「人流(じんりゅう)」って言葉を、小池都知事などが最近よく使いますが、聞いててなぜかムカつきます。
お役所が好きそうな「漢語」です。手持ちの辞書には出ていませんが、人の流れという意味だとはわかります。
日本国語大辞典で「流」が語末に付く言葉を調べると1080件ありましたが、「人流」はありませんでした。
かように一般人にはなじみが薄いので、俗語でなければ「業界用語」でしょうか。
しかし調べてみると何年も前から、「物流」に対する言葉として「人流」が提唱されているようです。
新型コロナワクチンの担当となった河野行政改革担当相は、「ワクチンのロジを担当します」と言いました。
この「ロジ」というのは、元々は軍隊用語の “Logistics” ですが、「調達」という意味でしょう。
転じてロジは、「物的流通」と「人的流通」の両方を指し、前者が「物流」で後者は「人流」というわけです。
河野氏はおそらく、ワクチンの物流だけでなく、接種に関わる人的調達も含めて「ロジ」と言ったのでしょう。
そうであるならば、彼はなかなか思慮深い、物事の本質を捉えた人物です。
当初問題視されたのは、ファイザーのワクチンの保管や流通ですが、いま問題なのは接種現場の人的配置です。
昨日川崎で行われた訓練では、「1人3分で接種」が絵に描いた餅であることが明らかになりました。
そんなに短時間で流れ作業のように接種ができるのは、季節性のインフルエンザワクチンぐらいでしょう。
希望者だけが任意接種を受けに来る、例年通りのワクチンだからこそ、接種作業はスムーズにいくのです。
新しいメカニズムで効くワクチンを恐る恐る接種しに来た人を相手にして、流れ作業は無理でしょう。
無理な接種計画が破綻して混乱するよりは、最初から十分な余裕を持って臨みたいものです。
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