歩道の無い道路では、人が最優先のはず

下校中の小学生の列にトラックが突っ込み2人が死亡するという、痛ましい事故が起きました。

どうやら加害者は、飲酒&居眠り運転だったとのこと。まずはこの運転手の行為が、言語道断です。

また事故現場は、車が走る横を子どもたちが恐る恐る歩く狭い道路でした。この構造こそが最大の問題です。

道なんてのは、もともとは、人が歩くための通路だったはず。

ところがいつのまにか、人と車がともに利用する道では事実上、力の強い車の方が主役になってしまいました。

歩道と車道がどうしても区分できない道幅なら、その道では車がスピードを出せない設計や工夫が必要です。

残念ながら今回の現場は、見通しの良い直線道路。子どもの脇を凶器が高速で次々に走り抜ける場所でした。

加害者の運転手は罪を認めています。認めれば許されることではありませんが、まあ認めないよりはマシです。

どこかの上級国民の様に、どのような証拠が提示されようと、証拠の方が間違っているという人もいますから。

職業運転手には、飲酒や健康チェックが必須でしょうけど、それよりも、今回のような道路をどうするかです。

さまざまなヒヤリハットと同様に、個人の注意や努力に頼るのではなく、事故が起こり得ない道にすべきです。

じゃじゃ漏れの水際対策と、とほけた政治家

ウガンダ選手団の1人が空港検疫で新型コロナ陽性だったのに、他のメンバーらは泉佐野市まで移動した問題。

濃厚接触者と認定するまで3日間も長距離の移動を許すって、そんなにユルユルの「水際対策」ってあるの。

「水際」ってのは、この場合は空港でしょ。空港でいかにしっかり食い止めるか、そこに全集中しなきゃ。

最初の検査は空港で行っても、濃厚接触者の認定は移動先の保健所が行うという「縦割り行政」がもうダメ。

「疑わしきは隔離」。コロナの検疫はそれしかないのです。

テニスの全豪オープンでは、出場選手と関係者全員が、入国後に14日間の完全隔離を義務付けられました。

感染者と同じ航空機で入国した錦織圭選手らは、とても厳しい隔離対象となりました。

そこまで厳しい水際対策を行った大会の運営は、東京五輪のモデルケースになるともいわれたものでした。

ところが蓋を開けてみたら、東京五輪では序盤のうちから水漏れしまくり。

ウガンダ選手団に2人目の陽性者が出て、関係者が濃厚接触者に認定されるという感染拡大を招いています。

田村厚労相は、「市の職員が接触して濃厚接触になること自体、本来あってはならない」と発言しました。

どういう意味ですか。市職員への苦言(または叱責)に聞こえますが、もしもそうなら、とんだ筋違いです。

市の職員を感染者に接触させるような、そんな手ぬるい国の検疫システムこそが、あってはならないのです。

厚労相が言うべきなのは、「市職員を濃厚接触者にさせたことを、深くお詫び申し上げます」じゃないの。

最近、この人(田村氏)の口角から飛び出す言葉に、なぜかいちいちムカつきます。

政策の内容以前に、まず態度が不誠実

「五輪開催がコロナ感染拡大につながらないか、天皇陛下が懸念していると拝察している」

西村宮内庁長官のこの発言が、波紋を広げています。その発言に対する政治家の反応が気に入りませんね。

加藤官房長官はそれを長官ご自身の見解だと述べ、菅首相も同様に長官本人の見解だと言い切りました。

天皇陛下が政治的発言ができないことを考慮し、宮内庁長官も政治家も、このような発言になるのでしょう。

しかしたとえそうであったとてしても、政治家らの木で鼻をくくったような発言は、聞いてて不愉快です。

「長官の発言を聞き、私もまた長官と同じように、天皇陛下のお気持ちを深く拝察いたしたところであります」

せめてこのぐらい言えば、「どうせ口先だけだろ」とは思いながらも、不愉快な気分にはならないのに。

まあそのことに限らず、首相も官房長官も、何を問われてもはぐらかすし、発言が不誠実で中身がありません。

菅首相はよく、「いずれにせよ」、という言葉を使います。これは私がいちばん嫌いなフレーズです。

