『新聞記者』

映画『新聞記者』を観てきました。

ネット等でやたらに話題の「政権批判」映画です。ここは、参議院選挙前に観ておかなければなりますまい。

ところが、いつものように近所のTOHOシネマズのサイトを見たら、なんと上映してないじゃないですか!

熊本県内では唯一、イオンシネマだけです。全国的にも、TOHOシネマズでは一切上映していないようです。

まさかTOHOは、政権に忖度してるのでしょうか(ホントは配給会社の関係だと思いますが)。

いつものTOHOなら自宅から車で2分なのに、イオンシネマまでは九州自動車道に2区間ほど乗りました。

出かける前にネット予約しておいたのですが、慌てていたので「夫婦50割引」を適用するのを忘れました。

高速代とガソリン代まで加えたら、映画1本観るためとしては、かなりの出費となりました。

さて、映画の内容については、ネタバレになるのであまり詳しくは書きませんが、それでもネタバレ注意です。

(以下は、自己責任でお読みください)

映画の冒頭からいきなり、カメラワークに酔いました(悪い意味で)。画面が揺れるのでムカムカしてきます。

何らかの効果を狙ったのでしょうけど、ちょっとやり過ぎ。乗り物酔いしやすい人は見ない方がいいかも。

事実を元にしたストーリーですが、あくまでフィクションです。フィクションなので自由に描けます。

そのために、最も重要な部分が少々荒唐無稽に感じられて、ややリアリティーを失ったのは残念です。

映画が終わってエンドロールが流れている間、誰一人立ち上がる観客がいませんでした。

ひどく考えさせられるラストシーンのため、立ち上がる気分になれないのです。

館内の照明が灯ってからようやく、観客はみな重苦しい雰囲気で立ち去って行きました。

ある意味で予想外の結末でしたが、かといって驚きはなく、全体的にはやや消化不良のまま終わりました。

「政権を批判します」という映画ではなく、「政権批判は難しい」という映画だったのかもしれません。

ガッテンできない

今日のNHKの『ガッテン』は、「急増中!風疹&帯状ほう疹 徹底対策SP」でした。

以前からこの番組を見ていると、まどろっこしくて要点がわかりにくいムダな展開に、いつもイライラします。

科学的・統計学的には疑問のある実験や調査で時間を費やし、導かれる結論はしばしば独善的で扇動的です。

しかし文句ばかりを言ってもアレなので、今日の放送内容に沿って、おさらいをしてみましょう。

前半は、なぜ40〜57歳の男性だけに風疹無料クーポン券が届くのか、という疑問から始まります。

その取っ掛かりはヨシとしても、過去のワクチン制度の不備が今の問題につながる理由の説明がわかりにくい。

医学情報を正しく届けるためには、出演者の問答は、良い意味できちんと計算された台本に基づくべきです。

まさか今日のアレで台本通りだというのなら、番組の構成自体がダメですね。

番組後半の帯状疱疹の部分は、時間が短くて取って付けた感じ。誤解を招きかねない消化不良な内容でした。

しかしそれよりも問題なのは、風疹と帯状疱疹を、「湿疹」ができる疾患として一緒くたにしていた点です。

どちらもワクチンで予防できる疾患ですが、その予防のメカニズムはまったく異なります。

両者をひとまとめに放送したおかげで、かえって混乱を招くのではないかと、私は心配になりました。

要点はこうです。

(1)妊婦に風疹をうつさない環境を作るために、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2726.html" target="_blank" title="免疫保有率の低い男性成人に対する予防接種">免疫保有率の低い男性成人に対する予防接種</a>が始まった。

(2)水痘の免疫力が維持されにくい環境となり<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2492.html" target="_blank" title="帯状疱疹を発症しやすくなった">帯状疱疹を発症しやすくなった</a>ので、予防接種が推奨される。

こう書いても、わかりにくい。志の輔さんも言ってたように、どうにも「ガッテン」できない放送でした。

お試し視聴期間

「ガイアの夜明け」というテレビ東京の番組で、JALと<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2789.html" target="_blank" title="ANA">ANA</a>のハワイ便対決の特集が2週連続でありました。

この番組は熊本でもRKKで放送されているのですが、その放送内容がなんと、5週間と5日遅れなんですね。

旬の話題を扱った特集番組を、見たいタイミングで見られない。この遅れ方はちょっとひどすぎます。

こういったとき、早いうちにこの番組を見る手段が、いくつかあります。

(1)東京か、遅延なく放送をしている局がある地域まで出かけて、番組を見て帰って来る(やりすぎ)

