不足しているMRワクチンですが、どうやらわずかに流通が改善しつつあるようです。
そのことを踏まえて、子どもの定期接種対象者以外への任意接種も、当院では再開することにしました。
もちろんまた需給バランスが悪化するようなら、再び接種制限を行うことになります。
あれだけ騒がれた麻疹の集団感染はいつのまにか終息したので、任意接種希望者はそれほど多くはありません。
たいていは、医療系の学生さんか若夫婦(または婚約者同士)などです。
先天性風疹症候群の発生を予防するための、予防接種の費用助成制度は、今も続けられています。
たとえば熊本市の助成対象者は、熊本市の住民で、風疹抗体検査による抗体価が陰性(HI法で16倍以下)で、
(1)妊娠を希望している女性
(2)妊娠を希望している女性のパートナーなどの同居者
(3)妊婦のパートナーなどの同居者
このいずれかを満たす方、となっています。
「妊娠を希望」っていうのもアバウトなら、「パートナーなどの同居者」という表現もなかなか幅広い。
さらに、オカシなケースも考えられます。
抗体価が陽性の女性は費用助成の対象外ですが、その夫の抗体価が陰性なら、夫は助成の対象になるのです。
たとえ夫が風疹に感染しても妻は感染しないので、先天性風疹症候群を予防するという趣旨に合いません。
このことが先日行われた予防接種従事者研修会で質問されたところ、お役所からは珍回答が返ってきました。
「(そのケースの夫でも)風疹の蔓延を防ぐ観点から、予防接種の助成対象者として位置付けている」
つまり、夫が感染予防をすることは、妻に対してだけでなく、社会全体にとって有意義である、というわけ。
その理屈なら、抗体価陰性の市民はすべて、接種助成対象ってことになりませんか?
このさい(2)を最大限に拡大解釈して、定期接種漏れの子どもを助成対象とすることだって、アリだと思う。
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