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報道番組では、主観的な意見の言いっぱなしは無責任です

新型コロナウイルス関連では、メディアやネット上を無数の情報が飛び交っており、少々混乱しています。
テレビを見ていると、客観的で有益な発言をする先生もいれば、有害無益で偏ったことを話す出演者もいます。
そんな中で、国民が誤った情報に翻弄されないようにと、情報整理を試みるブログ等も目立ちます。
ある医師は「新型コロナで『情報汚染』されたメディアが報じない『5つの真実』」と題してまとめています。
1.「医療崩壊」は起きていない(いま現在、医療崩壊は起きてない。今後も冷静に対処すれば良い)
2. 「全員にPCR検査すべき」は適切ではない(陽性だと入院が必要になるので医療崩壊が起こりかねない)
3. 患者の「ドクターショッピング」が問題(1つの医療機関で経過を見なければ区別が付きにくい)
4. 「不安だから病院に行く」が感染リスクを高める(むやみに病院に行かない方がよい)
5. 陰性でも仕事に行ってはいけない場合がある(検査で偽陰性の可能性がある)
最近のコロナ報道の偏りに警鐘を鳴らし、バランスをとろうとする文章であり、その意図はよくわかります。
しかし、私に言わせればこの文章もまた誤解を招きかねないと思いました。ひとつひとつ難癖を付けていくと、
1.「医療崩壊」はまだ起きていないが、厚労省・保健所と患者との板挟みで、現場は徐々に混乱しつつある
2. 「全員にPCR検査すべき」は適切ではないが、検査には意義があり、必要なら躊躇せず検査すべき
3. 患者の「ドクターショッピング」が問題とはいえ、症状がだんだん悪化する過程では、誰でも医者を変える
4. 「不安だから病院に行く」が感染リスクを高めることは事実だが、患者判断で自宅待機を続けるリスクもある
5. 陰性でも仕事に行ってはいけない場合がある、というのは簡単だが、出勤の可否の判断はきわめて困難である
などと後付けで批判することは簡単ですが、報道の偏りや過ちに警鐘を鳴らすことは、専門家の務めです。
紹介した文章のように、バランスを取ろうとする情報・広報・啓蒙が必要であることは、間違いありません。
テレビのコメンテーターの無責任で主観的な発言は、もうたくさん。専門家が意見を戦わせる番組が見たい。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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