「MOMO5号機」打ち上げ失敗、ではない

民間単独開発のロケット「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2127.html" target="_blank" title="MOMO">MOMO</a>(モモ)」は、今朝打ち上げた5号機も、宇宙には到達できませんでした。

これまで5回の打ち上げのうち、成功した(=高度100キロの宇宙空間に達した)のは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2769.html" target="_blank" title="3号機">3号機</a>だけです。

1号機の打ち上げに失敗した後、打ち上げ場所のある北海道大樹町に、私はふるさと納税をして応援しました。

その次の2号機の失敗後、こんどは3号機のために、「インターステラテクノロジズ」社に出資しました。

いわゆる「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2560.html" target="_blank" title="クラウドファンディング">クラウドファンディング</a>」ってやつです。そしたら見事、3号機の打ち上げに成功したわけです。

以後、出資はせずに眺めていたら、4号機も5号機も失敗してしまいました。なので微妙な責任を感じています。

にしても、今回の5号機の機体のペイントって、すごくないですか。スポンサーのロゴが。

機体表面の大部分を占めている巨大な文字が、「お好み焼 北九州伝統の味 なにわ」ですからね。

ニュース映像では、ロケット「なにわ号」みたいに見えますよ。まるで大阪の下町ロケットじゃないですか。

ついでに、「北九州伝統の味」なのに「なにわ」って店名も気になりますけどね。

「今回の打上げでは多くの成果が得られ、今後のロケット開発に向けての大きな前進となりました」

今朝の「打ち上げ結果」について、「インターステラテクノロジズ」社はこのように述べています。

つまり、失敗ではないんですね。確かに打ち上げたのです。そして成果を得たのです。さらに次に進むのです。

「雨垂れ石を穿つ」の気持ちで、関係者のみなさんには諦めずに挑み続けていただきたい。

リチウム化合物

ノーベル化学賞受賞のニュースで、今日も大いに盛り上がっています。

医学・生理学賞の報道が淡々としていると思ってたら、やはり日本人が受賞するとすごいことになりますね。

研究の経緯や詳細、リチウムイオン電池の将来性、吉野氏の人柄等、いろんな切り口から報じられています。

その中でも、今夜の「報道ステーション」で富川MCが最後にチラッと口にした言葉が、私は気になりました。

それは「リチウム」という言葉のアクセントについてです。

「頭高型(例:仙台)」「中高型(福岡)」「平板型(熊本)」のどれなのか。

私は「カリウム」と同様に、中高型だと思っています。

「NHK日本語アクセント新辞典」にも「新明解国語辞典」にもそうあるので、間違いないでしょう。

ただ、リチウムという言葉が広く使われるようになれば、他の名詞と同様に平板化に向かうのかもしれません。

リチウムイオン電池についての報道を聞いていて、「リチウム=リッチ生む」なんて発想をしてしまいました。

こういう品の無いことを思いつくのが、私の悪い癖なのです。せめて「利智生む」を思いつくべきでした。

リチウム化合物は、昔から双極性障害の治療に使われてきました。

それ以外では、原子番号3番という好位置にありながら、リチウムは知名度の低い元素でした。

しかし近年、リチウム電池やリチウムイオン電池が開発されたおかげで、いまや花形元素です。

将来もっと重要な元素になるような気がします。原子が小さいのは、応用範囲が広いってことですよね。

リチウムイオン電池

「え〜見事に、あの〜今年のノーベル化学賞を受賞いたしましたことを、ご報告したいと思います」

満面の笑みでこう語る、吉野彰氏の開口一番を聞いて、私はズッコケました。もちろん、良い意味で。

「仲間たちのおかげで」とか「まことに光栄なことに」などの修飾語がなく、喜びがストレートなのです。

記者会見が実にざっくばらん。笑顔もいいというか、笑いすぎでしょう、このオッサン(失礼)。

