竹取物語

旧暦8月15日の今宵、見事な中秋の名月が昇っています。月明かりは、まぶしいぐらいです。

でもよく見ると、わずかに欠けています。満月は明日なのです。などというウンチク話はさておきましょう。

今日は竹取物語の話。高校の文化祭で展示を企画したほど、私は竹取物語が好きでした。

日本最古の物語なのに、設定はSF。でも物語の大半を占める、求婚者たちのドタバタは、まさに喜劇です。

かぐや姫の無理な注文に対して、5人の求婚者たちがどのように応じたか。復習がてら、まとめてみました。

(1)石作の皇子:課題「天竺の仏の石の鉢」

手抜きして、山寺からとってきた鉢を差し出したら、かぐや姫に見抜かれて鉢を突き返され、恥をかきます。

(2)庫持の皇子:課題「蓬莱山の玉の枝」

秘密裏に、職人たちに偽造させたものの、工賃が未払いのために騒動になり、ばれて大恥をかきます。

(3)右大臣阿部御主人:課題「火鼠の皮」

大金持ちなので金に糸目は付けず、中国の商人に発注したところが、ぼられた上に偽物をつかまされます。

(4)大納言大伴御行:課題「竜の首の五色の珠」

家来に命じても従わないので、自分で船出しますが、嵐で散々な目に遭い、ひどい面相になって笑われます。

(5)中納言石上麻呂足:課題「燕の子安貝」

自ら屋根に登り、転落して気を失いながらも燕の巣の中で探り当てたものは、固くなった燕の糞でした。

どのエピソードにもオチがあり、笑わせます。登場人物がみな高貴な人物なのに、妙に人間臭いのもいい。

それにしても、1000年以上も前に、月と地球を人間が行き来する物語を書いた、その発想力がすごいです。

ダジャレ院長

私のことではありませんので、あらかじめおことわりしておきます。

今年4月に着任したばかりの福井県立病院の院長が、Facebookに投稿した内容で、少々もめています。

「エボラ出血熱」に関連した記載のなかで、「エバラ焼き肉のタレ」というダジャレを繰り出したからです。

批判を浴びそうなでありながら、大多数のネット住人は、院長を必ずしも非難していないようです。

もしも「エボラ焼肉のたれ」などと書いたのなら、これは不謹慎だと叩かれても仕方ありません。

しかし「ちなみにエバラは焼き肉のタレです」と、追加ギャグをかました形。これはまあ、セーフでしょう。

さらに「ズボラは私ですね」と自虐的なコメントもしたようで、全体のトーンに悪気がない。

この院長は正直者なのか、頭の中に一瞬思い浮かんだギャグを、つい口にしてしまうタチなのでしょう。

エボラからエバラを連想してしまうと、どうしても胸のうちにしまっておくことができなかったのです。

ただしこのギャグが許容されるのも、国内でエボラ出血熱が発生していない限りにおいて、でしょう。

件のダジャレはすでに削除されていますが、ネット上の記載は必ず誰かが保存していると考えるべきです。

保存されるだけでなく、無限に複製され、世界中に拡散し、永久に消滅することがありません。

万一、エボラ出血熱が国内で発生でもしたら、誰かが今回のダジャレ投稿を蒸し返してくることでしょう。

たとえ悪気がなくても、失言には気をつけなければなりませんね。

1000本目

当ブログは本日、通算1000タイトル目を達成しました。

URLの後半は「 /blog-entry-1001.html 」となっていますが、欠番があるので今日が1000番目です。

6/30に1000本目になると、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-924.html" target="_blank" title="以前予告">以前予告</a>していましたが、計算違いしてました。今日が本当です。

「千里の道も一歩から」

開院後すぐに、ブログを始めたわけではありません。重い腰を上げるまでに、なんと8カ月かかりました。

つまり何事も、始めなければ始まらないのです。

「塵も積もれば山となる」または「枯れ木も山の賑わい」

2012年4月16日からは、連続投稿記録を更新中です。今日で807日連続。

でもその前は、4年弱で200本にも満たない。平均週1回ペース。まあ、続けたから今があるってことです。

投稿間隔の統計をとってみると、1カ月以上のブランクが空いたのが7回、最長は7カ月と5日でした。

熊日新聞の「読者のひろば」に、ブログと同じ内容の投稿をしたことが2回あります。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-235.html" target="_blank" title="心臓外科医不足">心臓外科医不足</a>について私見を述べたものと、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-358.html" target="_blank" title="MRワクチン接種制度の問題点">MRワクチン接種制度の問題点</a>を提起したものです。

