ひまわり8号

気象衛星「ひまわり8号」が3日前に、H-2Aロケットで打ち上げられました。

残念なことにこの朗報は、ノーベル物理学賞を日本人が受賞したニュースに埋もれてしまいました。

受賞者発表の日付が変えられないなら、打ち上げ日をずらすことはできなかったのでしょうかね。

それとも物理学賞は期待していなかったのか。9日の文学賞発表の前までには打ち上げとけ、みたいな。

あるいは宇宙論での日本人の物理学賞受賞を期待して、祝砲の如くこの日を選んで打ち上げたのか。

まあ結果的には、台風18号と19号の合間にうまく打ち上げられて、ちょうどよかったです。

その台風を含め、ひまわり8号の観測能力は、現在のひまわり7号と比べると、次のように向上するそうです。

(1)衛星画像の解像度が、1キロメートル四方から500メートル四方になる。

(2)白黒画像がカラー表示になり、たとえば雲と黄砂と火山ガスを区別できるようになる。

(3)30分に1回の観測頻度が、10分に1回になる。日本付近の台風観測では2分半に1回になる。

観測機能やデータ処理能力は、科学技術の進歩によって、今後いくらでも向上していくことでしょう。

大気だけでなく地底まで観測できるようになれば、懸案の、火山噴火の予知も可能になるかもしれません。

話は変わりますが、「医療法人ひまわり会つるはらクリニック」は、今月から開院8年目です。

ある意味「ひまわり8号」です。どうぞよろしく。

ノーベル物理学賞

ノーベル物理学賞は、赤崎勇、天野浩、中村修二の3氏が、同時受賞しました。

受賞理由は「青色発光ダイオード(LED)の発明」です。

LED照明やブルーレイディスクの実用化に結びついたこの発明は、身近で実感しやすいノーベル賞です。

受賞者の3人がまた、三者三様で面白い。各人の発言のうち、私が気に入ったフレーズをあげてみます。

(1)赤崎勇「自分がやりたいことであれば、なかなか結果が出なくても続けることができる」

目先の成果を求めるあまり、不本意な研究や仕事を手がけることが多いものですが、それじゃダメですね。

「一人で荒野を行く心境だった」と表現するほど、途方もなく先の見えない研究を、よく続けたものです。

85歳にして「まだすることがたくさんある」という赤崎氏。研究者魂を見せつけてくれます。

(2)天野浩「必ずできるとの信念があれば、あとは諦めないことだ」

諦めなければ成功すると、簡単に言いますが並大抵のことではありません。信念の強さがハンパないのです。

「世界で一番になれる可能性がある」という思いで研究したそうですが、天性の勘もあったのでしょう。

「私はまだまだ発展途上の人間です」と謙虚ですが、若いことのアピールかも。今後どれだけ発展するのか。

(3)中村修二「もうキレてしまって,前からやりたかった青色LEDをやると決意したのです」

発明の対価をめぐって企業を提訴したり、「怒り」を励みに研究に取り組んできたという、異色の人物です。

人真似をしたくないので「今度は文献を読まないと決めました」というのはある意味、背水の陣です。

で「窒化ガリウムを選んだのはやけくそでした」となるわけで、まあ、ぶち切れ人生みたいです。

それにしても、中村氏が米国市民(米国籍)としてノーベル賞を受賞したことは、痛恨の極み。

4次元宇宙

「宇宙はどのように始まったのか」 これはいつまでたっても、史上最大級の疑問でしょうね。

「ビッグバン」によって宇宙ができて、しかも膨張し続けている、という理屈で、以前は納得してました。

「インフレーション理論」がその後登場し、ビッグバンのその前の、宇宙の始まりの瞬間が説明されました。

それによると、「特異点」とよばれる1点から、宇宙が始まったことになっています。

点なので体積は無限に小さく、その中に宇宙の元がギュウギュウに詰まっているので、密度は無限大です。

この点が急激に膨張(インフレーション)し、ビッグバンを経て、今の宇宙が出来上がったというわけです。

では、その最初の特異点の周囲には何があったのでしょう? 無、ですか?

