岸田内閣、支持率低迷

NHKの世論調査によると、岸田内閣を「支持する」と答えた人は29%と、ついに30%を下回りました。

支持しない理由は「政策に期待が持てないから」が大半で、支持する理由は「他の内閣よりよさそうだから」。

つまり多くの方が、政策には期待を持てないけれど他に選択肢がないのでしょうがない、という状況です。

神田財務副大臣が過去に税金を滞納していた件は、彼を更迭してもなお、岸田首相の評価は回復しません。

思うに岸田氏は、一見誠実に見えるけどやってることがダメで、その期待外れ感が彼の評価を下げるのです。

期待と現実のギャップが大きいほど印象が悪いのは世の常です。裏切られると恨みが募るのです。

副大臣の件では「政治は結果責任だ。国民におわびを申し上げなければならないと思っている」と岸田氏。

「結果責任だ」と言えばいかにも潔いですが、自分の判断には問題がなかったという言い訳に過ぎません。

結局は責任逃れの方便であり、そんなことを被害者面して言うようでは、誠実な態度とは言えません。

「任命責任については重く受け止めている」と岸田氏は言いますが、これも結果責任と同じで誠実味ゼロです。

自分の任命判断が間違いだったからこのような結果に至ったと、そう言えば良いのに決して言わないのです。

岸田政権には「他の内閣よりよさそう」に見える強みがあるのだから、思い切って自己流にやればいいのに。

酒気帯び運転で心臓外科医が懲戒免職

酒気帯び運転で物損事故を起こした熊本市民病院の小児心臓外科の医師が、懲戒免職処分になりました。

開業前の7年間、私が奉職していた市民病院の、若き心臓外科医です。私の後輩です。残念でなりません。

と同時に、どうして飲酒後の運転が絶対にダメだと判断できなかったのか、不思議でなりません。

私もずいぶん昔の大昔、まだ体内にアルコールが残っているのに運転した過去はあります。

しかし近年は、どのような微量の酒気であっても、絶対に運転はしません。

例の福岡での悲惨な飲酒死亡事故以降はなおさらです。酒気帯び運転が疑われることさえ、避けています。

酩酊していなくても、加齢によって運転能力が乏しくなって事故る方もいますが、それはまた別の話。

少なくとも、飲酒した後に運転するのは故意の行為であり、加齢よりもはるかにタチが悪い犯罪行為です。

その意味で、今回のようにたとえ自損事故で被害者がいなくても、厳しい社会的制裁は免れません。

奇しくも、橋の欄干に衝突したようです。福岡の事故も橋の上でした。今回はホントに、自損で良かった。

他人を殺さず、誰も傷つけずに済んだことが、どれほど運が良かったかと思わなければなりません。

医師の猛省と社会復帰、そして将来は心臓外科医として多くの子どもの命を救うことを、心から願っています。

制度「改悪」前の駆け込みふるさと納税

ふるさと納税の経費ルールが10月から見直されることになり、いま「駆け込み納税」が増えています。

かく言う私も今日、フルーツや肉の返礼品を期待して、何カ所かの自治体に寄付を行いました。

昨年は11月に駆け込んだので、実は今年も同じ時期に寄付しようと思っていました。

というのも、12カ月連続で返礼品が届く「定期便」を多用しているからです。

今回2カ月前倒ししたので、10月と11月は定期便がダブって届くことになりますが、まあそれはしょうがない。

報道番組が取り上げていた、飯塚市の「鉄板焼ハンバーグ デミソース20個」も、発注してみました。

いまは20個で1万円のところが、来月から1万5千円に「値上げ」されると聞いたら、そりゃ駆け込むでしょう。

ふるさと納税の制度は、総務省の当初のもくろみとは違った方向に、しかしずいぶん発展してきました。

過度な「返礼品競争」が批判されますが、自治体の工夫が生かされる面も大きく、市民からも好評だったはず。

この展開を予測できてなかった総務省が、後出しで制度をどんどん改悪している現状には、疑問を感じます。

しかし、本来の税収のうちの50%が返礼品と事務コストに消えてしまうことが、そもそも問題ではあります。

さらに、高額納税者ほど得をする制度設計も問題ですが、誰に配慮したのか、その部分は放置されたままです。

そんなオカシな制度ではありますが、とりあえずオトクなことが多いので、今のうちに享受するのみですね。

風評被害対策パフォーマンス

福島第一原発の処理水の海への放出が開始されました。問題は風評被害と中国の過剰な反応です。

岸田首相は今日、福島県沖でとれたヒラメ、スズキ、タコの刺身を食べ、安全性をアピールしました。

西村経産相も2日前に、ヒラメとホッキ貝の刺身を試食して「美味しいのひと言」だと述べました。

たしかに美味しいだろうし安全だとも思いますが、そんなパフォーマンスが風評被害対策になるんですかね。

まるで昔の、菅(かん)厚生相の「カイワレ大根試食」じゃないですか。

あれは、O-157による安全性への風評被害を打ち消すためのパフォーマンスでした。

あるいは、狂牛病のときに坂口厚労相と武部農水相が演じた「牛肉試食」を思い出した方もいるでしょうか。

菅氏とか武部氏って、何をやってもわざとらしくてウソっぽい御仁ですから、試食すればするほど逆効果です。

