HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の「キャッチアップ接種」の機会が設けられると報じられました。
積極勧奨の差し控えによって定期接種の機会を逃した、1997~2005年度生まれの女性に対する無料接種です。
このキャッチアップの対象設定が妥当かどうかは後日検証するとして、とりあえずひと安心しました。
日本の戦後の予防接種は、推進(新ワクチン導入)と後退(接種や積極勧奨の中断)を繰り返して来ました。
その根底にあるのは、ひとたびコトが起きると一気に反ワクチンに傾いてしまう、日本人の国民性でしょう。
科学的・客観的知見やデータよりも、その時の感情的な勢いの方が勝ることがあるのです。
HPVワクチンのような「効果」が見えにくいワクチンではなおさら、目先の不安が優勢になりがちです。
そして日本人は、たとえ因果関係が立証されてなくても、とりあえず怪しいモノは忌避する体質なのです。
ところがそこへ、新型コロナという強大な敵が現れました。優先すべき目先の不安=感染、となったわけです。
一部ではmRNAワクチンに「将来の懸念」を持つ人もいる中で、多くの国民は争うにように接種を受けました。
まさに、将来の不安よりも目先の利益を優先させる日本の国民性が、HPVワクチンとは逆向きに出た形です。
将来の懸念も、目先の不安も、どちらも正しい。そのバランスを、各個人が科学的にどのように捉えるかです。
そして科学的データはみな、HPVワクチンの有効性と安全性を支持しています。だから接種すべきなのです。
その事実を客観的に捉え、勧奨接種の再開に多くの国民が納得できるようになるまで、8年かかりました。
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