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「くしゃみ」で事故を起こす悲劇

「現場手前でくしゃみをして一瞬、気が遠くなり、そのあとどのように事故になったのか分からない」
大阪で乗用車を逆走させ、歩道を歩いていた女性2人を死亡させる事故を起こした、71歳の男性の供述です。
逆走から衝突まで減速やハンドル操作の形跡がなかったことから、この男性の意識障害が疑われています。
抗てんかん薬など、何か重要な薬の飲み忘れや管理不良でもあるのなら、加害者の責任は重大です。
脳血管障害や心筋梗塞であっても、それなりのリスクを抱えた方の運転なら、一定の責任が問われるでしょう。
しかし、このような症状は今回が初めてであるなら、もはや加害者にも被害者にも悲劇というほかありません。
くしゃみによって、胸腔内圧が一時的に高くなったり、迷走神経反射が起きた可能性などが指摘されています。
この男性の既往歴や現病歴や当日の体調からは予測もつかない出来事だとしたら、もう避けようがありません。
自動車メーカーは、ドライバーの体調急変を察知して車を停止させるシステムを構築しつつあります。
それは今後に期待するとして、現時点ですでに多くの車に搭載されているのは、衝突回避システムでしょう。
原因が何であれ、今回の車のような「逆走」は、正面衝突の危険がある重大事態です。
できれば、対向車線への逆向き侵入を察知して、緊急停車させるようなシステムが必要です。
さらに、車が車道から外れるときのスピードが速すぎれば、これを急減速させる仕組みがあるといいですね。
一方で歩行者は、建物から一歩外に出たら、あるいは歩道上でも、車の挙動には注意を払う必要があります。
車は「走る凶器」だという認識を、あらためて思い知る事故でもありました。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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