ひと頃わが家では、「ぜんざいを切らすな」が家訓でした。
いつ何時でも食べられるように、つねにぜんざいを作っておく、いわば「ぜんざい常備制度」です。
さすがに健康面を考慮して、最近は時々ぜんざいを切らすようになりましたが、それでもよく作ります。
基本は「良い豆を使って甘く作る」だけ。「甘さ控えめ」など邪道です。
関東では、ぜんざいのことを「お汁粉」と言うそうです。どうしてそうなったのか。理解に苦しみます。
関西では、お汁粉とは、小豆の粒の無い、こしあんの汁のことを言います。これは私の認識にも一致します。
そして私は、お汁粉が嫌いです。
では「こしあん」よりも「つぶあん」の方が好きなのか、というと、そう単純ではありません。
どちらも好きだからです。こしあんなら「もみじ饅頭」や「松露饅頭」が好きです。
しかし、あんこはあんことして食べるのが好きなのであり、お湯に溶かして食べるなどは、論外です。
ではなぜ、ぜんざいが好きなのか。
それはぜんざいの「具」を、私は「あんこ」とは考えていないからです。
ぜんざいは「甘く煮た小豆とその煮汁」であって、「お湯に溶かしたつぶあん」ではないのと思うのです。
なので、乾燥したあんこをお湯に溶かして食べる「懐中汁粉」などは、まったく好きになれません。