発言の切り取り

「Aには反対、Bには賛成」という意見の方が、取材を受けて次のように発言したとします。
「Aが現実的で、Bは絵に描いた餅です。しかしたとえそうでも、Bを目指さなれば日本に未来はないと思う」

例えばこの発言の前半部分だけ切り取るような、そんな悪意に満ちた報道がまかり通っています。
なので我々がメディアの取材を受ける際などには、恣意的な編集を受けないように注意しなければなりません。

ところが謙虚な人間は、前段でいったん相手への理解を示す発言をした後に、自分の見解を述べるものです。

「たしかにおっしゃる通り、Aには一理あります。それには賛同します」
「しかし、将来を考えたときに、Bが正しいと私は信じています」

臨床現場でも、患者さんの訴えをむげに否定はできないので、まずはその意見に耳を傾け理解を示します。
ところがその、理解を示した部分が強く印象に残ってしまい、都合良く解釈されて誤解を招く恐れがあります。

ところで、こちらが何を言っても、「いや」と冒頭から否定言葉で反応してくる人が、時々いますね。
自己中なのか、天の邪鬼なのか、こちらの発言への理解も配慮もなく、自分の意見だけを述べる人。
聞いててイラッとしますが、でもそういう一貫した発言は「切り取られリスク」が無くて、いいですね。

ちなみに政治家の失言の多くは、その人の本性が垣間見えた瞬間を、うまく切り取ったモノです。
「本意では無かった。切り取られたのだ」と反論してもダメです。

(写真は、カリブ海の朝:本文とは関係ありません)

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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