「飛行機民主主義」

「飛行機民主主義」という言葉を、新聞のコラムで初めて目にしました。
ググっても他に見いだせないので、著者の青山学院大名誉教授・三木義一氏の造語なのかもしれません。
高市政権下での、ポピュリズムの怖さを皮肉ったコラムなわけですが、多数決の問題点にも繋がります。

以下に、そのコラムの後半部分を転載させていただきます(レイアウトだけ改変しています)。

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「飛行機の乗客たちが『機内にも民主主義を』と言い出し、機長を選挙で選べと言い出した。
機長は『危ないからシートベルトを締めてください』というが、A氏が『私が機長になればシートベルト着用サインを消し、機内のお酒はすべてフリーにします』というので、圧倒的多数でA氏が機長に選出された。
乗客たちは『自分たちの声が反映された。民主主義バンザイ』と言って墜落するまで酔い潰(つぶ)れている、という古典的な話さ」
「でも酔い潰れて死ねるならいいかも」
「危ないからやめろと言った少数派には地獄だぞ」
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安部公房の『闖入者』を思い出しました。学生の頃に読んだ、私の大好きな短編です(以下、ネタバレあり)。
見知らぬ大家族が突然押しかけてきて、そこが自分たちの部屋であると主張して占領します。
主人公が抗議すると会議が招集され、多数決で民主的に、闖入者家族たちの主張が採択されてしまいます。
「悪」が多数になったとき、少数派の「善」が挽回できるチャンスがない。多数が正義に勝つわけですね。

いま世界のあちこちで戦争が起きています。残念ながら当事国の「機長」のうち何人かは、ほぼ狂っています。
その機長を選んだ多数の国民は、いつか自らの誤りに気付くのでしょうか。今後どう決着が付くのでしょう。

(写真は、昨年メキシコ・シティ国際空港で撮影したコンドル航空機。本文とは無関係です)

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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