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ワクチンの準備から接種の手順は、愚直なまでにワンパターンで

新型コロナワクチンの接種ミスには色んなパターンがあるもので、ニュースを見るたびに教訓になります。
使用済みバイアルに再び生理食塩水を注入し、新しいワクチンと間違えて注射するのがもっとも多いパターン。
空気を注射したために接種をやり直したケースもありました。どのように準備したらそうなるのか聞きたい。
さらに新たなパターンとして、ワクチン原液を希釈せずにそのまま注射したという事例が報じられました。
ここでもういちど、ワクチンの準備〜接種までの手順をおさらいしてみます。当院でのやり方です。
(1) 解凍後5日以内の冷蔵保存しておいたワクチンを保冷庫から取り出し、専用の容器内に置き、室温に戻す。
(2) それが「室温戻し中バイアル」であることがわかるように、容器に明記しておく。
(3) 時間が来たら、2人のスタッフが予防衣と手袋を装着して、「希釈作業」を開始。
(4) 定められた手順に従って、ワクチン1バイアルにつき6本の接種用シリンジを作り、専用のトレイに並べる。
(5) 6本準備できた時点で、元のバイアルは、「使用済みバイアル」と書かれたた廃棄専用の容器に入れる。
(6) 問診を終えた被接種者を接種用の部屋に入れ、先ほどのトレイから1本だけシリンジを取り出して接種。
(7) 打ち終わったシリンジは、どこにも置かず、接種を終えたその手で、そのまま専用の廃棄ボックスに投入。
このような一連の流れは、いくら慣れても省略はせず、面倒ですが毎回まったく同じ作業です。
手順を守る限り、使用済みバイアルを再使用することは不可能です。
空気を注射したり、原液のまま注射してしまう可能性も、入り込む余地はありません。
もしもミスが起きるとすれば、何らかの理由があって、いつもと違うイレギュラーな事をした時です。
担当者が途中で交代したとか、作業場所を急に変えたとか、訳あって慣れない人が急に作業を任されたとか。
そしてそのイレギュラーな状況の下で起きがちなのは、「伝達漏れ」か「思い込み」か「勘違い」です。
人間のうっかりミスは完全には防げないので、イレギュラーな事はしないことを愚直に貫くしかありません。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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