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「若者は検査せずに診断」は提言に盛り込まれなくて良かった

「オミクロン株の特徴にふさわしい効果的な対策を早期に打つべき」と言うのは、政府分科会の尾身会長。
オミクロン株は感染力が極めて強いけれど、重症化はしにくいことがわかっています。
これを、重症化率が低くても感染力が強ければ重症者数は同じ。だから対策は緩めるな、と言う人もいます。
しかし、重症者数が同じとすれば、感染者数が多い方が社会機能への影響は大きくなります。
現に、感染者数が多いこと自体が、すでに医療現場や検査体制をひっ迫させています。
そこで政府は「オミクロン株特有のメリハリの付いた対策」を打ち出そうとしているわけです。
たとえば、濃厚接触者の待機期間が短縮されます。そこまではまあ、いいでしょう。
しかし、「若年層は検査をせず、症状だけで診断することも検討すべき」という提案はちょっと、いけません。
当院の発熱外来受診者にも10代から30代がとても多く、症状は様々。ほぼ無症状の濃厚接触者も多数います。
PCR検査の結果に一定の傾向はなく、まさかの陽性が出たり、意外な陰性が出たりと、予測がつきません。
そのような方たちを私は、「診察」しただけでコロナかどうか「診断」できるとは思えません。
検査せずに診断しろというなら、とりあえず安全のために全員コロナと診断することになるかもしれません。
だんだんと「普通の風邪」っぽくなってきたコロナですから、病状だけで診断するのはいよいよ不可能です。
とくに軽症の方は、検査もせずコロナだと言われても、自宅で2週間待機する気にはならないでしょう。
感染者の社会生活への影響が極めて大きい診断をくだすのであれば、それなりの根拠が欲しいですね。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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