岸田首相がそのような人たちと同じパフォーマンスをやるのは、行きがかり上とは言え、残念でなりません。

彼が魚を何十匹食べたところで、処理水放出の安全性については、科学的には何の証明にもなりません。

むしろ逆に、危険性が疑われる食材を勇気を持って毒見して見せているようにも思えてしまいます。

中国の反応を非科学的だと笑うことは出来ません。試食パフォーマンスを見て、なおさらそう思いました。

元をたどれば、大津波が来るという科学的予測を信じず、対策もせずに原発を稼働し続けたのは日本です。

原発処理水放出開始へ

福島第一原発に溜まりつ続けている処理水を薄めて海に放出する計画は、24日にも始まることになりました。

延々と議論は続いていましたが、いざ決定すると早いですね。あさってですか。

それが安全基準に合致していることはIAEAのお墨付きなので、科学的には私はもう異を唱えたりしません。

しかしたとえ基準以下であっても、放出は不本意なこと。原発の計画当初から想定してたことではありません。

いわゆる「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-342.html" target="_blank" title="トイレのないマンション">トイレのないマンション</a>」から、やむを得ずお小水を処理して薄めて海に流すようなものです。

大の方は今のところ、どこにも漏れないように保管してあるので大丈夫(お食事中の方、申し訳ありません)。

その「高レベル放射性廃棄物」は、ガラス固化体にして、冷えるまでの数十年間、一時的に貯蔵されています。

そして最終的には、地中深くに10万年間埋める「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-398.html" target="_blank" title="地層処分">地層処分</a>」をすることになっています。気の長い話です。

吉野ヶ里遺跡で「謎のエリア」とされる区域の発掘調査の後半戦が、来月23日から始まるようです。

「空白の4世紀」といわれる日本史最大の謎が、今度こそ解明されることになるかもしれません。楽しみです。

西暦102023年の人(?)たちにとっては、空白の4世紀も21世紀も五十歩百歩、いずれも古代でしょう。

たまたま掘り起こしたら出てきたガラス固化体を見て、何を思うでしょうね。

医師の過重労働に解決策はあるのか

卒業後3年目の若い医師が、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2656.html" target="_blank" title="長時間労働">長時間労働</a>によって精神障害を来たして自殺し、労災認定されました。

認定されても命は戻りません。このような悲しい出来事は、なくならないのでしょうか。

自殺直前の残業時間は、月に207時間(3カ月平均で月185時間)だったとのこと。

「精神障害の労災認定基準」である月160時間(3カ月平均100時間)を超えていたのが、認定の根拠だとか。

その基準が「過労死ライン」の月100時間(2〜6カ月平均80時間)より厳しい理由が、よくわかりません。

かつて私も某大学病院で働いていたころ(90年代後半)は、残業時間が毎月200時間以上でした。

朝7時半からのミーティングに間に合うように出勤し、帰宅は深夜、しばしば午前様。土日も終日働きました。

週に2,3日はICUに泊まりましたが、横になって寝られるわけではなく、詰所のイスに座ったまま眠りました。

泊まった翌日の勤務は通常通りで、また朝から夜まで働きました。休日は夏と年末年始に2,3日だけでした。

おもに夜中に、学会準備などの「自己研鑽」もしなければなりません。それも医師としての仕事ですから。

地域医療のためと言うより、一人前の医師になるための修行として、長時間勤務に耐えていた面もあります。

ただ、前にも書いたように大学病院での残業には一円も手当が付きません。無報酬だと思うと余計に疲れます。

こういう過酷な勤務は、今どき自慢にもならないどころか、自慢してはならないことなのでしょう。

ですが今も状況はほぼ同じ。すべての医師が労働基準法を遵守したのでは、病院が回らないのが実情です。

医師の自己犠牲によって地域の医療が成り立っています。ただ、その言葉通りに犠牲者が出るのは悲劇です。

改正労働基準法によって医師の労働環境が改善するのか、一方で医療サービスは保てるのか、難しい問題です。

「資格確認書」も、作り方次第でしょ

マイナ保険証は、紐付けミスよりもなによりも、マイナ保険証を持ってない人が多いことが大問題です。

おそらく何年経っても一定数は不所持のままでしょう。そもそも、マイナカードの取得自体が任意ですから。

この問題の解決策について整理すると、次のような流れでしょうか。

(1)マイナ保険証を持たない人はどうする → 資格確認書を交付する

(2)資格確認書を取得しない人はどうする → 対象者全員に一律交付することにする(かも)

(3)それなら従来の保険証でもいいじゃん → ともかく、マイナ保険証のメリットをさらに周知します

(4)だとしても従来の保険証を急いで廃止する必要ないじゃん(イマココ)

