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クマの駆除で疲れて、目の下にクマができたとする

クマが民家付近に出没する事件が、最近よく報じられます。人的被害も出ているようです。
たまに逃げ去るクマもいますが、多くは、「猟友会によって駆除された」、という結末になります。
しかし私はこの「駆除」という言葉には、いつも違和感を覚えてしまいます。
ゴキブリみたいな害虫に使うのならともかく、クマやイノシシに使うのはいかがなものか。
大動物に「駆除」を使うと、彼ら(動物たち)を虫けら扱いしているような気がして、申し訳ないのです。
たとえ撃ち殺したとしても、「捕獲」という表現はできないものでしょうか。
生死は未確認の、言うなれば心肺停止状態で捕獲し、どこかへ運んでから死亡を確認したという形です。
これならば、「猟友会によって捕獲された」という報じ方ができ、私も聞いてて心が安まります。
ところで、クマのニュースを聞いて気になるのは実は、「駆除」よりもむしろ「クマ」のアクセントです。
アナウンサーが、「クマ」の「マ」が高い、「イヌ」と同じ「尾高型」で発音しているからです。
私はずっと、「ク」にアクセントを置いた、「サル」と同じ「頭高型」で生きてきたのに。
一般に名詞は、頭高型→尾高型、という「平板化」を来す方向に、アクセントが変化しています。
なので私は、「クマ」も同様に、私が使う頭高型は古くて廃れつつあるアクセントかと思っていました。
ところが「新明解国語辞典 第三版」(1981年)によると、伝統的には「イヌ」と同じ尾高型なんですね。
これが2014年の「日本語アクセント辞典」になると、新しいアクセントとして頭高型も加わります。
NHKの「新辞典」(2016年)でも、第1アクセントは尾高型、第2アクセントは頭高型となっていました。
従来の尾高型では、目の下にできる「クマ」と同じアクセントです。
言葉の発音は、同音異義語を区別する方向に変化しやすいので、頭高型への変化はリーズナブルです。
私が昔から使っている頭高型は、言うなれば時代を先取りした、将来型アクセントと思ってよいでしょう。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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