通園バスに5時間も取り残された3歳の女の子が、熱中症で死亡した事件。痛ましすぎて言葉もありません。
車内の確認を怠り、担任は欠席と思い込み、なおかつ保護者の連絡漏れだと思い込むという、ミスの連鎖。
こういう事件を聞くと、職業柄、過去にあちこちで起きた「患者取り違え手術」事件を思い出します。
予定されていた2件の手術の患者を、手術室に入る過程で取り違え、そのまま手術してしまった事例です。
確認ミスがいくつも重なって起きたわけですが、キーワードをひとつあげるなら、「思い込み」でしょう。
どんな職場でも、慣れた作業では確認作業がだんだんと形骸化し、時には誤りを見逃すかもしれません。
通常はここでダブルチェックが機能し、別の誰かが誤りを発見して事なきを得るわけです。
しかし最初の確認ミスは単なるミスではなく、それは「1回確認済み」のお墨付きを与えることにもなります。
さらに別の誰かがそのミスを見逃してしまうと、それはダブルチェックまでもスルーしたことになります。
複数の者が関わっていけばいくほど、その誤った「確認済み」が二重三重に「補強」されてしまいます。
誰かが気付いて声を上げて間違いを指摘すれば、事なきを得ることができるでしょう。
しかしたとえ疑念を抱いても、十分に確認済なのだからと思い込むことで、スルーしてしまうかもしれません。
「ダブルチェック」は必要だとは思いますが、それを信頼しすぎてはなりません。油断の元です。
「ダブル」というと聞こえはいいですが、1人の責任が「半減」するので、緊張感が低下してしまうのです。
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