(2)テレビ東京の、オンデマンド放送を見る(有料)

(3)TVerによる配信を見る(期間限定)

(4)ネット上の動画を探す(不正動画)

このうち、(1)と(4)は除外して、結局私は(2)の「ビジネス オン デマンド」を選択しました。

月500円なのですが、1カ月間無料お試しキャンペーンをやってたので、1カ月だけ入会することにしました。

魅力的なバックナンバーがあったので、この1カ月の間にいろいろ見てやろうと思ったのです。

もちろん、無料期間の今月中に解約するつもりです。あくまで、お試しですから。

試したあげくに、万一、継続しても良いと思えたら、続ける場合もあるでしょう。

そういえば、Amazon Primeも、Apple Musicも、お試しで入会したまま有料会員になって現在に至ります。

なんとなく解約の機会を逸してそのままズルズル使ううちに、まあ、このまま続けとこうかという感じです。

お試し期間が終わって有料になる前に、メール等で連絡してくれることもありますけど、不十分ですよね。

解約忘れを狙うつもりがないのなら、もっとしつこく、本当に続けて良いんですか?って、何度も聞かなきゃ。

むしろいったん仮解約状態にして、再開したいなら本会員の手続きしてください、ぐらいにしても良いと思う。

外科医の無力感

5夜連続のドラマ『白い巨塔』が完結しました。ズッシリと重い最終回でした。

天才外科医が登場し、大学内の権力闘争を経て、医療過誤から裁判劇。昨日まではただ、面白いドラマでした。

ところが今日は打って変わって、人間味のある深いドラマになっていました。

すでにわかっているストーリーなのですが、全体を見終わってみると、良い作品だったと思います。

主人公が最後に、人の優しさと医師の良心を思い出してくれたことで、彼も周囲の者も救われました。

医療現場のリアリティーを完璧には求めてない点も、今となっては許せます。そんなこと重要じゃないのです。

よくある「医者モノ」のドラマと比べて、手術シーンは少なく、抑制的だけど効果的でした。

とくに試験開腹に終わった最後の手術は、私自身の昔の経験を思い出してしまう、ショッキングなものでした。

腹膜播種を目にした瞬間の無力感と悲しみは、本当にやりきれません。

外科医はしかし、そのようなケースにたびたび遭遇します。

だから私のように、すでに外科から離れて久しいと、色んな意味で手術が恐ろしく思えて仕方がありません。

自分が人の命を左右するという点と、外科医の力ではどうにもできない事があるという点においてです。

『白い巨塔』始まる

5夜連続ドラマスペシャル『白い巨塔』(テレビ朝日)が、今夜始まりました。

山崎豊子の原作刊行から50年を経て、内容はかなり今風にアレンジされているはずです。楽しみです。

ドラマとしての面白さは全体を見なければ評価できませんが、とりあえず「第一夜」の感想を書いておきます。

医者(とくに外科医)が主人公のドラマには、とくに厳しい視聴態度で臨むのが、いつもの私のスタンス。

その観点で言うと今日最もガッカリしたのは、主人公が「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1304.html" target="_blank" title="腹腔鏡">腹腔鏡</a>」を「フククウキョウ」と発音した事です。

「フククウキョウ」なんて発音を、少なくとも私は医療現場で聞いたことがありません。

もう何度も何度も言ってきましたけど、「腹腔鏡」の現実的な発音は「フックウキョウ」なのです。

「腹腔」の読みは本来「フクコウ」が正しかったのですが、最近のメディアは「フククウ」を使い始めました。

さらに医療現場では、「フククウ」ではなく「フックウ」と促音化して発音するのが普通です。

よく使われる言葉は、発音しやすい方向に変化するもの。

「腹筋」の読みが「フクキン→フッキン」へと促音化したのは、この言葉がよく使われてきたからです。

「腹腔」の読みが「フククウ→フックウ」と変わるのも、この言葉をよく使う医療現場では自然な流れです。

NHKは、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1459.html" target="_blank" title="4年前の放送用語委員会">4年前の放送用語委員会</a>でようやく、「フックウ」も許容することに決めました。