重要な質問を受けても明確な回答は避け、議論を終わらせ、自分の言いたいことだけを言うための接続詞です。

最終的には、自分の責任で決断すればそれで結構。でも、人の言うことぐらいちゃんと聞く態度でなきゃ。

感染収束の歓喜の中で、五輪開幕を迎えたかった

政府の分科会の尾身会長らは、東京五輪に伴う感染拡大リスクについての提言をまとめました。その要点は、

・当然のことながら、無観客開催が望ましい

・観客を入れるのであれば、現行の大規模イベントの開催基準より厳しい基準に基づいて行うべき

・都道府県を越える人の流れを抑制するため、観客は開催地の人に限る

・感染拡大の予兆があれば、時機を逸しないで無観客とする

・パブリックビューイングなどの応援イベントを中止し、飲食店などでの観戦の自粛要請を検討する

五輪中止は諦めた上でのギリギリの提言なのでしょうけど、実際はたぶん無観客にすらならない雲行きですね。

最近のNHKの世論調査でも、国民は政府の説明には納得していないけど、五輪開催には傾いているようです。

もはや中止を望んでも叶うまいという諦めなのか、国内の混乱を回避するために平和な道を選んだようです。

米国では、新型コロナワクチンの接種を完了すればマスクを着用しなくて良いと、CDCが発表しました。

カリフォルニア州などではマスク着用義務が解除され、Appleは店舗での顧客のマスク着用義務を廃止します。

マスクが不要になり、米国民は歓喜の中を大騒ぎしています。ホントに大丈夫なのかは後でわかるでしょう。

日本がいま米国のようなような状況だったら、どれほど喜びに満ちた五輪開幕を迎えられたことでしょうね。

その、たった数か月のワクチン接種進捗の差が、天と地ほどの差を生んだわけです。

次の接種ステージへの移行は速やかに願います

期待された新型コロナワクチン大規模集団接種会場で空きが目立つとは、さすがに予想できませんでした。

だからといって全国の高齢者に対象を拡大したときはに耳を疑いました。全国から高齢者を集めてどうするの。

ようやく今日から、対象年齢を18〜64歳に拡大させることになりました。流れとしては正解でしょう。

接種券が必要なので自治体によるスピード差の影響を被ることになりますが、やむを得ません。

むしろ、接種券なしでの接種が許容されている職域接種で、重複接種などのトラブルが起きないかが心配です。

いつどこで、誰がどのワクチンを接種したか、それを管理するアプリぐらい、ちゃっちゃと作って欲しかった。

接種会場でQRコードをピッと読み取ったらスマホに接種履歴が残り、それが厚労省にも送られる、みたいな。

同じアプリに、PCR検査の履歴も残るようにしたっていいわけですよ。接種歴と検査歴が一目瞭然です。

日本中でワクチンの接種が行われる事になることなど1年前からわかっていたのに、いまの準備不足は何。

行政のIT化が遅すぎます。日本人に無理なら台湾に外注したっていいんですよ。3日で作ってくれますよ。

熊本市のワクチン予約システムはトラブルが予想されたので、私は早々に離脱しました。それは正解でした。

当院ではこれまで約1カ月、何の支障も無く、日々のワクチン接種を粛々と続けています。

来月には64歳以下へ接種対象が拡大されますが、熊本市に従えば、予約開始が7/10で接種開始は7/26です。

でもその規定を厳しく守ろうとしたら、接種を足踏みして時間を無駄にすることになる可能性があります。

もはや原則や公平性にこだわるのはナンセンス。市民への接種を早く完了することが最重要目的なのですから。

ANAが「職域接種」を開始

新型コロナワクチンの「職域接種」は、ANAが一番乗りしました。まずは国際線の乗務員から。

いやホント、この人たちには最優先で接種すべきですよね。職域接種制度が作られて良かったです。

医師1名・看護師ら3名などの体制で、1日当たり300名の接種を行う予定とのことですが、今日はまず50人。

当初は6月21日から始める予定だったものを、ANAは「準備が整った」ので、大幅に前倒ししたようです。

