大河ドラマの面白さ

「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1580.html" title="真田丸">真田丸</a>」は毎回、笑わせてくれますね。どうやら、歴史コメディーの様相を呈してきました。

時代も、人物も、それぞれ興味深い題材ですが、笑わせるのはやっぱり、脚本の力でしょうね、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1559.html" target="_blank" title="三谷幸喜">三谷幸喜</a>の。

考えてみると、私がこれまでに面白いと思った大河ドラマには、いつも適度な笑いがありました。

歴史を教科書通りに映像化したのでは、面白かろうはずがありません。何しろ、ストーリーはネタバレだし。

かといって、史実をねじ曲げるのは困る。史実と異なるドラマは、また別の企画でやってくれればよいです。

大河ドラマの面白さは、史実とは矛盾しない範囲で、どれほど独自の物語を構築できるかで決まります。

架空の人物を登場させても構わないわけです。そのような人物がいなかった、という証拠はないからです。

だいいち、誰がなんと喋ったのか、その一語一句が完全に記録されているわけではありません。

登場人物たちのセリフは、つまるところ、ほとんどが創作です。

誰と誰が、じつは裏でつながっていたとか、あっと驚く設定にしてしまうのも、ありでしょう。

真田信幸が、妻と思って膝枕に寝そべってしばらく愚痴った挙げ句、気がつくとそれは妻ではなく母親だった。

昨日のそのシーンすら、そんなアホな出来事がなかったという証拠はないので、史実とは矛盾しません。

この場合は、「んなわけないやろ」と突っ込みながら笑うのが、われわれの正しい視聴態度というわけです。

今回の大河ドラマは、三谷幸喜の策にどっぷりとはまればはまるほど、その面白さを堪能できそうです。

医師免許取ってドラマ制作

医学部をこの春卒業して医師免許を取得した女性が、TBSに入社した、というのが話題になっています。

ほとんど臨床経験の無いまま、研究職や行政職に就く「医師」は時々いますが、テレビ局というのは珍しい。

「もともと医療ドラマが好きで、医者になろうって思ったけど、でも本当に好きなのはドラマだった」

彼女のこのコメントを、どうしても私は理解できません。

「もともと野球中継が好きで、野球選手になろうって思ったけど、でも本当に好きなのは野球中継だった」

極端な話、こういうことでしょう。

「医者って格好いい」と言ってはばからない彼女。そのミーハー根性は、ドラマでどのように生かされるのか。

おそらく、一般ウケの良いドラマ作りに貢献するでしょう。つまりそれは、私の嫌いなドラマです。

たとえば外科医が主人公のドラマでは、緊迫した手術シーンの<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1302.html" target="_blank" title="リアリティー">リアリティー</a>が重要です。

ところが、第一線の臨床医が監修しているはずなのに、妙なシーンが多くて閉口します。

そこへ現場を知らない者が、医者ヅラをして制作に携わるようになったら、もっと変なことになりそうです。

良いドラマを作るために、医学部で勉強して医師免許まで取ったと考えれば、それはたいしたものです。

であるならば、せめて5,6年ぐらい若手医師として、現場で患者と向き合ってからでも遅くはないでしょう。

そのような経験を積んでから、ドラマ作りに転向した方が、よほど重厚な作品ができると思うのですが。

ジョブズ映画第2弾

映画『スティーブ・ジョブズ』を観に行きました。ジョブズ映画の第2弾です。

ジョブズ役のマイケル・ファスベンダーが、ジョブズに似ていないことでも話題の映画です。

なにしろ<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-759.html" target="_blank" title="第1弾">第1弾</a>では、アシュトン・カッチャーが、ジョブズそっくりでしたから。

近所の映画館では上映してなかったので、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1411.html" target="_blank" title="少し遠くの映画館">少し遠くの映画館</a>に行きました。総観客数はわずか8人。