医学的な話題ばかり書いても面白くないので、診療に関係ない話も、時々書いてみようと思っていました。

ところが気がつくと、医療とは無縁の内容ばかり。まったく無節操なブログになってます。ま、いっか。

横書き縦読み

新聞の番組表に仕掛けられたNHKの隠れメッセージが、ネットで話題になっていますね。

おとといの夜10時から放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀」のテレビ欄記事。

知らない方のために、そのままご紹介すると、

日本代表エースに密着

本田圭佑500日の記録

ガチンコ総取材▽ミラ

ン移籍舞台裏▽挫折を

バネに進化▽超極秘ト

レーニングにケニア人

W杯へ独占インタ▽祝

杯をあげる日まで◇N

いちばん左側の列を縦に読むと「日本ガンバレW杯」となります。やりますな、NHK。

この文面を作る作業はおそらく、とても楽しかったことでしょう。

今後も忘れた頃にまたやって欲しい。あくまでも、忘れた頃に、ですが。

ちなみに<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-820.html" target="_blank" title="今年の元日">今年の元日</a>、私もブログで同様の仕掛けを施したのですが、皆さまは気付かれたでしょうか。

あの時の私も、けっこう楽しかったのです。

旅行中のブログ

本日までの5日間の連続休診によって、地域の皆様方にはご迷惑をおかけしたことと思います。

明日からは、通常通りの診療に戻ります。祝日診療が3日続きます。

昨日までの3日間、熊本を離れていました。連続2日以上の旅行は、開院以来初めてのことです。

このブログに関連して言えば、旅行中の執筆をどうするのか、というのが問題でした。対処法は3つ。

(1)旅先で書く

インターネットの時代ですからそれは可能です。可能ですが、そんな旅ってどうなの、ってことです。

(2)書かない

ブログの中断です。連続更新記録が止まってしまいます。これは、避けたい。

(3)書いておく

ブログには「予定投稿」の機能があります。あらかじめ下書きして、掲載日時を指定しておきます。

というわけで、私は今回(3)を選択。

旅立ちの前夜、当日分も含めて、4本のブログを書きました。おかげで睡眠時間は3時間でした。

今読むと、推敲が足りていません。後日こっそりと、微修正するかもしれませんが、お許しください。

ていうかこのブログは、その日思ったことや考えたことを書くのが基本です。

あらかじめ書いておくのは、本来の趣旨に反します。やっぱり(1)にすべきだったのかも。

語尾の無声化

報道番組で、STAP細胞の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-919.html" target="_blank" title="小保方氏の記者会見">小保方氏の記者会見</a>での発言を聞いていて、あらためて感じたことがあります。

内容はともかく、その発音です。ずっと違和感を感じていましたが、どうやら語尾に問題があるようです。

「STAP細胞は、あります」の「あります」の部分を「ありまふ」って言ってるんですね。

しかも語尾の「まふ」の最後の「ふ」は、ほぼ無声音。「ありまfu」じゃなくて「ありまf」って感じ。

これで思い出すのが、社会民主党前党首の福島瑞穂氏。この人の語尾は、小保方氏と真逆。くどいんです。

「あります」と言うべきところであれば「ありますぅ」みたいに言う。

日本語の発音は通常、語尾の「ます」の「す」は無声化します。「masu」じゃなくて「mas」みたいに。

福島氏は、これを敢えて「masuu」みたいにしゃべるわけです。聞いてて子どもっぽく感じます。

逆に小保方氏は、「maf」です。これまたこれで、幼稚っぽい。

母音の無声化には、ほかにもパターンがあるようですが、国語の時間にきちんと習った記憶がありません。

外国人のしゃべる日本語で、あまり無声化ができていないそうですが、関西人にも無声化が少ないとのこと。

なかなか面白いテーマなので、また別の機会に検討してみます。

小保方氏の発音はともかくとして、福島氏は、語尾を無声化しないのではなく、できないのかもしれません。

埋却処分

多良木町の鳥インフルエンザ騒動では、11万2000羽の鶏が「埋却処分」されたと報じられました。

埋却処分という字面から、その意味はすぐに理解できますが、私は少し聞き慣れない気がしました。

「殺処分」よりはマイルドな表現ですが、意味するものは同じでしょう。

と思ってたら、今朝の毎日新聞には「殺処分した鶏は16日までに現地で埋却処分する」と書かれてます。

なるほど。厳密には、「埋却処分」は埋めることだけを意味するようです。

しかし、多くのメディアが埋却処分という言葉を使うときは、殺処分の意味も含んでいるはずです。

おそらく、殺処分という不穏当な表現は、なるべく避けたいのでしょう。

殺処分という言葉はもともと、「家畜伝染病予防法」に出てくる用語のようです。

しかし、その第十六条には「と殺の義務」と書かれているのに、第十七条は「患畜等の殺処分」という表現。

文章の流れからは「と殺処分」が自然なのに、何の脈絡もなく登場したのは「殺処分」という言葉なのです。

そもそも、殺処分という言葉には、日本語として違和感を感じます。なにか不完全で気持ちが悪い。

埋却処分を「埋処分」、焼却処分を「焼処分」と言うようなものです。

となると、殺処分の完全形は「殺却処分」と考えられるかもしれません。これ、使えませんかね。

ブログ更新連続2年

このブログも最近は毎日書いていますが、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-559.html" target="_blank" title="連続更新記録">連続更新記録</a>が、今日でちょうど2年となりました。

