一升酒

野田首相がおとといの夜、「久しぶりにしっかり一升飲んだ」そうです。

そのような深酒をしたこと自体と、それを公言してはばからないことの2点で問題です。

国家の危機管理上どうなのか。

「久しぶりに」とか「しっかり」という表現からは、

「日頃は節制してあまり飲んていなかったが、昨夜は痛飲しましたよ」

という風な、なぜか余裕すら感じます。

どうやら、気の置けない仲間(腹心たち)との会合だったことは間違いなさそうです。

「一升」という量が多すぎるのかどうかは、その人のアルコール処理能力等にもよるでしょうが、一般的にはかなりの酒量です。

それを悪びれもせず白状するのは、酒豪の野田さんにとって、一升なんてたいした量じゃないのでしょうか。

それとも、楽しい酒席だったことを強調するために、酒量を少し「盛った」のかも。

料理店の滞在時間は3時間弱。正味150分として、15分に1合のペースで10合。

そんなときに首都直下型地震でも起きたら・・・私ならもどしそう。

便乗商法

ホイットニー・ヒューストンが亡くなりました。

Appleが運営する英国のiTunes Storeが、こともあろうに彼女の訃報が伝わった直後に、そのアルバム価格を引き上げ、批判を浴びています。

「便乗商法」としては愚策。まったくがっかりな話です。

真相は、ソニー・ミュージックが楽曲の卸値を引き上げたため「自動的に」小売価格が上がった、ということのようです。

卸値を上げた理由は、「社員の人為的ミス」とソニーは言い訳しています。

まさか「この機に乗じて一儲けしようと思いました」とも言えないでしょう。

しかし、ソニーが原因であったとしても、結果としてAppleの評判も落としたとすれば、iTunes Storeの料金システムに問題があることが、今回露呈したわけです。