さて以下は、ネタバレに注意して下さい。

基本的に、この映画は会話劇です。しかもおおむね、感情的。

動きがないので、会話の内容と短い回想シーンから、全体のストーリーを推測しつつ観ることになります。

すでにジョブズとAppleの物語はある程度知られているので、細かい解説はナシです。

ある程度の予備知識がないと、登場人物が何者なのかすら、わかりにくい映画です。

観てるうちに、人物関係がわかってきます。登場人物が絞り込まれているので、それほど複雑ではありません。

突き詰めれば、登場人物8人程度からなる人間ドラマなのです。ちょうど、演劇を観ているような感じです。

30年近く、一貫してApple製品と付き合っている私には、とても楽しめる映画でした。

また第1弾とは異なり、Appleやジョブズの歴史を知らなくても、感動できる映画に仕上がっています。

主役がジョブズに似てるかどうかが、さほど重要ではないことも、観たあとでわかります。

そのマイケル・ファスベンダーは、アカデミー主演男優賞にノミネートされています。発表は来週。

生放送の緊張感

NHK「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターは、諸事情あって、3月で降板です。

内容もさることながら、<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1525.html" target="_blank" title="生放送の緊張感">生放送の緊張感</a>を楽しんでいるとしか思えない国谷氏の進行ぶりが、見事でした。

番組自体は存続し(番組名に「+」が付く)、4月からは女性キャスター7名の「リレー形式」になるとか。

優秀な女性キャスター7人が束になって、やっと国谷氏の後任が務まるのか、などと思ったりもします。

先日なにげに番組を見ていたら、樹木希林さんが、しれっときわどい発言をしていましたね。

ネットで話題になったので、あらためて録画を見直してみると、番組最後の18秒はこうでした。

樹木「いや私ね、国谷さんはホントに素敵な」

国谷「まぁ」

樹木「仕事ぶりだなぁと思っているの。そしてねぇ、NHKは大変な財産を」(A)

国谷「あ、いやぁ」

樹木「お持ちだなぁと思って、私はいつもね、あの、だ、大好きな番組です」(B)

国谷「ありがとうございます。いつまでも、どうぞお元気で」

樹木「はい、いつまでもなんて」(音声が途切れ、番組も終了)

なるほど。(A)の後に「失うんだなぁと思って」と続くかとも思わせる、絶妙な「間」がありますね。

樹木希林はそれを狙っていたのだと思います。(B)で、どもってしまったのは、その緊張の現れでしょう。

こういう風に、生放送の最後に言いたいことを滑り込ませて、しかも人を不快にさせないのは、さすがです。

完璧なカタコト

大河ドラマ『<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1559.html" target="_blank" title="真田丸">真田丸</a>』、盛り上がってきましたね。題材もキャストも、脚本も良いです。

これ以外のテレビドラマは、最近ほとんど見ませんが、ふと見かけた民放ドラマが妙に面白かった件。

フジテレビの『ナオミとカナコ』がそれです。高畑淳子が演じる、中国人女社長がウケます。

そのしゃべりが「完璧すぎるカタコト」とまで評されるぐらいの、はまり役アルヨ。みな見るヨロシ。

このドラマを見て、ゼンジー北京を思い出しました。もう、ゼンジー北京を知らない人も多いでしょうか。

「ワタシ中国ハ広島ノウマレアルヨ」とか「タネモシカケモ、チョトアルヨ」とか言ってた、手品芸人です。

この中華風のカタコトは、文明開化期の横浜や、戦時中の満州に由来があるといわれています。

これらを掘り下げるとまた面白いのですが、まだ研究途上なので、今日は書きません。

ステレオタイプな使われ方だけでなく、いまでも実際に、中国の方は似たような言葉遣いをされます。

助詞を省いてしゃべる患者さん(中国人)には、日ごろの診療でもよく遭遇します。意味はまったく通じます。

促音(っ)や長音もしばしば脱落していますが、これもほとんど支障はありません。会話は成立します。

助詞や促音や長音が無いと、言葉は全体に短縮され、会話の時間が短くなります。ある意味、省エネです。

ただしどうしても、せっかちに聞こえますね。そこがどうも私の、香港映画のイメージと重ナルノコトヨ。

『真田丸』スタート

<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1532.html" target="_blank" title="大河ドラマ">大河ドラマ</a>『真田丸』が、今夜始まりました。こんどは戦国時代です。