毎日更新って、それなりの「偉業」と言えるでしょうか。

そんなことより、オマエの「医業」はどうなっとるのか? というツッコミは受け流します。

今日のブログのURLの後半は、/blog-entry-924.html、となっています。

通算で924本目の投稿ということを表しているようですが、しかし本当は、923本目なのです。

何も内容を書かないうちに、間違えて「投稿」ボタンをクリックしたことが1回あり、欠番になっています。

それが何番目かは秘密にしておきましょう。

タイトルは重複しないように気をつけていますが、うっかり同じタイトルにしてしまったことがあります。

それが何なのかも秘密にしておきましょう。

新たなブログを書くとき、私が真っ先にチェックするのは、タイトルと内容の重複です。

同じネタを取り上げて、同じ切り口で書いてしまったんじゃあ、話になりませんから。

そのかわり、同じテーマを別の見方で書くことは、時々あります。ていうか、しばしばあります。

今後毎日更新を続けると仮定すると、6月30日には、通算1,000タイトル目を達成することになります。

さらに、通算2,000タイトル目は、2017年の3月27日です。

そして、記念すべき通算10,000タイトル目は、2039年の2月20日。私が78歳の時です。頑張ろうっと。

星新一賞受賞作

ちょっと目を離した隙に、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-828.html" target="_blank" title="第1回 日経 星新一賞">第1回 日経 星新一賞</a>」の受賞者が決定していたようです。

「星新一賞グランプリ決定」の文字を日経電子版で見つけ、愕然としました。

つまり、私は受賞しなかったということです。

私の応募作も、そこそこ面白く書いたつもりですが、大賞に選ばれるほどの自信はありませんでした。

グランプリに選ばれたのは、「『恐怖の谷』から『恍惚の峰へ』〜その政策的応用」(遠藤慎一著)

さっそく読んでみましたが、まあ、びっくりです。何よりも、そのスタイルに驚きました。

だって、科学論文の体裁で書かれているからです。こりゃまいった。

たしかに、主催者が求めるところの「理系文学」を追求すれば、こういうカタチもありなのでしょう。

この作品は、「題名」「著者名」「概要」「キーワード」「本文」「参考文献」から構成されています。

本文は、「はじめに」「方法」「結果」「考察」「謝辞」から成り、「図表」が数カ所挿入されています。

どう見ても普通の論文なので、このような文章を読み慣れていない人には、取っつきにくいでしょう。

しかし実際に読んでみると、これがなかなか読みやすい。

では書く方はどうなんだろうかと考えたとき、研究者にとっては、いちばん書き慣れた文体かもしれません。

おまけに、研究テーマや方法や結果から考察まで、すべて創作、書き放題なんて、極楽みたいな論文です。

論文の一部を創作したら「捏造」ですが、全部創作なら「文学」なんですね。

極小論文

きのう書店で立ち読みしていて、久しぶりに驚くべき記述を目にしました。

朝日新聞の夕刊のコラム「素粒子」の執筆者だった、轡田隆史氏が言うには、

「100行を書いて、3行に削る」

どんだけ推敲するんですか。簡潔な文章を書くのが職業の方とは言え、さすがに削りすぎでしょう。

長短だけでもないですが、読みやすい文章は書くのが難しく、簡単に書けた文章は読みにくいものです。

で、思いついたのが、入学試験や就職試験などでよくおこなわれる「小論文」です。

なにかテーマを与えて、80分で800文字とか、100分で1000文字とかの文章を書かせるという試験。

あれって、採点が大変だろうなと思うのです。論文の評価が難しいし、なにより、読むのに時間がかかる。

だいたい、短い時間で規定の文字数まで膨らませようと苦労して書いた文章など、贅肉だらけです。

それに、テーマが一つでは、受験者に運不運が生じやすいのも問題です。

それよりも、短くて引き締まった文章をたくさん書かせる「極小論文」試験はどうでしょう。

たとえば5個のテーマを与えて、200字の文章を5つ書かせる、とか。ツイッター風に140文字でもいいかも。

この方法なら、受験者の知識や思考力を多角的に評価できるし、なにしろ採点が楽ですけどね。