音楽のネット配信において、現時点で圧倒的シェアを占めているのはiTunes Storeですが、Amazonがシェアを伸ばし、Googleも攻勢をかけています。

Appleは安穏としてはいられません。

とりあえず、Appleが今回採るべき「便乗商法」は、ホイットニーの楽曲の「値下げ」でしょう。

ウソつきの言うこと

「オオカミが出た」とウソをついて大人をだました羊飼いの少年が、本当にオオカミが出たときに誰にも信じてもらえなかった、というイソップ物語があります。

その結末については昔から議論されていて、私もずっと気になっていました。

つまり、最後にオオカミに食べられてしまったのは誰か、ということです。

それによって、この物語から得られる教訓が変わってくるからです。

少年が食べられたのであれば、「ウソばかりついていると、人から信用されなくなるよ」という戒めになります。

ところが、村の羊が食べられたとするならば、「ウソつきの言うことでも、先入観を持たず耳を傾けるべきだよ」という話になってしまいます。

そしてイソップの原典は後者だとされています。

日本でいま、「ウソばかりついている人」と言えば、政治家、官僚などがあげられます。

とくに東電。何を言ってもすんなりと信じることができません。

異常な高温を示した、福島第一原発2号機の温度計について、東電は「故障」と断定しました。

たしかに科学的にはその通りかもしれません。

しかし、「温度計が故障していない可能性も考慮して、これこれの対策も講じております」とのひとことがなぜ出てこないのか。

事故当初、水位計の故障に気付かなかった件は忘れてしまったのでしょうか。

東電に反省がないものだから、国民も信用する気になれないわけです。

ラジウムとラドン

世田谷で相次いで発見されたホットスポットの原因は、ラジウムと報道されました。

ラジウムと言えば、キュリー夫妻が発見した、由緒ある放射性元素です。

自然界のウランが放射線を出しながら崩壊して、ラジウムに変わります。

そのラジウムがアルファ線を出すと、ラドンという気体に変わります。

地球上の自然放射線の大半が、ラドンによるものだそうです。

ラジウムもラドンも、温泉(放射能泉)でおなじみの元素です。

放射線は、ごく微量であればむしろ生体に有益である、との考え方があり、ホルミシス効果といわれています。

それが放射能泉の効能でもあるわけですが、議論の余地のある学説です。

それにしても、今のご時世、ラジウム温泉の客の入りはどうなんでしょうか。

ついでに、ラドンで思い出すのは「大怪獣ラドン」。ご当地熊本阿蘇出身(?)の怪獣です。

名前からして、その誕生に際しては放射能が関係しているのかと推測したのですが、ネットで調べてもはっきりしません。

検証のために、「空の大怪獣ラドン」(1956年, 東宝)のDVDをAmazonで購入して、観てみました。

カギは、平田昭彦演じる古生物学者の柏木博士が握っていました。

博士は怪獣を、白亜紀の翼竜プテラノドンが現代によみがえったものと断定し、その略称として「ラドン」と呼び始めました。

しかしなぜプテラノドンが復活したのかと問われて博士は、原水爆実験が関係している可能性がある、と答えています。

ゴジラ同様、怪獣という突拍子もないモノを登場させる要因としては、核実験がうってつけだったようです。

結論。怪獣ラドンは、元素ラドンとは無関係だけど、放射能とは関係があるかも。

少子化

「完結出生児数」が初めて2人を下回ったと、最近厚労省が発表しました。

私は初めて聞く言葉ですが(もしかして学生時代に公衆衛生学の授業で習ったかも知れませんが)、「完結出生児数」とは、結婚した夫婦の間に生まれる子供の数のことだそうです。

これまでによく聞いていた「合計特殊出生率」は、未婚既婚を問わず、女性が生涯に産む子供の数。

これが減っている原因は、晩婚化や未婚者の増加だろうと思われてきました。

ところが今回、結婚した夫婦の子供も減っていることが判明したわけです。

晩婚化が進んだために、結婚しても出産適齢期を逃してしまう、そのように分析されています。

少子化問題は深刻です。

中国のような「一人っ子政策」をとったわけでもないのに、どうして日本でここまで子供が減ったのか。

それは日本が、働く女性にとって「結婚しにくい」「産みにくい」「育てにくい」国だからでしょう。

社会のしくみが実質的に「一人っ子政策」として機能しているわけです。

私も、「女性の職場」の事業主として、それが痛いほどわかります。

これから日本は、問題点をひとつひとつ解決しなければなりません。

子供の3,4人、楽勝で育てられるような国になるといいのですが。

アキレスと亀と年金

まず、「アキレスと亀」の話を復習。

アキレスという、足の速い人が、のろまの亀を追いかけます。

いま亀のいる位置まで、アキレスが到達したとき、亀はもう少し向こうまで進んでいます。

アキレスがその場所まで走っても、亀はもう少し先にいます。

アキレスがいくら追いつこうとしても、常に亀はその先にいる。

永久に追いつけない。

この話を初めて聞いた幼少期、本当に追いつけないような気がしたものです。

さて、年金です。

厚生年金の支給開始年齢は、現在65歳に向かって段階的に引き上げられているところですが、これがやがて68歳、あるいは70歳になりそうな話が出てきました。

開始年齢に到達したと思ったら、それが延長されている。

やっとそこまで追いついたと思っても、また延長されている。

こうして永久に追いつけない(その前に寿命が来る?)。

ホットスポット騒ぎ

世田谷でホットスポットが見つかったと聞いて、はじめは、原発事故の影響の大きさに驚きました。

ところがよく調べてみたら、原因は民家の床下に「埋蔵」されていたラジウムだったと。

この顛末を聞いて、松本サリン事件を思い出しました。

オウム真理教のしわざであるにもかかわらず、当初は第一通報者の河野さんが濡れ衣を着せられ、家宅捜索を受けました。

その結果、たまたま自宅内にあった「薬品類」が発見され、それがサリンとは無関係の薬品であるにもかかわらず、「やはり怪しい」との烙印を押され、冤罪事件が発展しました。

