ノーベル生理学・医学賞に、大阪大学特任教授の坂口志文先生が選ばれました。
「制御性T細胞」という、過剰な免疫反応を抑える細胞を発見するなど、免疫学分野の業績に対する受賞です。
コレに比べれば自民党役員人事の発表など、どうでも良いニュースに思えます。
制御性T細胞は、文字通り「免疫を制御するT細胞」です。
その「T細胞」というのは、骨髄で誕生し、「胸腺(Thymus)」で成熟するリンパ球です。
仔牛などの胸腺をフランス人は食材として食べるそうで、「タイム(thyme)」の香りがするのが語源とか。
心臓手術を胸骨正中切開で行うと、大人の胸骨の下には元々胸腺だったと思われる小さな脂肪の塊があります。
しかし小児の場合は、まだ元気な胸腺の状態です。それを手術視野確保のため、部分切除する場合もあります。
乳児の胸腺は巨大で実は手術では邪魔なのですが、今思えばしかし、胸腺はできるだけ温存したいですね。
制御性T細胞は、リンパ球の免疫活動を「制御」するもので、感染や腫瘍や自己免疫疾患にも関与しています。
その制御をさらに人工的に(薬物的に)制御することが、癌や自己免疫疾患の治療にも有望視されています。
この基礎的な生理学的な発見が、数十年後の人類の健康に革新的な飛躍をもたらす可能性があります。
日本は過去の遺産でノーベル賞を取っている、と言う人もいますがそんなことはないですね。安心しました。
(写真は、NHK ONEの画面)

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