これは「宇宙の外側には何があるのか?」にも匹敵する、一般人が考えてはならない疑問でした。

ところがついに、この疑問に答える、驚きの新説が登場しました。それが「4次元宇宙」だそうです。

その4次元宇宙の中で、われわれの3次元宇宙が始まったらしいのですが、その詳細は私には理解不能です。

簡単に言えば、こういうことでしょう。とある宇宙の片隅で、150億年前に、われわれの宇宙が誕生したと。

つまり、われわれの宇宙誕生など、4次元宇宙の中で起きた小さな出来事にすぎないと、そういうわけです。

なんていいますか、ホントのホントの宇宙の始まりの解明が、先延ばしされたような印象がぬぐえません。

では4次元宇宙はどのようにして始まったのか。その疑問は、しばらくタブーなんでしょうかね。

ナップサック問題

荷物は自転車に背負わせる。自分でバッグを背負わなくなって以来、肩こりがずいぶん減りました。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1037.html" target="_blank" title="ハンドルバー">ハンドルバー</a>に装着したバッグの中に、いつも入れているのは、

(1)自転車だけに必要なモノ:パンク処置用品、バッグ用雨具、サングラスとメガネケース、塩飴

(2)自転車以外にも使うモノ:カギ、サイフ、スマホ、充電器とケーブル

このほかに、飲料のペットボトルは自転車のフレームに取り付けます。

問題は、このバッグが小さいことです。厳選した前述の携行品だけで、ほぼ満杯に近いのです。

自宅から職場まで、本やファイルを持って行くことすらできません。

では限られたサイズのバッグには、何を入れておくのが最良か。これがいわゆる「ナップサック問題」です。

物品のサイズと必要性とを勘案して、一定容量内に詰め込むモノの価値を最大化する方法を求めます。

このような理屈を利用した暗号のひとつに「ナップサック暗号」というのがあるそうです。

私には理解不能な領域に入りますが、わかりもしないのに興味だけはあります。

なぜなら、暗号解読とか、諜報機関とか、国家機密とか、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-933.html" target="_blank" title="NSA">NSA</a>とか、そういうのが好きだからです。

ナップサック暗号はすでに、解読法が見つかっています。数学的な暗号は、いつか解読されるものなのです。

現在使われている「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-596.html" target="_blank" title="RSA暗号">RSA暗号</a>」だって、数学の問題です。やがて解読される日が来るでしょう。

ところが、理論上解読できないという暗号があります。「量子暗号」です。私にはいよいよ理解不能です。

その「量子暗号通信」の実用化に、東芝がメドをつけたと、今朝の日経がトップで報じていました。

世界中の企業や機関が研究途上の量子暗号ですが、実用化されたら、NSAは商売あがったりでしょうね。

炭化水素と脂肪酸

「未来からの宿題」というタイトルの本が、注文もしていないのに宅配便で届きました。

どうやら「全国LPガス協会」が送ってきた、ていうか送りつけてきた、PR本のようです。しかも漫画。

主人公は、未来の小学生。タイムトラベルして、現代の小学生に意見を申し述べに来る、というストーリー。

エネルギー問題を提起するのは、まあ、許します。しかしこの「LPガス賛歌」みたいな話はなんですか。

「オール電化」の家に住む友達を、ちょっと意地悪っぽく描くところも、なんかイヤな感じ。

地震で停電になり、最後はオール電化の子が自分の過ちを認めて詫びます。電力会社にケンカ売ってますね。

昔の「プロパンガス」は、いつのまにか「LPガス(液化石油ガス)」という言い方になっているようです。

ボンベの中には、プロパン以外にブタンも充填されているからだそうです。

ブタンなんて懐かしい。化学で習いました。メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン・・・

これらの「炭化水素」は分子式も単純。それぞれ、CH4、C2H6、C3H8、C4H10、C5H12、C6H14・・・

モノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、などの数詞を覚えとくと、便利なんですよね。

思い出して来ました。炭化水素にカルボキシ(ル)基が付いたのが「カルボン酸」。その一種が「脂肪酸」。

途中に二重結合が入った脂肪酸を「不飽和脂肪酸」と言い、二重結合のことを「エン」と言ったりする。

炭素数20(エイコサ)で5個(ペンタ)の二重結合(エン)があれば、エイコサペンタエン酸(<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-952.html" target="_blank" title="EPA">EPA</a>)。

炭素数22(ドコサ)で6個(ヘキサ)の二重結合(エン)なら、ドコサヘキサエン酸(DHA)、て感じ。

エイコサは「えいこらさ」に似てるし、ドコサは「どこさ?」って感じで、どちらも親しみが湧きますね。

二重結合の多い脂肪酸(=<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-494.html" target="_blank" title="多価不飽和脂肪酸">多価不飽和脂肪酸</a>)は、細胞膜を柔軟にするので、人体にはとても有用なのです。