始められるから始める。やれることはすぐやる。こんな当たり前の機動性が、自治体接種にもほしいですね。

熊本市では来週6月18日から、12歳から64歳の市民への接種券の発送を、年齢順に開始します。

てことは、6月下旬から接種券が届き始めるわけですね。

ところが予約受付開始は、早いグループ(60歳以上・基礎疾患のある方など)でも7月10日からです。

また接種開始は、7月26日から。これはつまり、65歳以上の方の接種が済んでから、という考え方です。

集団接種はもちろんですが個別接種でも、このような接種時期の遵守が、おそらく求められるでしょう。

でも、そんな規定をバカ正直に守らなければならないのでしょうか。現場には臨機応変にやらせてほしい。

高齢者向けの7月中の個別接種枠に空きがあれば、64歳以下の方の接種をそこへ入れたっていいでしょう。

そのための予約受付も、どんどん進めていけばいいと思います。何でも早めにやることですよ。

大事なのは、接種を希望する市民全員が最も早く接種を完了できるためには何をすべきか、ってことでしょう?

公平性を保つために全員の接種が遅くなるような愚を繰り返すことだけは、もうやめましょう。

東京五輪まであと45日に迫り、大盛り上がり中

東京五輪開幕まで、あと45日。盛り上がってますね。ただし、開催できるのかどうかの議論で。

日本中が五輪一色に染まっているはずだったこの時期に、誰も予測できなかった展開が進行中です。

もはや五輪の再延期や中止を決断できずに突き進むしかない政府を、批判しながらも諦め半分に見ている国民。

新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が4日前に、こんな状況での五輪は「普通はない」と発言しました。

解釈は分かれます。普通はやらないほどの状況なんだから覚悟せよ、という意味で言ったのかもしれません。

しかしまた言葉通りに、普通はやらんぞアホか、と言いたいのかもしれません。

尾身会長はさらに、五輪開催に関する提言を準備していると発言したものだから、政治家が反応しました。

田村厚労相は、「(尾身氏の提言は)自主的な研究の成果の発表だと受け止める」と、突き放す言い草。

都合の悪い提言が予想されるため、何を言われても重要視はしませんからねと、前もって釘を刺したわけです。

専門家が何か言う前から、聞く耳を持たない姿勢を公言するとは、政治家としてまことに残念な態度です。

批判が相次いだためか田村氏は今日、「研究の自主性はいちばん重要」だと、苦しい釈明を始めました。

「誤解を招いたとしたら、言葉の使い方を改めなければならない」という言い訳はしかし、響きません。

最終的には、政治決断をしていただければそれで結構。どんな結果であれ、国民が選んだ政治家ですから。

それなのに政治家は、ごまかしたり、はぐらかしたり、国民に対して誠実じゃないからダメなんです。

国民も、政治家も、ともに新型コロナ感染症の被害者のはず。どうして同じ側に立てないんでしょうね。

3度目の正直、ていう感じの特別感がない

新型コロナウイルスの3回目の緊急事態宣言が、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に発令されました。

3度目の正直なんですけど、かわり映えしませんね。政治家も相変わらず、困った発言をしています。

「街灯を除き、全ての明かりを消すように徹底していきたい」(小池都知事)

「都民は蛾ですか?」という批判もありますが、夜でも明るい繁華街に集まる若者は、たしかに減らしたい。

しかし、早く、短く、強い措置で、コロナをガツンと減らそうという時に「灯火管制」とは、ズレてませんか。

「何としても感染拡大を抑えたい。誰よりも強く思っています。夜中に何度も目が覚めます」(西村担当相)

悪い人じゃないんでしょうね、この人。真面目です。たぶん勉強家。ですけど、弱い。

「希望する高齢者に、7月末を念頭に、各自治体が2回接種を終えることができるようにする」(菅首相)

