こどもたちをこれ以上減らさないために

休診日の今日は、校医をしている託麻北小学校の1,2年生と、嘱託医をしている某こども園の健診日でした。

小学校の1年生は70人を少し切る人数のため2クラス、2年生は70人を少し超えるので3クラスです。

1クラス35人が上限なのでこうなります。

でも、1クラス35人弱の2クラスより、1クラス25人程度の3クラスの方が、余裕があっていいですね。

近隣の他校は1学年7クラスといいますから、小児人口の増減には地域差が大きいようです。

こども園の方も、0歳児から年長児まで約140人。みんなとても元気でした。

園で集団生活をしている子どもたちは、日頃お母さんと一緒に受診するときの姿とはまるで違いますね。

診察で泣く子がほとんどいないし、診察を待つ時も実におりこうです。

帰りがけに診察が終わった子どもたちを見てみると、ずらっと転がってお昼寝をしていました。可愛い姿です。

こんな子どもたちが、日本では年々減っています。でももうこれ以上、減らしてはなりません。

中長期的な対策も重要ですが、国はもうちょっと危機感を持って即効性のある対策も考えてほしい。

子どもを産む世代の人口自体が過去最低レベルなのですから、ちょっとやそっとの施策ではダメですよね。

子どもの数が43年連続で減少中

総務省の推計で、15歳未満の子どもの数が43年連続で減少していると発表されました。

その子どもたちの内訳は、男子が718万人、女子が683万と、男子が約5%も多いようです。

男は女よりも、毎年約5%多く生まれてきているので、おおむねその比率のまま大人になるわけです。

ところが、最終的な平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳と、女性が圧倒的に長生きします。

成人男性は女性よりも早く減って(死んで)いくので、あらかじめ多く生まれておくという摂理なのでしょう。

しかし、女性の寿命が伸びても出産可能年齢は限られているので、少子化を食い止めることはできません。

なので私には単純に、少子化対策=晩婚化対策だと思えてしまいます。

いまさらのように始まる「異次元の少子化対策」は、果たして目論見通りに出生率を上げるのでしょうか。

子を産める女性の人口が今後どんどん減るわけですから、いま少々の対策を講じても効果は先細りしそうです。

ともかく、「異次元」だと言うのなら、それこそあり得ないぐらいに大きな経済的支援をしたらどうですか。

子育てや両立支援も大事ですが、それ以前の、結婚や出産への支援の方が直接的で効果的かもしれません。

いや、そんなことをすると、結婚観や家族観の多様性を問題にする人が出るのでしょうか。

早く結婚して早く出産した人ばかりを優遇すると、そうでない人から見て不公平に映るのでしょうか。

でも、生まれた子どもたちは将来、受けた支援以上に社会貢献するはずです。決して不公平だとは思いません。

医師の残業制限だけでは改革にはならない

「医師の働き方改革」によって勤務医の残業時間の制限が厳しくなり、現場の労働力不足が危惧されています。

厚労省の調査では、全国の医療機関の約6%が、診療体制そのものを縮小する見込みだとのこと。

残業時間は原則として960時間以内。例外的に1,860時間またはそれ以上も認められる「抜け道」はあります。

私も大学病院勤務時代には、月平均200時間以上、年間だと2,400時間以上は残業していました。

それは90年代の話ですが、たぶん今でもそのような働き方をしている医者は大勢いると思います。

心臓外科では、緊急手術が入ったり、予定手術が長引いたりして、深夜の手術になることがしばしばあります。

その後、ICUで徹夜で術後管理をしていると、翌日の予定手術の患者さんが手術室に入る時間になります。

そのまま、予定手術をこなします。夕方までには終わったとしても、そこからまた術後管理が始まります。

2人の患者さんのベッドの間にイスを置いて座り、あっち見たりこっち見たりして、また次の夜を明かします。

自分だけが過酷な目に遭っているわけではなく、皆が頑張っているので、当然、自分も頑張るわけです。

しかしこんな働き方をしなければ予定手術がこなせないのなら、明らかに人員が足りないということです。

あるいは、術後管理は基本的に担当外科医がするという旧来のやり方は、合理的ではないのかもしれません。

さらに言うなら、書類仕事など医師でなくてもできる仕事が山のようにあって、手術よりもストレスです。

「働き方改革」では、量だけでなく質的な改革が望まれます。単なる残業制限では診療が縮小するだけです。

いよいよ問題の2024年度

来年度から時間外労働の制限が強まるため、各業界で労働力が不足する「2024年問題」が危惧されています。

とくに問題視されて報じられているのが、物流業界(トラックドライバーなど)と医療業界(勤務医)です。

当院は、九州自動車道熊本インターにほど近く、近隣にはトラックセンターや運送各社の物流拠点があります。

そんなことから患者さんには、トラックドライバーの方が何人もいます。

