところゾフルーザの処方は中断しています。
とくに耐性ウイルスの感染が報じられて以来、子どもには処方できん薬だなぁ、というのが正直な気持ちです。
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