新型コロナワクチンについての、極めて楽観的な見通しを、全国的に告知していただきました。

こんなこと言われると、予約を巡る混乱が懸念されます。もう、大風呂敷ばかり広げないでいただきたい。

前にも書いたように、当院かかりつけの高齢者への接種だけでも、8月下旬までかかる計算なんですからね。

できるだけ、接種ペースをアップしたいですけど、今後の発熱外来の混み具合がどうしても心配です。

ワクチンの接種を進めようという矢先に感染者が急増するという、予想していた通りの最悪のシナリオです。

国民全体へのワクチン接種を最速で完了させるためには、いまの感染を徹底的に抑え込まなければなりません。

それこそが、今回の緊急事態宣言の目的でしょう。だったら、本気でガツンとやらなきゃ。

第4波の中でワクチン接種は進むのか

「今のペースではコロナワクチン接種完了は7年後!?」

日経メディカルの記事のタイトルは、笑うに笑えないというか、でも笑うしかないというか。

今の接種ペースのままであれば、という仮定での話なので、これからペースアップすれば挽回できるはずです。

ワクチンの自国開発の遅れや、輸入に手間取ってきたことなどは、もはや非難してもしょうがないですね。

9月末までにワクチンの確保が完了するのが本当なら、どうやって接種ペースを上げるかが今後の焦点です。

熊本市では5月19日から、65歳以上の方への優先接種が始まります。

各医療機関はいま、何月何日に何人に接種できるか、その計画表を作成中です。保健所への提出期限は明日。

一般外来に加えて当院では発熱外来も続けているので、コロナワクチンの接種にあてる時間は限られます。

最初の1クール(3週間)の接種が終わったら、次の2クール目は、その方たちへの2回目の接種で一杯です。

当院かかりつけの方から接種をしようと計画中ですが、それだけでも4クール(12週間)ほどかかる計算です。

かかりつけではない高齢者への接種を行う枠が、当院ではあと3カ月間は作りたくても作れません。

こんなことになったのも、ワクチンを接種する段になって、コロナの第4波が重なってきたからです。

ワクチン接種の時期までにコロナを抑え込んでおかなかった、国の施策の失敗を責めても、後の祭り。

コロナ診療で多忙な、地域によっては疲弊している医療現場に、ワクチン接種の余裕はあまりないのです。

熊本ですらこの状況ですから、大阪や東京でワクチン接種が進むんだろうかと心配になります。

ウ〜マンボ〜

マンボミュージシャンのパラダイス山元氏が、週刊誌の取材を受けたと、今朝の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3420.html" target="_blank" title="Clubhouse">Clubhouse</a>で言ってました。

どうやら、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-3468.html" target="_blank" title="まん延防止等重点措置(通称「まん防」)">まん延防止等重点措置(通称「まん防」)</a>」から発想した、こじつけ取材のようです。

この措置の名称からは誰もが、「マンボウ(魚)」を連想してしまいますよね、普通。

さらに、「どくとるマンボウ北杜夫」を思い出したり、「ウ〜マンボ〜」と叫びたくなったりするわけです。

しかしあからさまに面白がると不謹慎な雰囲気なので、メディアではあまりイジラないような印象ですね。

こういうのも一種の「言葉狩り」なんでしょうか。元々は「まん延防止等重点措置」って命名が悪いんですよ。

すでにコロナがまん延している都道府県に、まん延「防止」等重点措置を適用するのも、いかにも後付けです。

本当に防ぎたいのは、緊急事態宣言の発出でしょう。前回の宣言の解除を批判されたくはありませんからね。

なので名称は「緊急事態宣言発出防止等重点措置」にしてはどうですか。通称「緊防(きんぼう)」。

今日の新規感染者数は、関西、首都圏、沖縄が大爆発する中で、全国で熊本だけがゼロ。まったく驚きます。

こうなったらもう、今すぐにでも熊本を鎖国したくなる気分。

せっかく熊本にコストコができたというのに、医療従事者としては安易に行くことがはばかられます。悔しい。

ニュース映像を見ていると、関西圏や首都圏の街中の人出の多いこと多いこと。街の市民たちの声は、

「こんなに人が多いとは思いませんでした」あのね、あたなたちが街に出てくるからでしょうが。

「みんな、緩んでますね」こら、あんたが言うな。