最近やっとメディアが取り上げ始めたのが、「当直医」の労基法上の問題です。先週の読売にも出ていました。
ただのお泊まりを意味する「宿直」とは違い、「当直」はしばしば夜通しの激務であり、時間外労働です。
ところが、「当直」医に対して「宿直」手当しか出していない病院が多く、是正勧告が相次いで起きています。
「勤務医の宿直には残業手当を払え」という5年前の最高裁の決定は、勤務医には追い風でした。
本来の勤務病院での当直以外に、アルバイトとしての救急病院の当直を、私も若い頃ずいぶん経験しました。
医局の先輩の病院を手伝って臨床経験を積ませてもらい、しかもお小遣いまでもらって帰るようなものでした。
大学病院の通常勤務を終えて、夕方当直病院に向かい、翌朝いったん自宅に戻った後、また大学に出勤します。
救急病院での当直でほとんど眠れていなかったとしても、翌日の大学病院では通常の仕事が待っています。
それが普通だったし、不満はありませんでした。なぜなら、当直には妥当なバイト料が出ていたからです。
某病院では、たびたび救急車に起こされるのがイヤで、ついに一晩中起きていた話は、前に書いたとおりです。
徹夜で何をやってたかと言えば、「ドラゴンクエスト」です。もう、30年以上も前の話です。
別の某病院では、診療の合間に豪華な夕食が出て、事務長がしきりにビールを勧めてくれます。飲みます。
飲んでる途中で救急車が入ります。仕事を終えて食堂に戻ると、事務長がまたビールを勧めます。昔の話です。
そのような救急病院とは正反対に、老人病院とか精神病院の当直の場合は、ほとんど仕事がありません。
何か起きたら電話指示を求められる程度で、これを「寝当直」と言い、ほとんど「宿直」と同じ状態です。
年末年始はしばしば、老人病院で当直をしていました。正月3が日の「3連直」なんてのも2度経験しました。
ネットのない90年代前半のこと。本を読んでも飽きるので、ずっとゴロゴロして3日間過ごしますが、長い。
むしろ、適度に救急車が入ってくる方が、よほど時間が短く感じたかもしれません。
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