2024年問題のことを尋ねたら、「困る」のひと言。残業ができなくて収入が減るから困る、という意味です。

労働力不足が必至の2024年問題を、業界は合理化やIT化などの創意工夫で乗り切ろうとしています。

従業員の残業時間はなんとか抑えながら、しかし物流量は減らさず、顧客の利益は損ねない、ということです。

つまり、どう転んでも、ドライバーの残業手当は減る方向なのです。

どうやら働き方改革というのは、残業しても良いから稼ぎたい、という方には「改悪」の面があるようです。

残業したくない者の意志も、残業したい者の希望も、どちらも尊重される改革の仕方ってないんですかね。

医療業界の2024年問題はまた、様相が異なります。時間外労働の上限に「特例」が残ります。

部署等によっては1,860時間まで残業OK。医師の働き方改革よりも、地域医療の提供を優先する考え方です。

もちろん、そんな特例なんて関係なく、もとより職業意識から大幅な残業を厭わない勤務医もおおぜいいます。

ならばせめて、そのような医師には十分な手当が与えられるような、そんな職場環境であってほしいものです。

マイナ保険証利用率は、公務員でも低迷

国家公務員のマイナ保険証利用率が、国民全体の利用率とほぼ同じ4%台とは、なかなか衝撃的ですね。

つまり公務員も本心では一般国民と同様に、マイナ保険証に乗り気じゃ無いということですよ。

にしても、厚労省職員ですら4.88%という低値だといいます。こんなことで国民に示しが付くんですかね。

じゃあこうしませんか。

従来の保険証の廃止は、厚労省職員のマイナ保険証利用率が100%になってから、というのでどうですか。

いくらなんでも100%は無理だというなら、なぜ無理だと思うのか、厚労省はそれを自問すべきでしょう。

政府がゴールを決めてしまったものだから、国民のみならず公務員も追いついていないのが現状です。

歴代の首相らはいつも、勢いで期限を切りがちです。そして、素直に前言を翻す度量がありません。

あるいは東京五輪延期とか消費増税延期みたいに、ギリギリになって方針を変更して混乱を招くのです。

もともと保険証廃止は、政府にとってはマイナンバーカードの発行を促すための「方便」にすぎませんでした。

ならばもう保険証廃止は延期してもいいでしょう。国の目論見通り、マイナカード自体は普及したのですから。

長期的にはマイナ保険証に向かうべきことに異論はありません。ただ、その移行が拙速すぎるのです。

子どもにキレたら負け

園児に平手打ちをしたとして暴行の罪に問われていた幼稚園の元教頭に、有罪判決が言い渡されました。

被告(元教頭)のしたことは、弁護側によると次の様だと報じられています。

・女児2人をひっかいた男児に近づき、「お友達にごめんなさいと言いなさい」と言った

・男児が暴言を続け唾をはきかけようと頰を膨らませたため、男児の両頰を両手で挟んだ(挟もうとした)

・股関節の手術をしており上手く地面に膝をつけず前のめりになり、左右の手に時間差ができた

真相はわかりません。元教頭には同情の余地があるかもしれませんが、暴行は言語道断です。

たとえ元教頭の言い分が正しくても、その行為が暴行に見えた可能性があり、疑われた時点でアウトです。

防犯ビデオの映像があるのなら客観的な評価もできるでしょうけど、そうでなければ目撃証言がすべてです。

男児が頬を膨らませた時点で、元教頭はとりあえず逃げるべきでした。それが危機管理上の最善策でしょう。

言うことをきかない子どもなど、いくらでもいます。いかに冷静に対処できるかが、プロの腕の見せ所です。

難しいケースには複数のスタッフで対応した方が良さそうですね、後で不本意な証言をされないためにも。

微妙な問題に備えるなら園内監視カメラの設置が有効ですが、それはそれで保護者から苦情が出そうです。

490円で懲戒免職

コンビニのコーヒー代を合計490円ちょろまかしたばっかりに、退職金2千万円超をフイにした中学校長の件。

レギュラーサイズ(110円)のカップでラージサイズ(180円)のコーヒーを注いだという「非行」が問題だと。

犯罪だと分かっていて7回繰り返したことや、「教育公務員」ということもあり、思い罰になりました。

「10倍返し」としても4,900円ぐらいの罰金でいいじゃん、と言いたくもなりますが、甘いですかね。

教職員の懲戒免職といえば、給食代横領とかトイレ盗撮とか、そんなレベルの犯罪が対象かと思っていました。

今回の校長は起訴猶予になっている訳だし、もうちょっと温情ある沙汰はなかったんですかね。

規定以上の量のコーヒーを入れる操作が容易すぎるしバレにくいことが、魔が差す誘因になってませんか。

それに、コーヒーのコストのほとんどが人件費や輸送費等であって、量による差はほとんど無いとも聞きます。

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1774.html" target="_blank" title="『スタバではグランデを買え!』">『スタバではグランデを買え!』</a>(吉本佳生著)にそう書いてあったので、コンビニも同様でしょう。