しかし、あくまで推奨する読み方は「フククウ」であり、放送で「フックウ」は登場しません。

民放もおおむね、NHKに準じて「フククウ」を使っているのだと思われます。

でも、私は異を唱えたい。これは報道番組でもなければ教育番組でもない、ドラマなのです。

医者や病院や医学部や医療現場をリアルに描くのであれば、臨床場面とくに手術シーンでは手抜き厳禁です。

だからこそ、ドラマで医者の口からは「フックウキョウ」としゃべらせて欲しかった。

どっちみち、「フックウキョウ」が一般的な言い方になるのは、時間の問題ですから。

人情話に弱いです

休日(休診日)の午前中、なんとなくテレビを見ていたら、あるご夫婦の苦労話を放送していました。

波瀾万丈の人生が、切々と綴られます。そんな苦労をどうやって乗り越えたんだろうな、と思っていたら、

「そんなときに出会ったのが、○○の青汁だったのです」

やられた。まんまと青汁のCM番組に見入ってました。なんなら感情移入してましたよ、不覚にも。

そのドキュメンタリー自体にウソは無いとしても、番組の作為的な構成に私は騙されてしまったのでした。

最近、某テレビ局が放送したある社労士事務所の広告番組内に、CMを流さなかったことが問題になりました。

ドキュメンタリー風の広告には、それが広告放送であることがわかるようにCMを挟む必要があるそうですね。

そいういうルールの存在は知りませんでしたが、そりゃ必要でしょう。

冒頭の青汁番組も、ドキュメンタリー部分だけ流してCM無しで終了したら、誤解を招きかねません。

CMが流れてはじめて、やっぱり青汁の宣伝番組かよ、と確信できるわけですから。

実はだいぶ前にも、休日に見ていた番組が青汁の広告放送と判明してガッカリしたことを思い出しました。

そのことをすっかり忘れていて、私は2度も青汁話に感情移入してしまったことに、愕然とします。

どうしても人情話には弱いのです。結末がわかっていても、吉本新喜劇では涙が出るのです。

吹き替え版でボヘミアン

昨日の「クイーンの日」に発売された映画『ボヘミアン・ラプソディ』のBlu-rayが、今日届きました。

劇場では字幕版でしたが、Blu-rayでは吹き替え版も選べたので、今夜はあえて吹き替え版で視聴しました。

何度観ても、良いですね。感動的でした。

吹き替えの声(日本人)と、オリジナル音源の歌声との相違・違和感が心配でしたが、杞憂でした。

そのオリジナル音源の歌声にも、実は3人の声が使われていることは、わりと最近知りました。

ひとつは、クイーンのマスターテープから取った、フレディ・マーキュリー本人の歌声。

これは本当の意味でのオリジナルです。役者の方が音源に合わせて口パクすることになります。

フレディ役のラミ・マレック本人も、喋りからの流れを自然に見せるときに限定的に歌っています。

それ以外に、明らかにフレディの声なんだけど、そんな音源って保存してあったの?、的な歌声がありますね。

これらは、某ロックバンドのボーカリストの、マーク・マーテルという人の歌声だそうですね。

ネットでその人の声を聞いてみたら、これがフレディそっくり。ていうか、フレディより少し上品な感じ。

重要な歌声はすべて、フレディ本人かマークの声であって、ラミや日本人声優の声ではありません。

その意味では、この映画は字幕版で観ても吹き替え版で観ても、音楽的にはまったく差がないのです。

ですからこれからBlu-rayを観ようかという皆さん、安心して吹き替えをお選びください。

ブログを止めるな!

