「痛くない極細注射針を開発した」とウソをついて、会社の未公開株の購入を持ち掛ける詐欺が起きました。
なかなか巧妙というか、よくそんなスキマ狙いの設定を思いついたものです。
インスリン注射用の針をはじめとして、極細で痛くない針の需要は、たしかにあります。
一般的な診療でも予防接種でも、もちろん針は痛くないに越したことはありません。
注射針は、針の根元のプラスチック部分の色が、針の太さに応じて色分けされています。
その部分がオレンジ色の、テルモ製のかなり細い注射針を、当院では予防接種のとき使用しています。
針の太さの単位は「ゲージ(G)」で表し、数値が大きいほど細い針です。オレンジ針の場合は25Gです。
インフルエンザワクチンは、ガラスの小瓶(バイアル)に入っている製剤を、当院では使用しています。
そのバイアルの中から、接種量(3歳以上は0.5ml、3歳未満は0.25ml)の分だけ、注射器に吸引します。
その際、バイアルのフタは開けず、そのゴムのフタを消毒して注射針で貫いて、薬液を吸い出します。
このゴムを貫く操作によって、針先がわずかに傷みます。細くて尖った針であればなおさらです。
せっかくの、25Gの鋭い針先が鈍ってしまうと、接種の際に皮膚を刺す時の痛みが強くなってしまいます。
そこで、バイアルから薬液を吸い出した時の針ははずし、新しい針を注射器に装着して接種を行っています。
当院に限らず、他の医療機関でも同様の手間とコストをかけていると思います(たぶん)。
痛みが原因とされるHPVワクチン接種の副反応が、このような工夫で少しでも減ってくれればいいのですが。
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