それを知ってる校長が、自分の行為は店への実害なしと、勝手な解釈をしたのかもしれません(知らんけど)。

まあ、ルールはルールですが、今回の案件が民間の会社員だったら、懲戒解雇にまで至ったでしょうか。

教職員であることを理由に、教育的観点から重く罰せられたとしたら、不公平な気もします。

それならば、立法府に身を置く者が法律に違反した場合も、厳罰に処されるべきでしょう。

この際、490円以上の不正経理や脱税、裏金作りがあったら、議員辞職でどうですか。

世界はいま、戦時中なんですね

「京都アニメーション」の放火殺人事件の被告に対して検察は、予想されていた通り、死刑を求刑しました。

一方で被告の弁護士は、被告は精神障害により責任能力はなかったなどとして、無罪を主張しています。

報道を見て推測することしかできないので、被告に元々精神障害があったかどうかなど、私にはわかりません。

なのでここでは、この事件を元に考えた、一般論を書いてみます。

そもそも、人を殺そうと本気で考えている人の精神状態は、計画段階からすでに、正常とは思えません。

さらにその殺人を遂行する段階においては、もはや狂気に満ちているはずです。善悪の判断などできません。

言うなれば、心神耗弱もしくは心神喪失状態でしょう。殺人者はたいてい、そんな極限状態だと思います。

その意味で、犯行時の心神耗弱や喪失のみを理由に殺人の罪が減免されることは、私には納得できません。

ウクライナやパレスチナでは、兵士たちが民間人を殺しています。子どもや病院を襲撃しています。

上官から命令され、良心に逆らって人を殺す瞬間の兵士は、正常な精神状態ではなく狂っていると思います。

敵の指導者を捕らえるためなら民間人が多数死んでもかまわない、という国の指導者は、もっと狂ってます。

殺人事件と戦争はまったく別ものですが、いずれも狂気が支配しています。

そんなことをふと、「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2987.html" target="_blank" title="ヒトフタマルハチ">ヒトフタマルハチ</a>」の今日、考えたりしました。

社会的な上下関係は、すべてパワハラの元か

テレビ朝日の『羽鳥慎一モーニングショー』は、休診日(火曜・金曜)に限り、見ることがあります。

その番組が始まる少し前から、花ちゃんがテレビ画面に向かって吠え始めます。

番組の冒頭でしばしば「動物ネタ」動画が流されることを、花ちゃんは予測しているからです。

レギュラー出演者の玉川徹氏は、昨年「事実に基づかない発言」によって謹慎した「前科」がある人です。

たしかにそれ以前は、不勉強と無知と、先入観と偏見でコメントすることが多く、ひどくムカつく人でした。

ところが最近は、自分で取材・勉強しているのかコメントが真面目で、なんだかつまらない人になっています。

それ以上にトンチンカンなのが、金曜日に出演する長嶋一茂氏ですね。その発言はしばしば的外れでウザい。

昨日は、ハラスメント問題の楽天の安楽投手について、「グラウンド整備からスタートするべき」とコメント。

今どきこの発言はいけませんね。謝罪・反省・謹慎は必要かもしれませんが、グラウンド整備は必要ですか。

それはそれでパワハラでしょうと、私はテレビを見ながら確かに家人に言いましたよ。

その後ネット上にも、「ペナルティを与える発想がパワハラの根源だ」という、私と同じ意見が出てきました。

まず言っておきますが、私が二番煎じではありませんからね。

こういう時こそ玉川氏には、いやその発想はダメですよと、レギュラーらしく苦言を呈してほしかった。

とは言うものの、「被害者」以上に「加害者」の人権を守ることについては少々、忸怩たる思いがありますね。

コイツには「目には目を」的な懲罰を科してやれ、みたいに憤ってしまう事件も、正直私には時々あります。

パスポート偽造組織の臭い

東京都のパスポートセンターの従業員が、申請者の個人情報などを不正に持ち出していたことが発覚した件。

他の個人情報の流出と異なるのは、パスポート作成希望者に特化して、その必要情報が漏洩したという点です。

つまり、今回の犯行には、偽造パスポートを作るという明確な目的があると考えられます(個人の推測です)。

となると、巷のオレオレ詐欺グループ等とは別格の、巨大な犯罪組織の関与が臭いますね(個人の嗅覚です)。

国際的犯罪グループとか、テロ組織とか、あるいは某国かもしれません。

実行犯の女性は、たぶん脅されて犯罪に加担させられただけで、組織とは無関係の、むしろ被害者でしょう。

その彼女に指示を出した人間ですら、組織の末端の下っ端のトカゲの尻尾の先っちょでしょうね、多分。

警視庁公安部も、女性の背後に国家的な組織の関与の有無を捜査したようですが、確認出来なかったとのこと。

しかしこれは額面通りには受け取れません。公安が手の内を明かすはずがなく、捜査はまさに進展中でしょう。

公安は彼女を長い間泳がせていたはずです。ところが最近、その内偵を組織に気付かれてしまったのでしょう。

このままでは彼女の身が危ない、消されるぞ、となった。そこで急遽、彼女を保護すべく、身柄を拘束した。

・・・そんな筋書きで、だいたい合ってますかね。