ファラデーの『ロウソクの科学』を小学時代に読んで、理科が好きになったそうですね。

それなら私も小学生の頃に読んだような気がするのですが、読んだあとの生き様はだいぶ異なったようです。

この機会にまた読んでみたら何か得られる発想があるかもしれぬと、いまAmazonで1冊発注しました。

現代のIT機器に欠かせない「リチウムイオン電池」ですが、吉野氏らが開発したのは数十年前の話です。

画期的な研究業績にノーベル賞が与えられるのには、それぐらいの年月がかかるってことですね。

NHKを見ていたら吉野氏は、数年前まで携帯電話を持っていなかったとカミングアウトしていました。

これはある意味、世界のために研究したのであって自分のためではない、ってことの象徴みたいな逸話です。

電池応用の最終目標のひとつは、発電所に匹敵する規模の「蓄電所」を作ることでしょう。

太陽光発電は日中しか発電できないのがネックですが、蓄電が可能ならそのデメリットは消えます。

発電は全部太陽光に一本化でき、原子力発電所も火力発電所も不要になります。

そのような、世の中を変える次世代電池の登場が待たれます。電池研究はまだまだ盛り上がりそうですね。

低酸素誘導因子

ノーベル医学・生理学賞は、「細胞が酸素を感知し適応する仕組み」を解明した3人の研究者が受賞しました。

昨年とは打って変わって、日本人が受賞しないと報道量が圧倒的に少ないですね。これじゃイカンでしょ。

酸素は、生命活動に必要な基本中の基本物質。細胞内の酸素不足を敏感に感知する仕組みがあって当然です。

詳細をここで解説する能力は私にはありませんが、あらゆる細胞に関わる重要機構であることはわかります。

「低酸素誘導因子(HIF)」の面白いところは、細胞内で常に合成され、しかもすぐ分解されてる点ですね。

その分解には酸素が必要な酵素反応があり、低酸素状態になると分解が滞ってHIFが溜まります。

するとHIFはDNAに結合し、細胞機能のさまざまな調節因子の遺伝子発現を制御するというわけですよね。

(ざっくりと、私はそのように理解してますが、間違っていたら恥ずかしいので早めにご指摘ください)

貧血や心臓病や脳卒中など、低酸素が関連する病態にHIFは必ず関わっているため、臨床応用は広範囲です。

がん細胞が低酸素状態でもガンガン増殖できるのは、HIFを「悪用」しているからだとも解説されています。

HIF研究が今後臨床応用されていくとしたら、がん治療もその1つになるでしょう。

ただ一般的に、臨床応用に直結する実用的な研究ばかりを優先する昨今の風潮は、とても悲しいことです。

「人体の仕組みを知りたい」という純粋な気持ちこそが、将来の人類に貢献する大研究を生むと信じています。

残念ながら、そのような研究を育むための、教育環境・システム・予算が、いまの日本にあるとは思えません。

それ以前に、子どもの人口がジリ貧です。このままでは将来の研究者自体が足りません。どうするんだろ。

「日本の近年のノーベル賞ラッシュは、過去の遺産を食いつぶしたものに過ぎない」

3年前にノーベル医学・生理学賞を受賞した<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1827.html" target="_blank" title="大隅良典先生">大隅良典先生</a>の言葉が、ズシッと重いですね。

ホリエモンついに成功

「ホリエモンロケット」こと、観測ロケット「MOMO」3号機が、ついに今朝、打ち上げに成功しました。

1号機の失敗はしょうがないとしても、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2462.html" target="_blank" title="2号機の失敗">2号機の失敗</a>には愕然としただけに、3度目の正直にはホッとしました。

しかしこの3号機も、何度も何度も打ち上げを延期してヒヤヒヤさせられました。というのも私は、

「続ける。宇宙への挑戦。みんなの力でMOMO3号機を飛ばそう!」<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2560.html" target="_blank" title="プロジェクトに出資">プロジェクトに出資</a>しているからです。

