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風疹対策はやっぱり低調ですが、さてどうします?

「風しんの追加的対策」の利用率が、20%にとどまっていると報じられました。まったく残念なことです。
昭和37〜53年度生まれの男性を対象とし、それを3分割して昨年度から始まった3年間の時限措置です。
開始がずれ込んだこともあり利用者が少なかった昨年度の対象者は、今年度も対象にする措置がとられました。
今年度は今年度で、コロナ禍の影響で受診者が低迷したため、時限措置は1年延長されることになりました。
しかし予想外の要因があってもなくても、この風疹対策はあまり成功しないだろうと、私は思っていました。
風疹対策の目的は先天性風疹症候群を減らすことであり、気になるのはおもに身近に妊婦がいる家庭です。
身近に妊婦がいなければ、自分の健康に直結するわけでもない検査を、中年男性が受ける動機がありません。
それに加えて、多忙な中年男性が、わざわざ仕事を休んで検査を受けに行くのもハードルが高いですね。
熊本市でこの事業が始まったのは昨年7月末。その後11カ月の間に、当院に来院した対象者は47人。
そのうち27人(57%)が、土曜午後か日曜祝日の来院でした。平日限定なら受診しなかったかもしれません。
対象を3分割して進めてきた制度設計も、対象者を混乱させ、モチベーションをそぐ結果となりました。
いちどに全員を対象とすると医療機関に対象者が殺到すると国が予測したのであれば、とんだ勘違いです。
官僚はいつも、彼らの机上の空論がもたらす「副作用」の方を心配しますが、思った通りにはいきませんって。
そんなことは、高齢者の肺炎球菌ワクチンの接種率低迷でわかってたはずです。
新事業がヒットして混乱を招くことを心配する前に、まずその事業が成功することに全力投球しなきゃ。

この記事を書いた人

医療法人ひまわり会 つるはらクリニック 院長

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