主人公が真田信繁で、主演が堺雅人ということよりも、原作が三谷幸喜であることに、私は期待をしています。

「一年かけて主人公の人生を追体験できるドラマなんて、大河ドラマしかありません」と言う三谷氏。

彼自身が若い頃に「同化した」人物として、村田蔵六、呂宗助左衞門、平沼銑次の3人の名を挙げています。

このうち前2者は、私も大好きだった「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-31.html" target="_blank" title="花神">花神</a>」と「黄金の日々」の主人公です。

三谷氏と私は、趣味も近いのかもしれません。年齢も1つ違いだし(私が年上)。

どうもこの、三谷幸喜という人は、ドラマを100%シリアスにはしたくないようです(以下ネタバレあり)。

たとえば今日の放送で、弱気になった武田勝頼を真田昌幸が励ますという、きわめて重々しく深刻なシーン。

武田勝頼「父上が築き上げたこの国を、わしが滅ぼしてしまうのか」

真田昌幸「富士や浅間の山が火でも吹かぬ限り、武田の守りは安泰にございます」

でもって、次のシーンが浅間山の大噴火。ありゃま、という顔の主人公。まったく期待を裏切らない展開です。

「プロフェッショナルとは、期待に応えるということ」という三谷氏の、面目躍如たるところでしょうか。

「軽いと思われがちな僕ですが、『真田丸』をコメディーにしようとする意図は全くありません」と三谷氏。

だいたい予測は付きます。ほどよく笑えるシリアスドラマを、狙っているのでしょう。

10大ニュース

「池上彰が選ぶ2015重大ニュース」と称した番組を、今夜テレビ朝日が放送していました。

この時期の報道番組はよく、「今年の重大(または10大)ニュース」などというテーマを組んでいます。

しかしこの手の番組を、まだ今年が終わってもいないうちから放送するのは、いかがなものか。

年末にとんでもない大事件が起きたら、いったいどうするつもりなのでしょう。いつもそれが気になります。

たとえば「慰安婦問題の日韓合意」は、年末に飛び込んできた、日韓関係ではかなり重大なニュースです。

つまり理論的には、今年のニュースは、今年が終わってからでないと総括できないはずなのです。

なので正月こそ、新年への展望や教訓につなげる意味で、前年の重大ニュースを振り返る好機だと思います。

ところが元日のテレビは、行き当たりばったりな、お笑い番組ばかりが目立ちます。

この状況は、私の記憶する限り、何十年もずっと同じです。芸人が徐々に代替わりしているだけです。

正月早々、過去を反省したり、堅いこと考えたりするのは控えようというのでしょうか。

前年の重大ニュースを交えつつ、元日に報道特集をやる放送局が、ひとつぐらいあってもいいと思うのですが。

池上さん、いかがですか。

『夫婦別姓』合憲?

「夫婦別姓」問題。最高裁大法廷の判断が、昨日、示されました。

この報道に関連して、NHKの字幕に問題があったと騒がれていたので、録画をじっくり検証してみました。

NHKは午後3時から、最高裁前からの中継を含めて、特別報道態勢で生放送をしていました。

午後3時16分、ニュース速報のアラームとともに、画面上部にテロップが表示され、さらにアナウンサーが、

「(夫婦別姓を認めない)民法の規定については、憲法に違反しないという初めての判断を示しました」

やはり合憲と判断されたようです。ところが、そのまま見ていると、テロップが3つに増えています。

(1)夫婦別姓認めない民法規定 合憲の判断 最高裁判所(画面上部の白黒のテロップ)

(2)「夫婦別姓」合憲判断 (いちばん目立つ、画面下のカラーテロップ)

(3)「夫婦別姓」最高裁 合憲と判断(画面右上のカラーテロップ)

このうち正しいのは(1)です。それを簡略化して、おかしなことになったのが(2)と(3)です。

おそらく「『夫婦別姓』問題、合憲判断」のつもりなのでしょう。

大事なところを省いたおかげで、意味が反対になっています。かなりダメでしょう、これは。

しかも(1)はすぐに消え、誤解を招く(2)と(3)だけが、しばらく表示され続ける始末。

途中からテレビを見た人は、「夫婦別姓、合憲」の文字に驚いたことでしょう。

テロップには、簡潔な表現が求められますが、なによりまず、正確に伝わらなくては話になりません。

防府市へ納税

大河ドラマ「<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1216.html" target="_blank" title="花燃ゆ">花燃ゆ</a>」は、昨日が最終回でした。