このクラウドファンディングの目標金額2,700万円に対して、集まったのは1,981万円余りでした。

足りない部分は、ホリエモンたちが自腹を切ったのでしょうかね。

ホリエモン曰く、「宇宙は遠かったけど、なんとか到達しました。高度約113km」。

ここでいう「宇宙」とは、高度100kmのことを指しています。これは大気がほとんど無くなる高さです。

水平に100kmなら熊本から福岡までの距離ですが、その距離を縦にするともう宇宙ですか。

大気なんてのは、直径12,700kmの地球の表面の、ごくごく薄っぺらな存在なんですね。

今回は「宇宙空間への到達」で目的を達成しました。次はの目標は「軌道投入」ですね。期待しています。

JAXAなどのロケット打ち上げ費用が数十億円かかるのに対して、MOMOは数千万円とされています。

この低コストはすごいことです。なにしろ、打ち上げ費用の1000分の1弱を私が負担できるぐらいですから。

MOMO3号機の打ち上げは、当初4月30日の予定でしたが、バルブの不具合のため延期されました。

ロケットにおいてバルブが大事であることは、「下町ロケット」で勉強したのでよく知っています。

しかしその後も、5月1日も2日も3日も、強風のために打ち上げ見送りとなりました。

慎重を期した延期なのでしょうけど、不安になりますよね。このまま打ち上げ中止にはならないだろうかと。

なので今朝の打ち上げ成功は、とにかく良かった。出資者向けの打上げ成功記念グッズにも、期待してます。

動物性集合胚

「動物性集合胚」とは、人以外の動物の受精杯(受精卵が成熟したもの)に、人の細胞を注入したものです。

その取り扱い指針がこのたび改定され、今後の研究では、動物への移植やその出産が可能となります。

注入する人の細胞というのは、「ES細胞」や「iPS細胞」といった「多能性幹細胞」です。

多能性幹細胞はこれまで、シャーレで培養したり動物組織に移植して、「分化能」の研究が行われてきました。

それが今後は、動物の胎仔の体内で分化させ、それを出産させて取り出す研究が可能となるわけです。

つまり、ブタの胎仔を使って人間の臓器を作製できるということです。そのような手法が解禁されたわけです。

病気の人のiPS細胞を元に臓器を作製すれば、病気の原因解明や薬の開発研究に役立てることができます。

健常人のiPS細胞から作られた臓器であれば、移植用臓器として使うことができるようになるのでしょう。

動物の体内で人間の臓器を作るという、映画の題材にもなりそうな世界が、現実のものとなるわけです。

しかし、移植用臓器の不足を解決する手段であったとしても、私には少なからず倫理的抵抗感があります。

いや、未来の世界では、それが当たり前の移植医療となっているのかもしれませんが。

どうせそのうちに、膵臓や肝臓ではなく、脳を作ろうとするヤカラが現れるような気がします。

その集合胚を移植された動物の赤ちゃんは、人間の脳を持って生まれてくるのでしょうか。

動物ではなく、人間の子宮に移植したらどうなるのか、もう考え出したらキリがないほどの恐怖です。

ゲノム編集ベビー

中国人研究者が「ゲノム編集ベビー」を出産させたことが、世界中から批判を浴びています。

まず、遺伝子を改変する「ゲノム編集」技術そのものと、それをヒトの受精卵に応用したことは別問題です。

ゲノム編集技術は生命科学研究や応用に不可欠なものであり、今後ますます発展させるべき分野です。

ヒトの遺伝性疾患は、ゲノム編集技術によって将来は根絶できるかもしれないと、誰もが期待しています。

さらに動脈硬化や発がんについても、ゲノム編集によって予防できるようになるかもしれません。

しかし今のところまだ人類は、ヒトの遺伝子を自由に改変できるだけの、経験や技術の蓄積がありません。

日本遺伝子細胞治療学会などの関連4学会は今日、ヒトの受精卵への応用を禁止する声明を発表しました。

声明では「現時点で発展途上の技術であり、予期しない結果を生じる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。

はて、どこかで聞いたことがある表現ですが・・・そうそう、「原子力発電所」!

いまだに<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-398.html" target="_blank" title="放射性廃棄物の処理法">放射性廃棄物の処理法</a>は決まってないし、予期もしなかったメルトダウンまで起きてしまいました。

事故原発の廃炉にしたって、今後何十年かかるかわからない、試行錯誤が続くことでしょう。

一方でゲノム編集は、科学技術の進歩によって、やがて一般的な研究技術になることに違いありません。

大小無数のラボで研究が行われ、それらは当然、農畜産業や医療への「応用」を目指すはずです。

だからこそ、いまのうちから厳しい規制作りが必要なのでしょうけど、大事なのはその実効性ですよね。

功を焦った研究や、実験上の重大ミス、犯罪集団による違法な臨床応用など、何が起きるかわかりませんから。

本庶先生ノーベル賞

ノーベル医学生理学賞を、本庶佑・京大名誉教授が受賞しました。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2190.html" target="_blank" title="去年">去年</a>も<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1828.html" target="_blank" title="おととし">おととし</a>も、本庶先生がノーベル賞を逃した話を書きましたが、今度こそ、三度目の正直でした。

