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この機会に「名古屋スタディ」を取り上げるメディアはあるか

名古屋市の河村たかし市長が新型コロナウイルスに感染したことが、今夜の話題です。
東京五輪で金メダルを獲得した選手の、その輝かしい金メダルに「ガブリ」とかみついた、無神経な御仁です。
あと1カ月時間がずれていたら、ウイルスだらけの唾液が金メダルに付着したのかと思うと、ゾッとします。
性格的にだいぶヤバい人だと私は思いますが、その河村氏で思い出すのは、「名古屋スタディ」でしょう。
HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)について6年前に行われた、国内初の大規模調査研究のことです。
名古屋市の、小学6年から高校3年までの女子に対するアンケート調査で、約3万人のデータが解析されました。
この調査の目的は、ワクチンの接種後に起きた「副反応」とワクチンとの因果関係を立証するためでした。
「薬害問題」に関心のある河村氏が、「ワクチン被害者団体」からの要望を受けて行ったものです。
被害者団体から提示された24の症状について、接種を受けた人と受けていない人での比較が行われました。
その結果、ワクチン接種の有無とそれらの「症状」とは無関係である、ということが明らかになりました。
当時私は、その結果を聞いて驚きましたが、いちばん驚いたのは被害者団体と河村市長本人でしょう。
画期的なその調査速報は、いったん名古屋市のサイトで公開されましたが、すぐに削除されました。
不都合な結果を認めたくない方面からの圧力によって、科学的な研究結果が事実上もみ消されたわけです。
結果の「生データ」は現時点でも掲載されていますが、それを踏まえた「考察」はなされていません。
さいわい、研究を主導した学者が独自に論文発表したので、名古屋スタディは日の目を見ることになりました。
それと同時に、河村市長や被害者団体の理不尽で非科学的な態度が、明らかになったのでした。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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