全50話の平均視聴率12.0%は、「平清盛」と並んで、大河ドラマ史上歴代ワーストタイだそうです。

ま、いいじゃないですか。盛り上がりには欠けましたが、またひとつ、歴史を学ぶことができました。

幕末から明治維新のドラマは、誰を軸に描くかによって、盛り上がり方がだいぶ異なります。

吉田松陰の妹が主人公ということで、比較的穏やかな人間ドラマになる事は、ある程度想像していた通り。

山口県出身の私の思い入れもありますが、私が育った防府市について、新たに知った史実もありました。

大河ドラマの本編終了後には、「花燃ゆ」紀行という、ちょっとしたコラムのような短編番組があります。

毎週、何気なく眺めていたのですが、その映像に驚かされることが、時々ありました。

私の母校「華浦(かほ)小学校」がいきなり画面に登場したときが、まさにそうです(5月3日放送)。

主人公の夫となった楫取素彦が教鞭を執った「越氏塾(えっしじゅく)」が、その源流なのです。

「歴史はな〜が〜く〜、300ね〜ん」と歌っていた、小学校時代を思い出します。

そして昨日の最終回では「鞠生(まりふ)幼稚園」が登場。私の妹が通った幼稚園です。

主人公の楫取美和夫妻が、その創設を支援したとのこと。そんな歴史のある幼稚園とは知りませんでした。

というわけで、もうずいぶん訪れていない遠い郷里を想い、今日は防府市に、ふるさと納税をしました。

これまでお礼品目当てであちこちに納税してきましたが、今回は、本来の意味でのふるさと納税となりました。

クローズアップ現代

NHKの「クローズアップ現代」は、放送開始からもう、22年以上経ちましたが、まだ色あせていません。

「やらせ(または過剰な演出)問題」も乗り越えた国谷裕子キャスターは、22年の齢を重ねても、元気です。

私がとくに好きなのは、この番組のエンディング。生放送ならではの緊張感がたまりません。

番組の前半は、おもにビデオを流しますが、後半は、キャスターとゲストまたは記者との対談形式です。

終盤に近づき、そろそろまとめに入るべき時間帯になると、見ている方もドキドキしてきます。

しかも国谷キャスターは、ギリギリまで時間を無駄にせず、最後までゲストにしゃべらせようとします。

自分でまとめて終わればいいものを、あえてゲストに、まとめを誘導する質問を投げかけます。

どうやら国谷氏は、生放送を楽しんでいるようです。

はたしてゲストは、要領よくまとめの発言ができるのか。その結末は、次のようなパターンでしょうか。

(1)なんとかまとめて、時間内におさまる

(2)しどろもどろになって、最後はバタバタ

(3)時間オーバーして、無理やり発言終了

(4)収拾がつかないまま、発言途中でフェードアウト

先週、久しぶりに<a href="http://tsuruhara9linic.blog116.fc2.com/blog-entry-1163.html" target="_blank" title="立花隆氏">立花隆氏</a>が招かれた回の放送は、立花氏が放った放送禁止用語のために異様な展開でしたね。

目に見えないニュートリノを観測できたのは、当時カミオカンデを持っていた日本だけだと言いたい立花氏が、

「世界のすべての学者がめくら同然の状態にある中で、日本だけがそれ(=ニュートリノ)を見て・・・」

この大いに問題のある発言を、いったんスルーした国谷氏ですが、はたして番組中で、どのように詫びるのか。

見ていて気が気でなく、「シーソー機構」という、とても興味深い話が、まったく入ってきません。

おまけに立花氏は、興奮してしゃべり続けています。下手をすると(4)のパターンに突入か。

そこへ国谷氏、ギリギリで発言に割り込み、最後の3秒で「不適切な表現」を詫びたのでした。あ〜緊張した。