とりあえず、資格確認書の名称を「資格確認保険証」とかにして、実質的に保険証を存続させましょう。

できればそれを、マイナカードそっくりの外観にしてしまいましょう。

マイナンバーの記載も写真も無く、ICチップも内蔵されておらず、保険証としてだけ使えるカードです。

あるいは、身分証明書としても使えるように、写真付きバージョンも作るわけですよ。

実際、保険証の不正利用を防ぐためにも、写真付き保険証はとても有用だと思います。

そうやってだんだん慣らして、マイナ保険証への抵抗感をなくしていく作戦って、どうですか。

まず、車を愛する人への冒とくでしょう

オカシな事件が続くものですね。コロナやマイナ関連の報道に飽きたメディアが、ここぞと飛びつきます。

ススキノ猟奇事件に次ぐ話題と言えば、水増し請求が問題となった「ビッグモーター」の社長会見でしょうか。

社員がゴルフボールで車を傷つけたことを、社長は「ゴルフを愛する人に対する冒とく」だと述べました。

もちろんウケ狙いでしょう。そうでなければ、ここまでズレた発言などするはずがありません。

数年前にある小学校で、教師が同僚に激辛カレーを無理矢理食べさせた、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2936.html" target="_blank" title="いじめ事件">いじめ事件</a>を思い出しました。

校長は謝罪会見で、こう述べました。「給食のカレーやめます」と。

「いやいや、そこじゃないでしょ!」とツッコまれるのを期待したとしか思えませんね、社長も校長も。

こういったボケは、くそ真面目に言うほど効果的なので、ビッグモーターの社長はなかなかの達人と見ました。

「がく然とした。車を傷つけるなどあり得ない。これは一線を越えている」と、厳しく責めたうえで、

「ゴルフボールで傷つける、ゴルフを愛する人に対する冒とくです」とくれば、そっちかい、と言うほかない。

聞き手がついツッコミを入れてしまう、実に効果的なボケでした。勉強になります。

急(せ)いて事をし損じた典型

マイナ保険証のトラブルが続きます。過去の作業ミスが、どんどん発覚しているのかもしれません。

医療機関で利用してはじめて紐付けミスなどが見つかるわけですから、トラブルはしばらく続くことでしょう。

「マイナポータル」で確認すれば良いのでしょうけど、その確認方法を周知し始めたのはつい最近の話です。

問題の根幹を考えてみると、もともと保険証は、マイナ化するには関連部署が多すぎたということでしょう。

保険組合や保険者が無数にあって、国や自治体関連や民間も多い。作業に関与する組織が多すぎるのです。

その意味では、運転免許証であれば、むしろマイナ化は容易だったかもしれません。

マイナ保険証で問題になりやすいのは、転職等によって保険者などが変わった場合です。

その変更がマイナ保険証に反映するまでに、かなりの時間がかかります。保険組合によっては1カ月以上も。

大きな事業所であるほど同時期の異動が多く、しかもまとめて事務作業をするので時間がかかるのでしょう。

保険証の切替情報の反映は、従来の保険証よりもマイナの方が格段に早くなると、当初は期待されていました。

それによって、例えば「資格喪失後受診」という面倒事が劇的に減らせるはずでした。

ところが現状は逆。マイナ保険証に問題があれば、念のため従来の保険証での確認が求められる始末です。

マイナ保険証の仕組みは今後だんだんと完成度が上がり、やがて日本中で利用される日が来るでしょう。

それまでしばらくは、従来保険証も並行して発行すべきことは当然のこと。急いては事をし損ずる、ですよ。

「住所の表記ゆれ」問題は厳しい

マイナカードで「名前のよみがな」が問題になったと思ったら、こんどは「住所の表記ゆれ」ですか。

「上南部2丁目4番2号」か「上南部2ー4ー2」か、どちらか一方に統一しなければ前に進まないようです。

河野デジタル相が「日本の住所はヤバい」と言うまでもなく、簡単に解決するとは思えない難問です。

名前によみがなを付けていくとか、住所表記を統一するとか、いずれもそうとうに困難な作業が待っています。

前者は住民本人の意思確認が必要でしょうし、後者は統一ルール作りから始めなければなりません。

よみがなと住所の表記ゆれの問題化はつまり、マイナンバー制度の完成度の低さが露呈したということです。

それなのに、保険証を廃止する期日を決めてしまい、何が何でもマイナ保険証の普及を急ぐ必要がありますか。

トラブルはあるにせよ、マイナ保険証の利用者は確実に増えています。その積み重ねを大事にしましょうよ。

いま政策を修正するとすれば、マイナ保険証と従来の保険証の併存期間をずっと長くすることでしょう。

併存してる間なら、マイナ保険証にトラブルが起きても、保険証を使って現場(医療機関)で対処できます。

そんな風にして、時間を掛けて「バグ取り」してから、本番(保険証廃止)に進めば良いだけの話でしょ。

そうこうするうちに、よみがなと住所の問題も、なんとかなるんじゃないの?(無理かもしれんけど)