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記憶とデジャブ

「その後、どうですか」
電子カルテを見ると前回の来院が1月なので、無難な質問をしながら患者さんとの会話が始まります。
「ええ、まあ・・・」みたいな返答があり、どうもかみ合いません。
よく見ると、前回受診は2018年の1月。ありゃ、1年以上前でしたっけ。
日付の勘違いだけでなく、本気で最近診察したような気がしてたことの方が、問題です。
未体験なのに覚えがある気がする「既視感」または「デジャブ」あるいは「デジャヴ」。
それが未体験ではない可能性を疑っているからこそ既視感があるわけですが、その正体は、
(1)ホントに未体験(既視感は気のせい)=狭義のデジャブ
(2)体験したことを忘れてるだけ
(3)マトリックスのバグ
ある休日、テレビで映画を観ながらもデジャブがぬぐえず、でもストーリーは覚えていないという状況でした。
ラストで子どもが叫ぶシーンを見たその瞬間、「あ、思い出した」となりました。しかも私と家人が同時に。
つまりこの場合は(2)だったわけです。年齢とともに、このような「偽デジャブ」は増えていきます。
ずいぶん前に、途中までしか録画できてなかった映画を観て、ひどくガッカリしたことがありました。
それから何年かして、休日にふとその映画を観たくなりました。
で、そのビデオを観たのですが、ラストの手前で録画が途切れていました。
その瞬間、その映画が完全には録画出来てなかったことを思い出したのでした。
最初からデジャブを感じながら観た映画が、結局ラストまでストーリーを思い出せないこともあります。
こういった場合、映画は最後まで楽しめて、そこそこ感動したりもします。「忘却力」のなせる技ですね。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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