長周期地震動

UAE(アラブ首長国連邦)在住の若い日本人女性に、最近遭遇しました。とっさに私は、こう尋ねました。

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-209.html" target="_blank" title="ブルジュ・ハリファ">ブルジュ・ハリファ</a>に昇ったこと、ありますか」

世界一高いその建物には以前から興味があったので、もしや昇ったことがあるのではないかと思ったのです。

すると予想外の返答あり。「そこに住んでいます」と。私はうろたえ、言葉を失ってしまいました。

すばらしい眺望であることは容易に想像(想像以上?)できますが、でも住むとなると地震が気になります。

調べてみて驚きました。ブルジュ・ハリファには制震(制振)・免震設計がなされていないのです。

地震が少ない地域とはいえ、万一大地震に見舞われたらどうするの。大揺れ間違いなしです。

たとえ倒壊しなくても、あれだけ高いと、超高層ビル特有の「長周期地震動」が凄いことになるでしょう。

震源からかなり離れていても減衰しにくく、高いビルほど大きく揺れるのが長周期地震動です。

東日本大震災のとき、新宿の超高層ビルでは、3秒周期で数分間、約1mの振幅で揺れたともいいます。

この大きな揺れによって、建物内部では家具が転倒し、家具と壁と居住者が何度も激突することになります。

長周期地震動の固有周期は、建物の高さに比例して長くなります。

鉄筋コンクリート造の場合、固有周期(秒) = 建物の高さ(m)x2% という計算式で概算できるそうです。

ブルジュ・ハリファは828mなので、周期は16秒程度と異常に長い。振幅も数m以上でしょう。

将来ブルジュ・ハリファに昇る機会があっても、滞在時間は短めがよいですね。居住なんてもってのほか。 

超音波洗浄機

眼鏡店に行くと、超音波洗浄機を使ってメガネを洗ってくれます。

フレームとレンズの境目とか、鼻あて部分の汚れなどが、すっかり除去されてキレイになります。

超音波によって水中に微小な気泡が無数に発生し、それがはじけるときの衝撃波が、汚れを落とすそうです。

この洗浄機はなにも、メガネだけでなく、さまざまな用途に使うことができます。

医療用に使うなら、小さくて洗いにくいモノ、たとえば耳鏡の先っぽ(スペキュラ)を洗うときに使えそう。

そう思って、超音波洗浄機を購入したのですが、実際のところ、あまり稼働していませんでした。

あるときネットで、ビールの泡立て用の超音波振動装置の広告を見て、即買いしたことがあります。

ただし使ってみると、超音波発生パワーが弱いためか、泡立ち具合が悪い。

と、そこでひらめいたのが、超音波洗浄機です。これにビールを注いだタンブラーを入れたらどうなるか。

そこで昨日、クリニックの洗浄機をこっそり自宅に持ち帰り、試してみました。あくまでも実験です。

するとこれが、ど迫力。スイッチを入れた瞬間、多量の泡が発生し、グラスから勢いよく吹きこぼれました。

超音波で発生させた泡は、とてもきめ細かくてマイルドでクリーミーです。

そして多量の泡を吹きまくったビールはどうなったかと言えば、気が抜けてひどく間抜けな味なのでした。

電磁気力とリニア

物理学的には、私の周囲には、基本的に4つの力が作用していると考えられます。

(1)電磁気力(スマホから発する<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-503.html" target="_blank" title="電波">電波</a>とか、電子レンジから漏れてくる電磁波などによる作用)

(2)重力(自分の肉体に作用する重力をいかに減量するか、これがなかなか難しい)

(3)強い力(厚労省、税務署、家人など、私をとりまく力)

(4)弱い力(私の力)

電磁気力、という言葉から受ける印象で真っ先に連想するのが、私の場合は「リニアモーターカー」です。

離れたところに力を及ぼす<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-491.html" target="_blank" title="磁石">磁石</a>には、子どもの頃から興味がありました。