今回は逆に、個人宅の「薬品」が原因だったのに、原発(=東電)が濡れ衣を着せられたわけです。

ホットスポットと聞けば、条件反射に原発事故の影響と思い込んでしまう。

冷静な判断力を失いかけていなかったか、ふと考えさせられる、ラジウム事件でした。

ジョブズ死去

Apple創業者、スティーブ・ジョブズ氏が、亡くなりました。

ニュース映像で見るたびに風貌はやつれていくのに、新製品・新機軸を発表し続ける彼のバイタリティーには衰えがありませんでした。しかしその病状・体調は、本当にギリギリのところだったのでしょう。

ジョブズはかつて、自分が創業したAppleから追放されたことがあります。革新的過ぎる彼の発想に、会社がついて行けなくなったのです。

その11年後、彼は経営の傾いたAppleに復帰し、立て直し、ついにAppleを株価総額で世界最大の企業にしました。

iMacに始まり、iPod、iPhone、iPadと、次々に繰り出される新製品には驚くばかりでしたが、これでもジョブズは、「革新的過ぎないように」スピード調整して、絶妙のタイミングを計っていたのかもしれません。

ジョブズが追求してきたのは「便利で、美しくて、新しくて、楽しいもの」です。

日本のメーカーが「高性能・多機能・汎用性・低価格」を優先して、ただの工業製品を量産してきたのとはまったく発想が異なります。

20年以上前、私がNECのパソコン(9800シリーズ)からAppleのMacintosh (SE/30)に乗り換えたとき、パソコンというものが、何か作業をするための道具ではなく、たださわるだけで楽しめるものだと感じ、驚きました。

「スティーブの才能、情熱、活力は、私たちの生活を豊かにし、向上させてきた数え切れない革新の源だった。スティーブのおかげで世界は計り知れないほど良くなった」

Apple社は今日、このような談話を発表しました。

私はこれに、「世界を楽しくしてくれた」と付け加えたいです。

脂肪税

デンマークで「脂肪税」導入、と聞いて思わずおなかに手をやりました。

まさか、体脂肪率に応じて所得税率を決める? 

実際には、バターなどに対する課税のようです。生活習慣病を予防し、平均寿命を伸ばすのが目的とのこと。

デンマークと言えば、所得税*50%、消費税25%でありながら、「世界でもっとも住みやすい」と評価されている福祉国家です。

デンマークの平均寿命は79歳(2009年)。それほど悪い数値ではないような気もしますが、平気寿命が83歳で世界1位の日本に当てはめると、79歳というのは1990年時点の数値です。

日本が寿命を4歳伸ばすのに20年かかったと思えば、並大抵のことではないのでしょう。

さらに調べてみると、1972年にはデンマークも日本も、ともに平均寿命は73歳でした。

私が生まれた1960年までさかのぼると、日本68歳、デンマーク72歳。

デンマークは伸び悩んでいるというよりも、もはや成熟してしまっているのかもしれません。

福祉国家を自認するデンマークとしては、この成熟に満足してはいけないと、脂肪税導入に踏み切ったのでしょうか。

そのうち「糖質税」とか「プリン体税」とかも出てきそうです。

*(住民税やその他の複雑な税を含む。算出法により異なります。)

野田新総理

「ドジョウが出てきてこんにちは」

野田氏を見て、このフレーズを思いつき膝を打ったのがつい昨日のこと。

私よりも先にこれを思いついた者がいるだろうか、とググってみたら、すでに星の数ほど使われていました。残念。

少し前まで、野田氏のことはあまりよく知らなかったので、好印象は持っていませんでした。

それに、いまの民主党では誰が総理になっても「ドングリ」かと。

しかし報道等を見るにつれて印象は変わるものです。

自らをドジョウに例え、泥臭い政治を行っていくと語る野田氏。

震災後の対応で、泥沼(=お池)にはまってしまった前総理よりは、だいぶマシかも。

駅前演説を20年以上続けているそうで、本人曰く、「駅前演説は野田、駅前留学はNOVA」

このダジャレが私の琴線に触れてしまいました。ダジャレ好きに悪い人はいません、たぶん。

格好つけてないとこが、この人のいいところかもしれません。

正式には明日総理大臣に任命される野田氏。間接的とはいえ、国民が選んだ首相です。その手腕・行動力に期待させてもらいましょう。

できることなら、ちょいちょいダジャレを発するくらいの余裕もほしい。