報道番組では、「PD-1」のことを少しは理解してる人が解説してほしいものですが、それはさておき。

本庶先生の発言は、含蓄があってしかも面白い。今後発刊される「本庶本(ほんじょぼん)」が楽しみです。

「より多くの人を救いたいから、弁護士ではなく医師を選び、臨床医ではなく研究者を選んだ」

発言をまとめると、このような進路選択だったようです。付け加えるなら、臨床研究ではなく基礎研究です。

「ネイチャー、サイエンスに出ているものの9割は嘘」

研究をかじったことのある者にとっては、雲の上にある雑誌ですが、まあ「STAP細胞」もありますしね。

「『不思議だな』と思う心を大切にすること」

誰にでも言えそうなことですが、疑問の解決を諦めないかどうかが肝要なのでしょう。常人は妥協します。

「いちばんしたいことは『エイジシュート』」

驚くしかありません。39歳のときにゴルフをやめた私は、年齢の3倍近いスコアしか出せませんでしたから。

安倍首相がさっそく、本庶先生にお祝いの電話をかけてましたが、安倍首相には危機感を持っていただきたい。

大隅良典氏の言葉をもういちど借りるなら、

「日本の近年のノーベル賞ラッシュは、過去の遺産を食いつぶしたものに過ぎない」

ノーベル賞がすべてじゃないけど、ノーベル賞を目指せるような基礎研究こそが、未来の世界を変えます。

次世代新幹線

次世代新幹線は、時速360kmで走るそうですね。将来は東京-札幌間を5時間で結び、飛行機に対抗するとか。

でも私は、電車の速度が速くなればなるほど、その運動エネルギーの大きさが心配でなりません。

新幹線は安全な乗り物だとずっと思ってきましたが、それは性善説に基づく考えだと、最近わかってきました。

車両メーカーもJRも乗員も乗客も周辺住民も、全員が正しく仕事し正しく行動することが前提の、安全です。

乗員が手抜きしたり、乗客や住民が予想外の行動を起こしたなら、これはもう、どうしようもない。

だいいち、乗客や周辺住民が車内や線路上で自殺するのを、どうやって防ぎますか。

まして、テロリストによる用意周到な破壊工作は、いまの新幹線のシステムでは絶対に防げないでしょう。

手荷物はノーチェックだし、線路ににも容易に侵入できることは最近の事件で証明されました。

乗客全員の手荷物チェックは現時点では不可能。線路への侵入を全区間で完全に防ぐのも無理なのです。

それと比べると航空機の場合は、保安検査があるし、滑走路にもそう簡単には侵入できません。

まして飛行中の機体を何らかの方法で攻撃するには、かなりの軍事力が必要です。

それに比べれば、新幹線のトンネルや鉄橋に時限爆弾を仕掛けることなど、テロリストにとっては容易です。

まして自爆テロなら、爆弾以外に何も準備が要りません(すみません、物騒なことばかり書いてます)。

16両編成の新幹線の座席数は1323席だそうですね。旅客機のざっと3〜6倍の乗客を乗せることができます。

その新幹線の営業速度をどんどん速めようとしていますが、その分、運動エネルギーも増えていきます。

福知山線事故は時速120km弱だったとされているので、360kmなら9倍以上の運動エネルギーになります。

車両重量も考慮したら、その差はもっとずっと大きくなるでしょう。考えただけで身震いしてしまいます。

保安検査を行って閉鎖された空間を走らない限り、新幹線は飛行機よりもずっと危険な乗り物かもしれません。

まあ、もっと危険なのは自動車でしょうけどね。

極超音速旅客機

ボーイングが、マッハ5の「極超音速旅客機」の実用化を目指していると報じられています。驚きます。

現在の一般的な旅客機の巡航速度はマッハ0.85ぐらいなので、その数倍の速度でブッ飛ぼうというわけです。

マッハ5と言えば、まさに「鉄腕アトム」のジェット飛行速度と同じ。

その後で登場した「スーパージェッター」のマッハ15はもっとすごいけど、これは完全に後出し。

アトムのパワーは10万馬力でした。じゃあ同じマッハ5の極超音速旅客機の馬力は、どのぐらいなんでしょう。

いやその前に、日頃乗ってる飛行機って、そもそも何馬力ぐらいなんでしょうね。

ジェット機のエンジンパワーは、「推力」という指標で表されるそうです(よくわからないまま書いてます)。

たとえば、ボーイング787に使われてるエンジンだと、「静止推力」は約7万重量ポンドだとか(ふ〜ん)。

馬力というのは仕事量なので、推力と飛行速度からの簡易計算式があります。

ポンド/キロ換算しつつ、速度マッハ0.85として算出すると、B787は28万馬力と出ました(素人計算です)。

アトムの2.8倍ですか。ていうか、アトムがすごいとみるべきか。

マッハ5だと日本から欧米への日帰り出張が可能になるそうですが、それも味気ないですね、空の旅としては。

私などは、機上で過ごす(しかも飲食とか仮眠などする)という非日常も、ゆっくり堪能したいものですから。

でも多忙なビジネスマンがファーストクラスに乗ったら、飲食は最低限にして、ひたすら寝てるとも聞きます。

飛行機代を取り戻そうという庶民的発想はなく、彼らにとって移動時間はやはりムダなのでしょう。