『カメラを止めるな!』という、少し前に話題になった映画を、テレビで観ながらいまこれを書いています。

休診日でしたが今日はやることが色々あって、気がつくと夜9時になっていました。

当ブログは、7年近く前から毎日連続投稿を続けています。その記録を止めるわけにはいきません。

投稿の締切は深夜0時まで。そこで、やおら執筆しようと思ったその時、ちょうどその映画が始まったのです。

録画して後日観るのが通常なのですが、あえて今日は、ブログを執筆しながら観てやろうと考えました。

誤解を招かないように言っておきますが、私が映画を観るときは集中して観ます。ながら視聴は普通しません。

しかし今日の映画『カメラを止めるな!』は、「ワンカットの生中継」という設定が売り。

ならば私も、映画の開始とともに執筆を開始し、映画が終わるまでに書き終わってやろうと考えたわけです。

言うなれば「ワンカットの生執筆」にチャレンジしようという、まさに実験的企画です。

と、たったここまで書くのに1時間半もかかったのは、映画から目がなかなか離せなかったからです。

ちょうどうまい具合にCMが入るので、その間にチョコチョコッと書いて、本編が始まったら鑑賞に戻ります。

上映時間96分の短めの映画なので、ノーカットで放送しても、11時までには終わりそうです。

さて、物語は終盤。どうやらスリラー映画じゃない雰囲気になってきました。むしろコメディ。

三谷幸喜を通り越して、吉本新喜劇に近いノリですね。伏線の回収具合が、わざとらしいまでに痛快です。

ていうか、今頃言うのもアレですが、今日のブログはネタバレ注意でしたね。視聴終了。

『いだてん』

NHK大河ドラマ『いだてん』について、私はこれまで一度も当ブログで書いたことがありません。

『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2287.html" target="_blank" title="西郷どん">西郷どん</a>』も『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1923.html" target="_blank" title="おんな城主 直虎">おんな城主 直虎</a>』も『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1559.html" target="_blank" title="真田丸">真田丸</a>』も、初回放送日には必ず取り上げたというのに、です。

もしかすると、『西郷どん』最終回のラストの、壮絶な戦闘シーンがトラウマになったからかもしれません。

あのラストの描き方には批判も出ましたが、大河ドラマの締めくくりとしては迫力があったと私は思います。

難を言うなら、大久保利通の最期は唐突すぎましたね。咀嚼して西郷の死とのバランスをとる余裕がなかった。

そんな重苦しい最終回を引きずりながら、年が明けて見始めた『いだてん』はどうも、ノリが軽いのです。

いえ、三谷幸喜やジェームス三木のような調子の良いドラマは好きなのですが、それにしてもタイミングがね。

ただ決して、面白くないドラマではありません。むしろ面白い。宮藤官九郎だし。

キャスティングにしても、NHKが大河ドラマで見せる「遊び」が相変わらす健在で、楽しめます。

日曜劇場『陸王』で主人公に敵対していた靴会社の部長は、『いだてん』では主人公の靴を作ってますしね。

今日の放送では、ハルビン駅で射殺された伊藤博文が『西郷どん』の伊藤と同一キャスト(浜野謙太)でした。

ていうか、朝の連ドラ『まんぷく』の牧善之介でした。

このように2年連続で<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-880.html" target="_blank" title="同じ役">同じ役</a>を大河ドラマで演じた俳優は、私の記憶では仲村トオルがいます。

そんな事が可能なのは、2つのドラマで描かれている時代が連続しているがゆえです。

しかし、近接した時代を2年連続で取り上げればマンネリを招きかねず、難しさもあろうかと思います。

それを面白くするのは、一にも二にも、脚本の力でしょうね。今後の展開に期待します。

ラミ・マレック

2日連続の<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2705.html" target="_blank" title="アカデミー賞">アカデミー賞</a>関連になりますが、やはり主演男優賞のラミ・マレックについて書かざるを得ません。

『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-2593.html" target="_blank" title="ボヘミアン・ラプソディ">ボヘミアン・ラプソディ</a>』では、フレディ・マーキュリーが憑依したのかと思うような演じぶりでした。

顔や喋り方をマネすることよりも、目や手足や体幹の動きを再現することに重点を置いていたようです。

モーションコーディネーターがラミに、フレディの体の動かし方を完璧にコピーさせたといいます。

そのラミ・マレックがいま主人公を演じている人気ドラマ『MR. ROBOT』を、今日初めて観てみました。

たぶんこっちの方が、彼らしい役柄なのでしょうね。ボヘミアンの方は、よほど特別なケースです。

次の『007シリーズ』の悪役にラミ・マレックが抜擢されるかも、という話がいま飛び出しています。

007の悪役といえば、容赦なくボンドを窮地に追い詰めるしぶとい存在ですが、必ず最後に成敗されます。

それで思い出すのは、ドラマ『24 –TWENTY FOUR–』(シーズン8)で見かけた、若い頃のラミです。

見た方も多いでしょうけど、テロリストの手下で、最後は爆弾ベストを着て自爆する下っ端の役でした。

その彼に、母親の声を聞かせるなどの説得が奏功し、彼はついに投降。バウアーが時限爆弾の解除を行います。

大抵の映画なら、このような場合は通常、残り時間1秒か2秒を残してギリギリで解除に成功するものです。

ですが24の場合は、そうはいきません。ついにバウアーは解除を諦め、爆発2秒前に彼を突き飛ばします。

そんな悲惨な最期を遂げた心の優しいテロリストが、ボヘミアンを観る前までの私のラミ・マレック像でした。

なので仮に007に悪役として登場しても、心底は憎めない哀れなキャラになりそうな予感がするのです。