その磁石の反発する力で浮き上がって走るなど、夢の乗り物でしたが、それがついに実現しつつあります。

安倍首相が一昨日、ケネディ米大使とリニアに試乗して、最高時速500キロを体感したとか。いいなぁ。

山梨のリニア実験線の区間は、42.8キロ。どうせなら、42.195キロにすればよかったのに。

本来リニアモーターカーの特徴は、電磁力で推進することであって、浮上することではありません。

しかしどうしても、車体が浮き上がることにいちばん、未来的なものを感じます。

飛ぶイメージに近いからかもしれません。

そのリニアを浮かせているのは、現在は、車体と「軌道底面」との間の磁石の反発力ではないようですね。

初期の宮崎実験線ではそうでしたが、山梨実験線では「軌道側壁」の電磁石が車体を浮かせているそうです。

簡単に言えば、側壁下方の電磁石が反発力を、側壁上方の電磁石が吸引力を、車体に及ぼす仕組みです。

となると高速走行中は、側壁さえあればいいので、もはや地面は不要。これこそ飛ぶイメージ。未来的です。

STAP細胞疑惑

つい1カ月前に、あれだけ大騒ぎした<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-851.html" target="_blank" title="STAP細胞">STAP細胞</a>が、別の意味で大変なことになってきました。

報道された内容しか知ることのできない私には、STAP細胞の真贋を論じることはできません。

疑惑の中心人物、小保方晴子さんとの面識もないので、その人物像についても、何もコメントできません。

ただ、別の論文と同じ写真を使っていたという「ミス」は、申し開きの出来ない「大失態」でしょう。

さらに、別の研究者の論文の文章を「パクった(剽窃)」部分や、作為的な改変も見つかっています。

このような箇所がいくつも出てくると、もはやミスや不注意とは言い切れず、問題はとても深刻です。

どうして、論文投稿前に、共著者が徹底的にチェックしなかった(できなかった)のでしょうかね。

いずれにしても、あの画期的な論文の信頼性は大きく失墜してしまったわけです。

メディアというものは、いちど持ち上げた人物を疑い始めると、手のひらを返したように批判的になります。

科学的検証を推し進めるよりも先に、どうかすると人物・人格攻撃に転じたりします。

渦中の人、小保方さんは、メディアに登場しないので少し心配ですが、再現実験に取り組んでいるそうです。

論文撤回を提案した若山照彦教授も「STAP細胞を再現できる完璧な論文を作成したい」と言っています。

2人とも、STAP細胞そのものは疑ってはいないようです。ならばぜひ、雪辱を果たしてほしいものです。

STAP細胞

簡単な操作で細胞の「初期化」に成功した画期的発見ですが、それにしてもあまりに、簡単すぎます。

英科学誌ネイチャーに投稿したら、はじめは「細胞生物学の歴史を愚弄している」と却下されたという話。

新発見を高く評価する、科学雑誌の最高峰ネイチャーですら、簡単すぎて信じられなかったのでしょう。

今後メディアに登場し続けることになる「STAP細胞」なので、今日はフルネームを確認しておきましょう。

「刺激惹起性多能性獲得;Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency」がそれです。

ちなみに「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-370.html" target="_blank" title="iPS細胞">iPS細胞</a>」は「誘導多能性幹細胞(人工多能性幹細胞);induced Pluripotent Stem cells」。

いま受験生が「Stimulus」と聞けば、即座にその複数形の「Stimuli」を思い出さなければなりません。

ところで「Stimulus」と「Stimulation」との違いは何か。かつて基礎研究をしていたころの私の疑問です。

Stimulusは「個々の刺激」、Stimulationは「刺激すること」と当時は解釈していました(間違いかも)。

ならばSTAP細胞の「 S 」がなぜStimulusなのか。私にはわかりません。

「Triggered」は「誘発された」の意味ですが、iPS細胞の「Induced」との違いは何なのでしょう。

違いは無いけどあえて使わなかったとすれば、iPS細胞との違いを出そうということなのか。

「Pluripotent」とせずに「Acquisition of Pluripotency」としたところにも、同様の意図を感じます。

考えてみたら、STAP細胞の「TAP」とiPS細胞の「iP」は、まったく同じことを表現しています。

iPS細胞の「 i 」の前は省略されているのであり、省略した理由は「iPod」のようにしたかったからです。

しかし問題は、その省略した部分にこそあり、それは4つの遺伝子組込みという特殊で複雑な操作です。

一方でSTAP細胞は、さまざまな刺激が誘発し得るので、さらに作製が簡略化する可能性もあります。

やがてヒトの細胞でもSTAP細胞が実現すれば、今後iPS細胞の出る幕はあるのでしょうか。心配になります。