外科医が足りず、必要な手術がなかなか受けられない問題が起きています。これは「直美」問題の裏返しです。
なぜ美容医療の医者ばかり増えて、保険医療の外科医が減るのか。難しい問題ですが、原因は比較的単純です。
ひとことで言うなら、保険医療機関の勤務医の給料、とくに外科医の給料が安すぎるのです。
それに加えて働き方改革によって、外科医が無理して頑張ろうにも、頑張れない環境にもなっています。
外科医は概して体育会系のノリがあるので、少々過酷な環境でも、チームプレイで乗り切れます。
しかし、現在の様に外科医の数が少なくなると、個人の負担が増え、気力・体力とも限界に近づきます。
そんな様子を見聞きした若手医師は、熟慮の末に外科医になる夢を捨て、相対的に楽な診療科を選択します。
その結果、外科医はますます減り、ますます忙しくなり、ますます希望者が減るという悪循環に陥るのです。
この悪循環を断ち切るのが、インセンティブ、つまり外科系勤務医の給料の大幅アップです。
「結局、金か?」と思われるかもしれませんが、そうではなく、「労働を正当に評価する」ということです。
過酷な仕事に見合った基本給に加え、緊急手術や深夜の残業や待機、休日出勤への手当も厚くするわけです。
そうすると、基本的には体力と根性のある連中ですから、モチベーションがアップすれば辛さが減ります。
そんな様子を見聞きした若手医師は、外科医を目指す夢を叶えようと、やる気がみなぎるでしょう。
その結果、外科医の数が増え、一人当たりの労働は減り、働き方改革にも添った職場環境となります。
外科医の給料や手当を大幅に増やすためには、まず各病院が給与体系を抜本的に見直さなければなりません。
そしてその財源となるように手術の点数を大幅に増やすなど、外科系の診療報酬を改定しなければなりません。
いずれも各所で異議が出そうですが、日本の外科手術の数と質を維持するためには、必要な改革だと思います。
医療費削減一辺倒の政策や、それを是とするようなメディアの姿勢は、そろそろ見直さなければなりません。
(図は、日本消化器外科学会の「国民の皆様へ」より)

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